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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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ルワンダ軍によるコンゴでの「虐殺の疑い」があったと書かれた国連報告書草案の最終版が明日、いよいよ公表されます。カガメ大統領と潘国連事務総長との間に「虐殺」の単語を削除することが同意されたという話もあれば、「虐殺の単語をそのまま残した」とピレー国連人権高等弁務官がコメントしたとも言われます。後者は南アのアパルトヘイトで闘ってきた人ですので、アメリカや国連の重圧で報告書の内容を変更するタイプではないと願いたいのですが。。。
 
本当のところはどうなのでしょうか。気になります!
 
日本ではこの報告書に関してほとんど報道されていないのが残念ですが、国際的には大変重要な意味を持っています。もし「虐殺」の単語が報告書に残されているなら、歴史を変えないといけなく、ルワンダの軍事的・政治的支援をしてきたアメリカ等の信用度は低下するでしょう(既にしていますが)。コンゴでは不処罰(impunity)が長年問題になってきましたが、この機をきっかけに処罰する方向性に動くかもしれません。
 
ということで明日が楽しみなような、怖いような!(この辺でそろそろおやすみします。。。)
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「アフリカには希望や可能性がある」といったことをよくアフリカ関連のセミナー・講演にでて聞くのですが、その根拠が大変非論理的で、時々呆れる時があります。例えば、

「2050年に人口が11億人に達するアフリカは巨大な市場」だから、「アフリカは常にビジネスの門戸を開いている」と締めくくったり、「アフリカには希望がある。何しろ、人口の半分が青年・若者で、(シニア世代が多い日本と違って)労働力がたくさんあるから」と発言する、などなど。

上記を国際・地域機関のトップ(に近い人)が堂々と言うのです。私自身もっと「ロジカル・シンキング」を学ばないといけないので、あまり他人の言葉について批評はできませんが、上記を聞いて「量より質をもっと考えて!」と叫びたくなります。残念ながら、それに関してはほとんど議論されていないような気がします。

アフリカのいくつかの国では、小学校が義務教育でありながら学費を請求する、親がその学費(1か月1ドルでさえ)が払えないため、子供は労働者(ほとんど奴隷として)としてつかわれる、あるいは売春婦として売られる、教師の給料も文部省からでないので教師が学校を放棄する、、、、、こんな現状が続いている国では当然、考える、計画を立てる、相手の痛みを理解する、責任を持って仕事をする、などなど基礎的なことができる人材がなかなか生まれません。こんな現状で「我々には労働力がある!」と自慢できません。(まあもちろん、まともな教育を受けられる環境にいたとしても、人間基礎力が身につけるとは限らないのですが、、、)

自慢といえば、上記以外に、ソマリアであれば「我々の国の海岸線はアフリカ大陸で最長」、スーダンであれば「我が国はアフリカでは面積においては最大国」(来年から変わりますが。。。)、コンゴであれば「資源がたくさんある」と自慢話をよく耳にします。しかしそれよりも、自分たちが努力して得たこと(教育など)について誇りに持ってもらいたいものです。

今計画している大学生用の合宿セミナー(2011年2月に開催)では、まさしくそのロジカル・シンキングが身につけるような講義を開く予定です。それをあるベテラン教員に言うと、「もしかして学生だけでなく、教員にも必要なのでは」という返事が返ってきました。確かにそうですね!私も学生と一緒に勉強します!

最近のコンゴとルワンダの現状についてまとめたいと思います。

5日後の101日に例の国連報告書(草案には、ルワンダによる「虐殺の疑い」が書かれている)公表される予定なのですが、果たしてその報告書が「虐殺」という単語を残すのか、それとも削除するのか。どちらにしても、大湖地域に大混乱状態が起きそうです。

「虐殺」が残れば、ルワンダ政府はスーダンのダルフールにPKO軍として派遣しているルワンダ軍を即撤退すると国連に「脅迫」しており、不安定なダルフールにおける市民の保護に大きなダメージを与えます(ちなみに、ルワンダ軍はリベリア、チャドとハイチにも軍隊を派遣しており、規律正しいと評判が高い)。そのルワンダ軍はダルフールから撤退しないという噂も入っています。確か先週、ダルフールではルワンダ軍のメンバーの交代があり、もし本当に撤退するのであればこの時期に交代しないはず。ということは報告書から「虐殺」は削除された、ということでしょうか??

報告書にはルワンダ政府以外に、コンゴ、ブルンジ、ウガンダ、アンゴラもコンゴでの「虐殺」に関与していたと書かれているため、これらの国々も国連に反抗しています。

それとは裏腹に、「国連、よくぞよくやった!ルワンダ政府の圧力に負けず「虐殺」をそのまま残して!」というエールもFDLR(ルワンダ反政府勢力)やコンゴ人のダイアスポラからあります。それに加えて、この数年(特に今年)カガメ大統領からウガンダや南アに亡命した元RPF(現政権)の幹部4人が96日に(カガメ大統領の就任式の日)60ページのレポートを公表し、それには「今のルワンダ政権は独裁主義、カガメ大統領は拠出国からの援助金を私的に使用した。今必要なのは政権のチェンジ」など現政権を厳しく批判しています。そして、その元幹部らはルワンダへの攻撃を準備しているらしいとのこと。彼らは20年間カガメ大統領と共にゲリラ作戦や諜報などに関わってき、カガメ大統領のことは何でも把握しているので、本当に起きうるのではないかと恐ろしくなります!特にその幹部たちが、ルワンダ外にいるFDLRやその仲間(人口的に多い)と共同で攻撃する可能性もあるので、そうなるとこの地域は再び紛争状態に戻ります。

私が悲観的すぎでしょうか。しかし、1994年の虐殺がコンゴに飛び火した後も大湖地域の紛争の原因は解決されておらず、虐殺の首謀者などで構成されているFDLRは現在もコンゴ東部で活動しています(カガメ大統領は、「テロリスト」であるFDLRとは和解はしたくないと主張)。2009年の国連報告書によると、このFDLRはスペインから北朝鮮までのネットワークがあるとのこと。ルワンダの華やかな経済的成長の陰に隠されていたh人々の感情(真実が明らかにされていない、被害者への補償がないなど)が、紛争のサインや警告として現在出始めています。アフリカの紛争はいきなり始まることが多いため、要注意はすべきでしょう。

アー私に政治的権力があれば、カガメ大統領やFDLRのリーダーなどの関係者に話し、真実と直面し、和解活動に促すのに!もちろん言うは易し、行うは難しなんですけどね。

追伸:ルワンダ軍によるコンゴにおける「虐殺」に関しては、著書『世界最悪の紛争「コンゴ」~平和以外に何でもある国』をお読みください。ルワンダにおける虐殺は既知の事実ですが、コンゴにおけるものは「虐殺」として未知であり、日本語で書かれたものはおそらく私の著書だけです。

私はこれまで、開発、人道支援、人間の安全保障、平和、アフリカなどに関するセミナーや講演に足を運びましたが、特に大満足したものは5%しかないと思います。ほとんどの講師がきれいごとや理想しか話さず、現実について本音で話さないからです。また自己満足的な内容が多く、次の行動につながるものも大変少ない。もちろん講師が立場上言いたくても話せないこともあるでしょうが、それでは悪循環から脱出できなく、問題の改善にはつながりません。それどころか、問題が悪化するだけです。

 
その現実については、私は2年前に質問をぶつけたことがあります。アフリカの開発がテーマであった、JICAとアフリカ開発銀行(AfDB)の合同シンポジウムで、AfDBのカベルカ総裁が「アフリカが発展するために、市場をもっと開くべきだ」と述べ、それに対して私は「市場を開くのはいいが、武器の市場を閉めないと。武器が自由に流通している限り、アフリカには絶対安定は来なく、したがって発展もできない。それについてAfDBとして何か対策はあるのか」と聞きました。総裁はその質問に答えず、隣にいたJICAの緒方理事長にマイクを渡して答えを求めました。彼は完全に逃げたのです!
 
このように、(きたない)現実と直面し解決策を見つけない限り、ODAを倍増しても効果はゼロです。(もちろん一握りの関係者‐政治家や多国籍企業―にとって効果は大変あるが、相手国の市民にとってはゼロでなくマイナス)ここでは、武器流通というシビアで重要な問題(また紛争の原因の一つでもある)を例にだしましたが、これ以外にも触れられない問題はたくさんあります。ですから保健と教育の援助だけに焦点を当てた「菅コミットメント」もそういう意味で、期待はできないのです。
 
確かに武器流通といった問題は容易に解決ができなく、それならもっと簡単である保健や教育から手を出そうと思いがちですが、強い政治的意思があれば、解決できるはずです。
 
菅さん、そして政治家の皆さん、世界の政治(Politics)と向きあい、コミットメントのPriority(優先順位)について再度検討をお願いします!
 
追伸:武器流通に関して知りたい人は、映画の"Lord of War"を観賞してください。
 
追伸2:援助やODAに関しては、言いたいことはたくさんあるので、またいつか続けたいと思います。明日から久々にコンゴとルワンダについて書きます!
MDGでの「菅コミットメント」第二弾ということで、今日は4つのP(Purpose-目的、Priority-優先順位、Politics-政治、Peace-平和)について書きたいと思います。
実はPriority, Politics, Peaceの3つのPは、学生が作ったもの。先週末、宇都宮大学等が主催した3日間の英語の合宿セミナーで、私は「人道支援と平和構築」という分科会の講師として参加し、その分科会の内容を学生たちがうまく3Pでまとめてくれたのです。さすが、感性が豊かな学生たち!ここでは、それに加えて、4つ目のPのPurposeを付け足しました。
「菅コミットメント」で保健と教育の援助をするとMDGの会議で発表しましたが、そもそも援助の目的(Purpose)は何か?これに関しては昨日のブログで書いたので、ここでは他の3Pを説明しましょう。
Priority-犠牲者のニーズはたくさんあり、その中に保健や教育も入っていますが、それ以外に重要なニーズがあります。それは「安全」。援助が無事犠牲者の手元に届くために、また犠牲者が自由に町や村を動き回れるために、それが必要条件となります。治安が悪い所に援助は送っても、軍人や武装勢力に略奪され、無駄になるだけです。
では安全確保のために何をすればいいのか?単にPKOの派遣とか現地の警察の訓練だけでなく、犯罪人の処罰(Punishment-5つめのP!)も義務付けです。特に戦争を経験した国は、戦争犯罪人が大勢いるのですが、彼らのほとんどは処罰されていません。この不処罰(impunity)という問題は常に国際社会で議論されていますが、解決されず。犯罪人の名前や居場所などは分かっており、容易に逮捕できるはずなのに!
Politics-なぜ不処罰という問題が続いているのか?その戦争犯罪人が権力国の傀儡であり、利権が絡んでいるからです。この戦争犯罪人と権力国との関係(その他に武器商人、多国籍企業、国際機関などネットワークが広い)を壊すなど、この問題に真面目に介入し解決するために、関係国による強い政治的意思(political will)が必要です。
我々が想像以上に、アフリカなどの援助受け入れ国(相手国)やその周辺国の政治(politics)は複雑できたなく、世界とのネットワークも厚くダイナミックです。相手国の政治家の負の背景を含めてその政治を正しく理解しないと、相手国に(平和の目的で)送った援助が隣国の戦争のために悪用される可能性があります。日本の外交官や政治家は残念ながら、このような政治の理解度(少なくともアフリカの政治に関しては)はあまり高いとは言えません。大変純粋で、インテリジェンス力やネットワーク力があまりありません。(これは問題解決力や分析力が不足しているということ。「知識」はあるが、「知恵」はないという意味です。情報を収集するにも人のネットワークも必要だが、それもほとんどない)
Peace-上記の2つのPとも関係しているのですが、平和構築は「他人の痛みを理解することから始まり」(韓国の歴史学者ハン・ホング)、真の民主主義で選ばれたリーダーは市民のことをもっと考え(Priority)、行動をとるべきです。2008年に行われたTICADの柱の中に「平和の定着」が入っていましたが、平和を実現するために具体的に何をするのか、誰のための平和なのかが話されていませんでした。実際に、かなりのカネが相手国の政治家(独裁者)に行き渡ったり紛争のために使われていますが、アフリカから嫌われたくない日本は沈黙状態です。情けない!(日本は国連の安保理に入りたく、その票集めのために国数が多いアフリカに援助をしています。ちなみにこれは私の言葉でなく、ある外務省の幹部が実際に私に言った言葉)
ということで、もっともっとこの4Pについて考え、周りの人と議論し、アドボカシーなどいろんな形でアクションをとりましょう。特に学生さん、期待しています!
菅総理がニューヨ―クでの国連のミレニアム開発目標(MDGs)の首脳会議で、途上国の保健・教育支援に今後5年間で総額85億ドル(約7200億円)を拠出する「菅コミットメント」を発表しました。
確かに保健や教育は大切な分野ですが、いつ不思議に思うことがあります。いろんな会議で日本や他国がこのようなコミットメントを示すのですが、誰も「これだけ長年にわたって援助しているのに、なぜ途上国の市民の状況はよくならないのか、また場所によってなぜ改善しているどころか、悪化するのか」と問わないことです。何も考えず、あるいは疑問に思わず、自動的にカネをあげる「援助マシン」になっています。恐ろしいと思いませんか?
そもそも援助の目的は何なのか(市民が人間的な生活ができるため?それとも多国籍企業が儲かるため?)、そして援助がうまくいかない理由(政治家による汚職があるから?援助がビジネス化しているから?)などを追求しないと、我々の税金が一生援助に使われることになります。本当にそんな世界をつくりたいのでしょうか。それよりも相手国が他国の援助金に依存しないで「独立」してほしいと思いませんか。(もちろん真の意味で独立してしまうと、「困る」機関や人がいるので、その議論は意図的に避けているという理由もある)
この独立の意味ですが、単に宗主国から「独立」しても、外部に経済的依存をしている限り、一人前になったとは言えません。今年アフリカの17か国が「独立」50周年を迎えましたが、「何から」独立したのかが疑問です。これを言うと、プライドを傷つけられて怒るアフリカ諸国の政治家も多いのですが(その時、必ず "sovereignty"(主権国家)という言葉を出す)、残念ながら本当のこと。社会人も同じで、学校を卒業して社会人になっても、親のすねをかじって生きている限り、親から完全に「独立」したとは言えません。
ということで、税金を払っている皆さん、もっと援助の内容について考えてみましょう!

国連のMDGの会合でカガメ大統領が共同議長をしているのですが、それに関する報道があまりない様な気がする。。。今までカガメ大統領はアメリカに行く度にちやほやされていましたが、今年はルワンダに大きなダメージを与えた国連報告書が8月に漏れたということで、ニューヨークでは大変冷たい反応が待っていたとは聞いています。

例えば下記の写真。「カガメは犯罪者」「End the impunity (不処罰を止めよ)」といった看板などが見られます。

http://amengual.info/SampolCarreroUN_NY/100920SampolCarrero_001.jpg


でもそれ以外は他の報道は特になし。MDGのもう一人の共同議長のスペイン・サパテロ首相は今回どうしているのか(注:7月16日にマドリッドで初のMDGの会合で、サパテロ首相はカガメ大統領との面会をボイコットし、大きなニュースになった)。気になります。
 

昨日に続いて今日も大学教育について。2週間前に「国際キャリア合宿セミナー」があり、そのレポート提出日である今日、どどっとレポートが届いたのですが、かなり雑なものから細かく書かれているものからあり、ぜひコメントを共有しなければ!と思ったからです。

合宿中にコミュニケーションの大切さを学んだ学生が大勢いたのですが、レポートもある意味でコミュニケーション・ツールです。字数140字までし書けないtwitterをやっているせいか、つぶやく感じでレポートを書く学生もいて、「この人は何のためにセミナーに参加したの?」「本当にやる気があるの?」と疑ってしまいます。レポートを読む相手は合宿セミナーに参加していなく、何が話されたかを知りたいと思ってレポートを読んでいると想像して、真面目に、かつ気合いを入れてレポートを書いてもらいたいものです。内容はともあれ、レポートを提出すれば単位がもらえる!とあまーい考えを持たないように!

また驚いたことに、30%の学生が件名もあいさつの言葉もなしに、私にレポートを送ってきたことです。件名を書くことで、読む手もメールを開ける前に「これについて書いている」と心の準備ができ、時間的にも仕事的にも効率的です。

顔も話し方も見えないレポートを通して、書いた人の志や性格が伝わり、その人の印象も変わります。そういう意味でレポートは怖いコミュニケーション・ツールですので、皆さん注意し、明日からこのアドバイス通りに実践してくださいね。

。。。と生意気なことを書きましたが、私も学生時代同じようなミスを何回もしたと思います。そして気が付いていないけど、現在でさえ!ということで、上記は私へのメッセージでもあります。お互いにこの教訓を踏まえて、ステップアップしましょう!

先週の土曜日から今日(9月20日)までの23日間、宇都宮大学などが主催したInternational Career Development Campという合宿セミナーにて、講師として参加しました。そのセミナーは、人道支援・平和構築から食糧安全保障といった問題を分科会ごとに英語で学び、議論しながら将来のキャリアについて考えるといったもの。東北から宮崎までやる気のある学生の参加者60名が集まり、素敵なひとときを過ごしました。一般的に「今の若者は内向きになっている」「昔の若者ほどガッツがない」などと言われていますが、とんでもない!大人がうまく種まきをすれば、明るいきれいな花(若者)が育つことが(再)確認できました。
 
この合宿セミナーの運営に何か月かかわってきたのですが、「英語アレルギーが多い学生が果たして英語で議論し、プレゼンテーションができるのだろうか」と関係者とずっと心配していました。活発で英語ができそうな学生でさえ「英語で話せる自信がない」と謙遜していたので、セミナーが始まるまでハラハラドキドキでした。
 
ところが蓋を開けてみると、びっくり!「英語で」時事問題などについて話したわけですから、専門用語に奮闘していた人もいましたが、学生は片言ながら頑張って議論していました。1日がかりの分科会の後、翌日行われた発表の準備のために、朝の4時までパワポを作成したり、洗面所の中でも発表のリハーサルをするなど、かなり熱気がムンムン。参加者の表情も3日目になると、かなり自信にあふれて生き生きしていました。苦手だと思いこんでいた英語でプレゼンを上手にしたのですから、当たり前ですね。

そう、やればできるのです!一番大事なのは、やろう!とする「思い」なのです。
 
このままもっともっと学生をうまく磨けば、モチベーションが高い若者が生まれ、日本の将来は明るくなるかも?単純かもしれませんが、そのように確信させられました。まちづくり(まちおこし)、国づくり、国の復興にしてもマンパワーが基礎なので、強い「思い」を持っている人が集まればうまくいくはずです。ただ残念ながら、この世の中には、さまざまな理由で(一番多いのは経済的理由)それを妨げる人や集団がいるので、そう理想どおりにいかないのですが、、、
 
学生の皆さん、希望を与えてくれてありがとう!これからもお互いに、いろいろと学んで議論し吸収して、ステップアップしましょう!
 
この大湖地域では次から次へと進展があり、フォローするのが大変なのですが、今日はコンゴ仲間のVirigl Hawkinsさん(阪大の先生)が定期的に送っているメルマガを皆さんに転送したいと思います(今大学での仕事が忙しく、ブログを書く時間をセーブしたい)。国民の問題意識を変えるのに、メデイアを使わなくてはなりません!10月17-23日に阪大で「コンゴウェーク」を開催するので、それを含めて意見や質問はstealthconflictsforum@gmail.comまでどうぞ。


「大湖地域での進展
 
「アフリカも世界の一部」第9
 
コンゴ民主共和国ルワンダウガンダなどを含むアフリカの「大湖地域」から目が離せない状況が続いている。「アフリカも世界の一部」第8号が配信されてから、いくつかの進展が見られたので、今週もこの地域に関する記事とする。
 
前回(第8号)で紹介したザイール(現コンゴ民主共和国)でのルワンダ政府による「ジェノサイド」騒動に対して、ルワンダはPKOからの撤退を警告したが、国連事務総長がこのような事態を防ぐために、ヨーロッパ訪問を中断し、ルワンダを緊急訪問した。この疑惑の究明のため、コンゴ民主共和国政府が集団墓地での法医学検査の実施を予定しているようである。
 
別の事件で、先月、コンゴ民主共和国東部で武装勢力が攻撃をかけた際、240人の女性にレイプ被害があったと報告されていた。しかし引き続きの調査で被害者が500人を超えることが判明した。また、攻撃が行われた当時、国連PKOの部隊がその現場からわずか30キロ離れたところに駐在しており、なぜ住民を守れなかったのか批判を浴びている。PKO部隊の人数不足と住民を守る意欲が問題にされているが、住民が攻撃を受けたとき、PKOの助けが呼べるように、携帯電話の電波状況が改善される必要があるという声もある。
 
もうひとつ、この地域での大きな出来事が報告されている。コンゴ民主共和国のカビラ大統領は三つの州(いずれも東部にある北キヴ、南キヴ、マニエマ)での鉱業活動を一時的に禁止するという指令を発表した。これらの州は鉱物資源の宝庫であり、パソコン、携帯電話などの電子回路に使われているスズ、タンタルなどが大量に採れ、金も採れる。
 
この地域での鉱山のコントロールをめぐる争いがコンゴ民主共和国の紛争を長引かせている大きな原因であり、この紛争と先進国とのつながりを表すものでもある。上記の武装勢力の攻撃とレイプ事件も鉱山の多い地域で起こった。カビラ大統領は紛争を長引かせている「鉱物資源搾取に関わっているマフィアのような者」の活動を阻止するために鉱業禁止に踏み切ったと述べている。
 
最後に、再選されたルワンダのカガメ大統領の就任式にコンゴ民主共和国のカビラ大統領が出席した。滞在期間中、二人の大統領は3度も話し合いをもったようである。カビラ大統領は国外にでることがほとんどなく、又、長い間敵対関係にあったこともあり、1998年以降、一度もルワンダを訪問していない。話し合いの内容は不明だが、この訪問が話題を呼んでいる。
 
読売新聞はルワンダの「ジェノサイド」騒動に関する記事を掲載したが、それ以外の動きに関する情報は出していない。特に500人の女性がレイプされて、ニュースにならないというのは理解し難いことだろう。中央アフリカでの出来事も報道するべきではないだろうか。アフリカも世界の一部だ。
 
以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。のリンクから直接投稿してください。
(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。
 
8月にコンゴ民主共和国で、武装勢力の攻撃で500人以上の女性がレイプの被害にあっているということがわかりました。わずか30キロ離れていたPKOの部隊は介入できず、批判を浴びています。読売新聞はこの事件を報道していません。500人がレイプされてもニュースにならないのはアフリカ大陸だけではないでしょうか。アフリカも世界の一部です。」
 
英語になりますが、以下のサイトを参照に:
 国連事務総長のルワンダ訪問に関する記事
 コンゴ民主共和国でのレイプ事件に関するニュース(映像)
 コンゴ民主共和国での鉱業活動禁止事例に関する記事
 
※ コンゴ民主共和国の紛争への意識を高めるためのグローバル運動「コンゴ・ウィーク」が、今年は101723日に世界各地で開催されます。日本でも、大阪大学を中心にいくつかのイベントを予定しています。詳細はこれからお知らせしますが、関心のある方はご一報をお願いします。
 
「アフリカも世界の一部」運動とは?このページをアクセス。
メールの配信を希望する方はこのアドレスにメールを。
過去の記事はこのページからアクセス
「ステルス紛争」とは?このページをアクセス。
 
このメールは転送可です。「アフリカも世界の一部」運動のメンバー増加にご協力をお願いします。みんなの力で「アフリカも世界の一部」だとメディアに認めてもらいましょう!」
毎日のようにコンゴやルワンダ関係のブログ(ほとんどは現地人やダイアスポラが書いている)を読んでいるのですが、8月下旬以降、話題は例の国連報告書に集中しています。フツの国会議員や軍人の「報告書がでたらめだ」というコメントがルワンダ政府系の新聞に一度書かれたのですが、それは強制的に言わせただの、どうせ国際社会もルワンダ人も真相を知っているのだからカガメ大統領はとっとと白状せよ!などいろいろ。こういったことは匿名だからネットに書けるのですが、直接このような意見をルワンダ人自身から聞くのはよっぽど親密関係でない限り、不可能です。そういう意味でインターネットの存在は大変ありがたい!
 
私がルワンダで勤務していた1995年-1998年もやはり表現の自由はほとんどなく(ネットも今のように普及されていなかったので、ネットで彼らの感情や意見を確認することもできなかった)、外国人の同僚と「ルワンダ人の心が閉鎖されていて、何を考えているのかわからない」と言いあっていたものです。私のUNHCRの先輩(ルワンダ人でないアフリカ人)でルワンダ人女性と結婚した人がいるのですが、ルワンダ人コミュ二ティーの結束力にはいつも驚いていたとか。夫婦として30年以上一緒にいても「あなたに言えないことがいくつかあるけど、理解してね」と言われたことが何度もあるそうで、「ルワンダ人は特別な人種だ」といつも私に言っていました。ルワンダ人でないとわからない、何かがあるのでしょう。
 
ルワンダは国がきれいに整備され、インフラが発展され、経済成長していると高い評価を受けていますが、それは単にお面をかぶっているだけで、その心が見えないのは非常に怖いし寂しいことだと思います。それが果たしてオープンになるのか、またオープンになるには、どのくらいの年月が必要なのでしょうか。残念ながら、カガメ政権が続く限り、それは見られないでしょうね。
この2週間ほど、ラジオ・オカピ(コンゴにある国連PKO軍のラジオ局で、アフリカ最大級)を聞いていて、腹が立ったと同時に胸が痛みました。9月の新学期を前に、学費や制服が高くなって払えないとか、避難民が学校を占領しているので学校が再開できないとか、コンゴ人の親たちがインタビューに答えていたのです。
 
コンゴ政府は6月30日の50周年独立記念式でベルギー国王などVIPを招待し、彼らにお土産を渡すなど莫大の費用を費やしたのに、それに比べてずっと少額である生徒の学費(場所によっては毎月一人一ドル)も支援できないなんて、一体どういう神経をしているのでしょう?どこの政府も予算はタイトかもしれませんが(特に現在の経済危機の中)、教育、特に小学校という義務教育に親に負担をかけるとは許されることではありません。コンゴ政府の5つの優先事項に教育も入っているのですが、いつものごとくリップサービスで終わっている。。。コンゴ人の政治家の子供たちは皆ヨーロッパなど外国で教育を受けているので、国内の教育事情に関心がないのでしょう。
 
沖縄での戦後復興でも教育が重視されていたように、教育は国造りの基礎の基礎です。しかしそれを怠けているようですと、いつまでも独立(自立)はできません。コンゴでは独立50周年を迎えましたが、完全に外国からの援助に依存し、本質的には失礼ながら0周年(あるいはマイナス0)と言った方がふさわしいのでは?独立とは単に植民地でなくなることを意味するのか(と言っても現実にはまだ続いているのですが)、また何をもって独立(自立)なのか、その定義をはっきりしないとはいけませんね。
ルワンダやコンゴについて書きたいことはたくさんあるのですが、最近「暴露」報告書を次から次へと読んでいるせいか、目が疲れています。ということで、今日はちょっと一休みをし、来週出版される「アフリカから学ぶ」の本について知らせたいと思います。かわいい表紙だと思いませんか?

アフリカから学ぶ
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641049864

私も「人道支援と平和構築の知恵~難民・避難民の視点で考える」という章を書きました。人道支援と平和構築に関する本はたくさん出版されていますが、どちらかと言うと、国連、NGO、援助者の視点で書いたものが圧倒的なので(もし間違っていたらごめんなさいね)、支援される側の視点で書いたこの章は読む価値はあるかなと自分で勝手に思っています。

編集者は峯 陽一 (同志社大学教授),武内 進一 (JICA研究所上席研究員),笹岡 雄一 (JICA研究所上席研究員)というアフリカ研究において、超有名人ばかりです。しかし、本は学術的ではなく、若者にアフリカに関心を持つように読みやすく書かれています。ぜひ読んでくださいね。

ということで目を休ませるために、これから寝よっと。おやすみなさい。
730日から83日まで起きたコンゴ東部での大規模レイプ事件での被害数は最初200人以下と報道されていたのですが、それが今は500件以上に増えました。この事件を受けて、国連のアトゥール・カーレ事務総長補佐(平和維持活動担当-PKO)が現地調査を実施し、国連安全保障理事会に提出する報告書で述べた言葉は、
 
「住民保護の任務に『失敗』した」
 
でした。
 
ちなみに彼の声明は次の通り。
“While the primary responsibility for protection of civilians lies with the State, its national army and police force, clearly we have also failed. Our actions were not adequate, resulting in unacceptable brutalisation of the population of the population of the villages in the area. We must do better.”
 
もちろん、住民を守る第一の責任者は国家(軍隊や警察など)で、国連はあくまでもその手助けをしているだけです。しかしこの事件が起きた村からあまり離れていないところにPKO軍基地があり、この事件が経って2週間何も介入しなかったということで、安保理も呆れ顔。仕方なく国連も自分たちのミスを認めたのでしょう。
 
この「失敗」という言葉を言うには大変勇気がいったのではないでしょうか。誰でも自分のミスを人前で認めたくないものです。今まで国連はいろんな失敗をしてきましたが、それをきちんと「失敗」と認めず、「我々にはそれだけのカパがない。人が不足している。。。」等と言い訳をしてきたような気がします。94年のルワンダでの虐殺でも、スーダンのダルフール紛争でも。そういう意味では、今回の「失敗」のスピーチに敬意を払いたいと思います。
 
あールワンダのカガメ大統領にもそのような謙虚さがあれば!と思うのは私だけでしょうか?
 
それにしてもたまたまなのか、レイプ事件、虐殺の疑いと、コンゴとルワンダでは現在同時に国連関係の大事件が起きており、国連本部や現地事務所では大慌てしながら皆24時間体制で働いていることでしょう。もちろんルワンダ政府側もそうです。コンゴ政府だけが特にレイプ事件に関して何の声明をださず、相変わらず無関心でマイペース。この態度では国が前進するはずがないですよね。
ルワンダ政府が1990年代、コンゴで虐殺罪に当たり得るという国連報告書を巡って、ルワンダではますますホットになってきました。ルワンダ政府はその報告書に反発、国連平和維持活動(PKO) 香らの撤退を警告し、7日に国連事務総長がルワンダ政府と交渉しにサプライズ訪問をしました。それと同時に、ルワンダの亡命者4名(いずれもカガメ大統領の元部下)が60ページなる報告書をだし、それには「ルワンダ人だけでなく、国際社会はルワンダの独裁主義を終わらせないといけない」と書いています。また、ルダシングワ・RPF元事務局長はVoice of Americaのインタビューで、「自分もそうだが、カガメ大統領は処罰を受けないといけない」と堂々と言っているのです。わお!
 
そんな混乱の中、どさくさまぎれに、94虐殺直後に調査したUNHCRの報告書(Gersony Report)もどこからか外に漏れてしまいました。この報告書が大変有名なのは、現政権であるRPF(ツチ系が多い)が1994年4月から8月まで虐殺に関与し、約2万~4万人の市民が犠牲になったという一種の「機密」が書かれているからです。「ホテル・ルワンダ」などでは、フツがツチを殺害するイメージを強く描かれていましたが、その反対、つまりツチがフツを殺害することも実際にあったのですね。ルワンダ国際戦犯法廷(ICTR)はこの報告書を世界中で探したのですが、見つからなかったとのこと。「せっかくこれから新政権を取ろうとしているツチにとってマイナスになるため」(歴史学者のプルニエル氏)、その報告書が国連から「発禁」(embargo)され、処理されてしまっていたのです。その消えたはずの報告書が今インターネットに公表されているのですから、ネットの凄さ(怖さも含めて)を改めて痛感しました。
 
ということで、次から次へと新しい(ネガテイブな)展開を見せていルワンダから目が離せません!これからどうなるのでしょうか??
94日―6日まで、全国131名の学生が参加した「国際キャリア合宿セミナー」(宇都宮大学等が主催)の運営に携わったのですが、(http://www.kokusai.utsunomiya-u.ac.jp/career-program/)生き生きとした学生の表情を見て、伝え方、教え方、学び方について改めて考えさせられました。同じ内容であっても、方法によっては学生の能力がどんどん伸びるのです。学生が興味を持って「開脳」すると、おもしろいように知識が身につくのですね。
 
この合宿セミナーでは国際的分野で活躍する講師9名を呼んで、それぞれのキャリア形成、そして人道支援やジャーナリズム、環境、コミュ二テー開発などの課題について話していただきました。また、講師の一人であった(株)アクテイブラーニングの羽根拓也社長には、「世界を舞台に活躍する思考術~ココロ変われば世界が変わる!」のセミナーを開いていただきました。どの話の内容も大変すばらしく、学生は大満足。教員から学生に知識が一方的に流れる、一般的な大学の講義と違って、グループディスカッションを何回かするので、かなりインタラクテイブです(耳が痛い教員も多いのでは?)。ですから、当然居眠りする人は誰もいないのです。
 
それとは対照的に大学同様の講義も合宿中にあり、その時は正直な学生はほとんど寝ていました。その講師に「講義はインタラクテイブに」と事前にお願いし、一応理解して下さったと思っていたのですが、その講師にとって、インタラクテイブの定義は単に「学生に質問をする」ことであり、学生に「考えさせる」とか学生同士で「議論させる」ことではなかったのですね。
 
この伝え方や学び方で、以前ピースボートに講師として乗った時のことを思い出しました。大変びっくりしたのが、講師のサポート役をする学生ボランテイアなどのノリのよさ、突っ込みのうまさでした。アナウンサーや芸能人になればいいのでは?と思うぐらい。その人たちがいろいろと工夫して、劇や音楽を通してメッセージを伝えるので、戦争やエイズといった重い内容の話でも、参加者により理解され、かなり盛り上がりました。大学の講義もピースボート式であれば、楽しいのに!本当にものは伝えよう、ですね。
 
ということで、この伝え方の重要さに感化された私は、2週間後に実施される「国際キャリア合宿セミナー」(英語版)で工夫しなきゃ!と刺激を受けました。学生一人ひとりの「人間力」を育成することに責任を感じますが、やり方によって学生の伸びが身近に見ることができるので、教員の仕事に大変やりがいを感じています。
漏洩したコンゴ民主共和国に関する国連報告書草稿を巡ってルワンダ政府と国連の間で緊張感が続いていますが、昨日の国連の記者会見で、この報告書が今月でなく来月に公表されることになりました。その間、関係国から最終確認をするとのことです。この間どのように展開するのか、大変気になる~!!
 
この報告書は世間一般に漏洩してしまい、私もその報告書を読み始めましたが、ルワンダをはじめ、関係国が感情的になるのもわかるぐらい、パワフルな内容です。500ページ近くと量は多いのですが、ぜひ一読をお勧めします!
 
それにしても「この報告書を公表したら、スーダンからルワンダ軍を撤退させるぞ」とのルワンダ政府の態度が失礼ながら未熟ですね。スーダンの平和を維持するためにPKO軍がいるのに、それを政治的な道具として使うなんて許せません。結局このような政治的ゲームで犠牲になるのはいつも一般市民であり、その大多数が女性と子供です。それもスーダン人だけでなく、ルワンダやコンゴの市民も巻き込まれる可能性が高いでしょう。アフリカ大湖地域(ルワンダ、コンゴ、ブルンジなど)の「親分」であるルワンダがどう出るかで、再びがこの地域が不安定になるかもしれませんので。この報告書の目的は真実を明確にし、justiceをもたらすことですが、その反対の結果が生まれるかもしれません。アーまた逆戻りするのでしょうか。。。こわい!
 
それにしても、このルワンダ政府の脅かしは国際法上許されるのでしょうか。もちろん筋は通っていませんが、ルワンダ政府はアメリカとイギリスに支援されているし、何と言っても1994年の虐殺の際に国際社会が何も関与しなかったという議論をルワンダが使えば、不法なことでも何でも合法化されるのでしょう。
 
p.s. 明日から3日間、宇都宮大学生や全国の学生計130人が集まって、国際キャリア合宿セミナーを企画します。私の知り合い・友人である、羽根拓也氏()アクテイブラーニング社長)、高嶋由美子氏(国連UNHCR協会事務局長)、大崎敦司氏(ジャーナリスト)なども講師として迎え、楽しくなりそうです。私は運営の担当なので、ブログも書く時間はありませんが、この間も何とかルワンダ・コンゴの政情をフォローしたいと思います。

漏洩したコンゴ民主共和国(DRC)に関する国連報告書草稿を巡って、いろいろなニュースが飛び交い、それを一つ一つフォローすると大変面白いのですが、同時に、ルワンダの筋の通らない行動や発言にますます呆れています。

8月27日のLe Monde紙が「国連報告書草稿を公表したら、ルワンダは国連から撤退(特に平和維持活動軍-PKO)をすると、ルワンダ外務大臣が国連事務総長への8月5日付けの手紙に書いた」と書いてありました。8月31日付のNew Times(ルワンダ政府寄りの新聞)によると、ルワンダ軍は「ルワンダ軍の撤退といった命令はまだ政府から降りていない」とはっきりしない発言をしたのですが、同じ日[31日]の記者会見で、ムシキワボ外務大臣は「国連がこの報告書をどうするかわからないけど、我々は撤退を真剣に検証している」と発言したのです。また、1994年のルワンダ虐殺当時に、国連PKOの幹部をしていたコフィアナン氏が、ルワンダでは失敗したとアナン氏のせいにしたのです。(いつものことだけど、ルワンダ政府っていつも人のせいにする傾向が強い。自分の行為を振り返るという習慣はないのでしょうか)

そして続いて、「平和維持活動軍として活動している(ルワンダ)軍が、レイプや殺人に関われるはずがないわ」と言いました。
 
この「XXだから、YYである」、あるいは「XXだから、YYのはずがない」という考えや主張は、ルワンダ政府だけでなく、世界どこでも使われているのですが、大変非論理的な場合があります。我々はよく「AさんはXXの資格を持っているから、YYができるはず」とか「BさんはXX人だから(あるいはXX教徒だから)、YYをしない(はず)」と耳にするのですが、「冬は寒いから、コートが必要」といった論理ならまだしも、「Aさんはいい人だから、悪いことはしないはず」とは必ずしも断定できません。PKO軍は人道支援や市民保護のようないいこともできるでしょうが、その一方で人殺し、レイプや搾取も平気でやっています(残念ながらそのような行為を、私はカンボジアやコンゴなどで間近で見てきました)。だから上記のムシキワボ外務大臣の考えは全然論理が合わないのです。

私も含めて我々は、ロジカル・シンキングの訓練をもっと普及しなくてはと現在教育者の身として思います。もちろん学生だけでなく、社会人にも。ルワンダだけではないですが、政治家が一番必要だったりして?
829日でハリケーン「カトリーナ」災害から5年が過ぎ、30日のDemocracy Now!でその特集がありました。最新のドキュメンタリー作品「Big Uneasy」(大きな不安)のハリー・シェアラー監督は、ニューオリンズ州の崩壊は自然災害ではなく、人災(unnatural disaster)であったと語っています。怠けていた都市計画がきちんとされていたら、大惨事は防ぐことか可能であったのではないかと議論されているからです。

私は
2005年の8月南スーダンのマラカルというテレビのない町に6か月長期出張していたので、カトリーナのニュースは聞いていたものの、ブッシュ大統領の対応が大変遅かった以外、詳細については知りませんでした。しかし今日地元活動家の話を聞いて、「これってもしかしてアフリカの出来事?」という錯覚に堕ち、ショックを受けました。

援助物資が数日間被災地に届かない(世界一発展して、いろんな手段があるはずの国でこんなことはありえない!)、食糧が届いても倉庫に置きっぱなしですぐに配布されず、お腹すいた住民が食糧の略奪を始めたら、「犯罪が起きた!治安のために軍を送れ!」と騒ぐメデイア。現地に派遣された軍が住民を「おとなしくするため」銃で殴ったり、撃ったり。結局「アメリカのアフリカ」であるニューオリンズ州[何とコンゴからの奴隷が多いとのこと]は、エリートのワシントンからいつも見捨てられていたのですね。

昨日のブログで「勝者がいつも歴史を語る。。。少なくとも最初は。。」はについて書きましたが、戦争の歴史だけでなく、このような
unnatural disaster(戦争や虐殺のような人災man-made disasterでなく、自然災害だが政治的意思があれば避けられたという意味での人災)についても同じことが言えますね。もっともっと被災者や敗者の人に耳を傾けなくて、社会改革をしなくては!その問題意識を持つために、このDN!を観ることをお勧します。
5月にルワンダで逮捕され、3週間後に釈放された米弁護士ピーター・アーリンダー氏について以前ブログに書きましたが、彼の最新の記事が興味深かったので、共有したいと思います。
 
 
この記事にはルワンダの大統領選挙や虐殺の真実について触れているのですが、その中で、
 
1.「勝者がいつも歴史を語る。。。少なくとも最初は。。。」
 
2.また、ケネディ大統領の下で防衛大臣を務めたロバート・マクナマラ氏は、
 
「もし日本が戦争に勝っていたら、(広島と長崎の原爆投下前に起きた)東京で焼夷弾の攻撃をした我々アメリカ人は戦争犯と呼ばれていただろう。」
 
と認めたと書いています。確かに!見方を一つ変えると、全体図が随分変わりますね。勝者の国のマクナマラ氏がこんなことを言うのに大変勇気が要したでしょうが、さすがに大変聡明で有名な人です。我々は歴史、特に戦争の歴史を学ぶ際に、中立性に気をつけなくてはならないことを改めて考えさせられました。
 
敗者(犠牲者であることが多い)の視点から語った歴史や彼らの苦しみというのは、一般的にかなり時間がかかって世の中に伝わります。勝者にとって不都合な情報を敗者が持っているから勝者がそれを隠すという理由もありますが、そもそも敗者の権力は弱く、コミュニケーションの手段や能力(というか教育の機会が得れなかったため)がないことが多いのです。国連や人権団体などの外部者が戦争の調査をして、情報を発信したとしても、勝者がそれを否定するなどして、ほとんど世の中から注目されないのですね。
 
ルワンダ内戦や虐殺もそうで、現政権(RPF)を握っているツチは虐殺の「犠牲者」から勝者になり、そのツチが書いた虐殺に関する本は世界で何冊かブームになっています。和訳された「生かされて」の著者のイマキュレー・イリバギザ氏は2006年に来日中、安倍首相の昭恵夫人を表敬訪問もされました。反対に敗者のフツが書いたものは量として圧倒的に少なく、映画「ホテルルワンダ」(主人公のポール・スセサバギナ氏はフツ)以外に、ほとんど話題にもなっていません。例えば、マリービアトリス・ウムテシ氏の著書Surviving the Slaughter: the ordeal of a Rwandan refugee in Zaire”には、難民としてルワンダからコンゴへ逃亡した時の様子を描いて大変貴重な証言を残しているのですが、残念ながらこの本はほとんど知られていません。
 
(話はそれますが、私はこの本を気に入っています。なぜなら、ウムテシ氏はUNHCRの難民への対応に批判的であったからです。UNHCR職員である私が(今は休職中)こんなことを言うのは変に思われるかもしれません。しかし「パトロン」であるUNHCRに対して、「お客さん(支援対象者」である難民は弱い立場におり、このような上下関係の中で、難民はUNHCRに批判がなかなかできず、ウムテシ氏の指摘は大変貴重だと考えています。このプログで何回か書いていますが、真の批判は単なる文句を言うものではなく、(社会)改革をするために必要だと思っています。)
 
これから敗者が語る歴史がどんどん浮き彫りになることを、またそれが当たり前になる世の中がくることを願っています。
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米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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