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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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野田首相が核安保サミットで演説する、福島原発事故の3つの教訓で呆れてしまいました。(1)想定外を想定する(2)現場をおろそかにしない(3)安全確保は不断の取り組み、が「教訓」なのですが、これって「常識」ではなかったのでしょうか。もちろんこれは原発に限って言っていることで、私が働いてきた人道支援や緊急事態の場と違うかもしれませんが、地震大国にいる我々市民としては、当然認識するべきことでしょう。

「絶対的な安全などあり得ない」のは、原発だけでなく、どの分野においても当たり前のことです。また「知見と教訓を将来に語り継ぐことが歴史に対する責任」だと訴えるそうですが、それを言うのなら、戦後の不処罰は解決されていないだけでなく、公立校の授業で教えることも禁止されています。リップサービスだけで終わるのではなく、有言実行してほしいものですね。

それにしても、なぜ教訓として大きな政策を出せないのでしょうか。こんなちっぽけな「教訓」をサミットで演説して、日本の代表者として恥ずかしくないのでしょうか。今朝の朝日新聞が指摘していたように、世界の中で日本がどんどん疎外されているのがよく理解できます。立教大学長が「大学は考える場である」と述べていましたが、教育者としてその責任感を痛感しています。将来教訓と常識を混乱したり、深く考えることができない社会人を生み出さないためにも、私ももっと努力をしないと!
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今月のDAYS JAPANに興味深い記事があったので、思わず購入してしまいました。小出裕章さんの「原発は犯罪である」。

「日本が法治国家であるならば、日本政府は法律を守るのは最低限のルール」と説き、チャップリンの「殺人狂時代」という映画の中にあった、殺人を犯した人間のセリフ「一人を殺せば殺人者だが、百万人を殺せば英雄だ」を引用しています。そして「日本政府がこんな被害を生じさせても、英雄とは言わないまでも誰も処罰されない、だれも責任を問われないのです」と小出さんはつづっています。

これは原発問題だけでなく、まさにコンゴとルワンダ、その他の紛争(後)の国でも起きていることと同じです。ICCが逮捕しているのはプチ戦争犯罪人ばかりで、リーダー格の戦争犯罪人は英雄であり、豪華な生活を過ごしており、かつ外国のジャーナリストや政治家からもちやほやされています。

私はこのブログで、そして講演などでしつこいほど、この不処罰(impunity)について話しているのですが、アフリカの遠い国だけでなく、日本でも起きていることなのです。もちろん今に始まったことではなく、戦後の処理に関しても同じ。気づいている人は多くないのですが、それって平和ボケしているせいでしょうか。

そもそも原発問題を「事故」として注視するから誤解を与えるのであって、上杉隆さんが言うように、「事件」としてみると、犯罪であることがわかります。問題の責任者は誰であるかも含めて、もっともっとこの不処罰に注目しましょう。





先週末国際開発学会に参加したのですが、その中でも「東日本大震災と国際協力:大震災が国際協力・国際開発研究に突きつけたもの」というパネルディスカッションでショックを受けました。
 
1つ目は、原爆や放射能がこれだけ深刻な問題になっているのに、それについてパネリストが一切触れなかったこと。3月下旬に東日本大震災支援ネットワークという集会に参加した際も、福島について何の議論がありませんでした。あれから2か月たっても全然進展がない!今回パネリストが福島で活動をしていないこともあるのですが、それならなぜそのような人を招聘しなかったのでしょうか。「臭いものには蓋」では、結局自己満足、あるいは実績を残すための企画となります。
 
2つ目は、被災民の視点や問題がほとんど語られていなかったこと。話の中心は団体の活動報告、団体間の調整、情報発信(それも「(放射能の危険さなど)正確な」情報に関する議論ならまだしも、単に情報量の話)の問題です。当然のごとく、大震災は現在進行形で今も続いており、被災民は本当に苦しんでいます。彼らが一日でも早く、安全で人間らしい生活ができるように助けるのが我々の優先なのではないでしょうか。私は以前、難民や国内避難民への支援や保護といった人道・緊急支援に従事していたこともあり、この「のんびりとした」(失礼)議論についていけず、イライラしてしまいました。
 
パネルデイスカッション後、主催者にそのように述べると、「時間があれば被災民の話も話すことができた」という返答でした。いや、時間不足ではなく、(限られた)時間をどう活用するかという問題ではありませんか。まず議論のプライオリティは何かを決め、時間があれば、優先順位の高くないものも話すこともできたはずです。
 
結局、国際協力と開発の現実もこんなものです。ご多忙な「エリート」は現場を見ずに(行ったとしても、アクセスがいいところだけ行き、時間がかかったり、交通不便のところには行かない)、下(弱者)の視点をほとんど政策に反映しない。そのため過去50年間、形だけの「国際協力」をしても、貧困や紛争はまだまだ残っているだけでなく、地域によっては悪化しています。東日本大震災を機会に、国外への協力や開発の政策を真剣に、かつ厳しく見直すべきでしょう。
 

昨日、NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)による「東日本大震災:人権の視点から見た被災地」の報告会が開催され、大変いい勉強になりました。私も女性の人権(権力文化)について話しましたが(関心がある人は前のブログを見てください)、ここでは興味深かった点、①被災者へのアプローチ方法と②マッサージ効果について書きます。

①HRNのメンバーの多くは弁護士でありますが、弁護士が司法相談のためにいきなり避難所に行っても、被災者はなかなか来ないとのこと。何事も訴訟をするアメリカと違って、日本では「特別な重要な相談」がない限り、弁護士に相談することは稀なので、市民との間に距離感があるのですね。その距離感を縮めるために、弁護士の中に紙芝居を使って法律について分かりやすく説明したり、ハンドマッサージをしてから被災者の相談にのる人がいました。

私もアフリカの難民・国内避難民キャンプで働いていた時、難民と難民に支援・保護(の手伝い)をする側の間には、距離感があることに気が付きました。支援する側が外国人であれば、なおさらのことです。キャンプ内にある事務所で難民が来るのを待つのではなく、なるべくキャンプ内を歩き回り、彼らの生活を観察したり、食事をともにしながら難民の問題について理解しようと努力しました。保健でも、病院や保健所で患者を待つのではなく、医者や保健ワーカーがコミュニティーに出向かなければ、保健に関する実態はわかりません。そう、このoutreach(出張サービス)をすることで、かなり問題の全体図が把握でき、また問題解決にもつながる可能性が高くなります。

②マッサージは単に「ぜいたく品」ではなく、精神的にかなりリラックスするなど、効果が高いことは皆さんも知っているかと思います。①のハンドマッサージをしている弁護士は、マッサージをされた被災者の大人が自分から悩みを話しだしたこと、また子供もハンドマッサージを受けながらも、学校での悩みについて打ち明けたと言っていました。大震災後に離婚相談をする被災者が増え、それは夫婦間の価値観の違いに気付いたからとか、相手に失望したからという理由からであるのですが、もしかして、中には夫婦間のコミュニケーション不足の問題もあるかもしれません。夫婦間でマッサージをしながら、その日にあった出来事や悩みを共有することによって、仲が取り戻せるのではないでしょうか。もちろん大震災・原発メルトダウンという異常なことが起きたので、そう簡単には3/11前の生活に戻すことはできないでしょうが、トライする価値はあると思います。


最近すっかりブログをさぼってしまいました。。。。ドイツの出版社から英語で本を出版することになり、その原稿を来週月曜までに提出しなければならず、今必死に最終チェックをしています。1990年以降のアフリカ大湖地域の紛争では南ア政府が平和創造の役割を果たしたのですが、それを批判的に分析した内容の本です。数年前に提出した修士論文をもとに更新しているのですが、改めて思ったのは言語によって情報が少し違うこと。そもそもコンゴやルワンダはフランス語圏なので(ルワンダは英語圏になっていますが)、一般的にフランス語の本、あるいはフランス語圏の著者による本の方が正確に書かれており、英語の方は単純化して(意図的に?)されています。なので、私のフランス語の読解力は英語に比べると衰えているのですが、フランス語の本を読んでいるところです。内容も重たいために、正直疲れます。。。。

学生のみなさん、視野を広めるために、日本語の本だなく、外国語の本も読んでください!

ところで、5月31日19:00-21:00にNGO ヒューマンライツナウ主催の「東日本大震災:人権の視点から見た被災地~現地調査報告会」が青山学院大学で開催されます。私も調査に参加したので、女性の人権について話をします。被災地の問題を人権の観点から取り上げる団体はあまりないため、この報告会はそういう意味で貴重だと思います。関心があれば、ぜひ聞きに来てください。詳細に関しては、下記まで。

http://hrn.or.jp/activity/topic/531-1/
大震災における人権の状況を把握し政策提言をするために,GW中,仙台と石巻で人権調査をしました。避難所を視察し,女性,高齢者や身体障がい者など弱者を支援する団体と面談したのですが,一番ショックだったのが,宮城県(あるいは東北?誰か教えてください)における「男性の権力文化」です。東日本大震災と阪神大震災との比較の際に,よく災害の面積の違いや原発・津波の有無が挙げられますが,この権力文化の有無も大きな要素だと思います。阪神の女性は少なくとも男性に言いたいことは言えます!(阪神出身の私もそうです!)このような「権力のしがみつき」は災害後,家族,財産,家や仕事を失った男性の多くに見られるのですが,それは男性が自身のアイデンテイテイやプライドを保つためだと考えられます。
 
避難所のほとんどが自治体や校長先生などの男性によって運営されているのですが,そこで女性は反論できず,ずっと耐えています。授乳の場所も女性の更衣室もないところで,若い女性は我慢しており,布団の中で着替えているとか。仕切りが提供されても使わないのは,男性によると「一体感がなくなるから,みんなとコミュニケーションがとれないから」。仕切り,更衣室,女性専門の部屋,化粧品等の女性の要請は,単なる「わがまま」として男性に受けとめられています。情報まで管理され,避難所によってはチラシ配布までが禁止・制限されているのです。
 
確かに現場のニーズを聞くことは,人道・緊急支援や開発において重要ですが,ここで指す現場とは男性を意味しており,意味がありません。一層のこと,現場のニーズを聞かずに。仕切りを強固につくる仕組み,あるいは「命令する」仕組みをつくった方がいいのではないでしょうか。
 
留意しなければならない点は,大震災当初の被災者のニーズは食料,毛布やガソリン等でしたが,2カ月経った現在は,春物の服,化粧品,洗濯機,雇用,お弁当や炊き出しでない食事(ステーキなど)と変わっていることです。行政やNGONPOはその変化に合わせて,早急に対処すべきでしょう。確かに大震災直後食事がまともに取れないときに,「化粧品が欲しい」と女性が言えば,「何を贅沢な!」と周囲から怒られたでしょうが,2か月経った現在,仕事や子どもの入学式など外出する際に,少しでも化粧をしてきれいになりたいと思うものです。そのような女心を男性に分かってもらいたいですね。
 
女性の視点で災害マネージメントを強化しないと,女性の犠牲者(DVなど身体的なものだけでなく,PTSDなど)はどんどん増えるでしょう。皆さんもこれに関して何ができるのか,いろいろ考えてください。
大震災以降,「がんばろう日本!」というスローガンがあちこちに見られ,それを疑問視する声が市民からあります。先日郡山に行った際も,現地の人々が「あれは東京発の声。放射能のせいで,我々が県外に行くと「バイ菌」扱いされているのに何をがんばれっと言うの?」と。まさにその通りで,原発などの問題の原因が解決されていないのに,がんばろうという声だけを独り歩きしています。
 
話はそれますが,「がんばろう日本」のスローガンの問題についてある在日外国人(アフリカ諸国)と話していたら,以下のようなコメントが返ってきました。
 
「私は日本政府を批判することはできない。何しろ,アフリカの多くの国では,戦争や性的暴力が起きようと,それを話題にしないだけでなく,その事実を認識しようともしないから。東電の清水社長が被災民にぺこぺこ謝っていたが,あんなことはアフリカではありえない。昨年アフリカのいくつかの国々が独立50周年記念の行事をし,そのような大きなイベントには各政府はエネルギーと金を費やしたが,肝心の問題に関しては議論もしない。もちろん完璧でないかもしれないが,日本政府の現在の対応を賞賛したい。」
 
うーん,アフリカ諸国の人からすると,日本政府の対応は評価できるんですね。まあアフリカで起きている上記のケースは最悪と思った方がいいので,あまり比較したくないのですが。
 
話は戻って,昨日ビンラディンが殺害されてから,オバマ大統領が「これで世界がより安全になる」と述べ,「Justice for all(皆に正義を)」とスローガンのように繰り返していますが,その単純さに驚くとともに呆れてしまいました。ビンラディンの殺害で,世界のテロの原因は本当に解決されたのでしょうか。彼の殺害をアメリカ人が喜ぶ姿を見て、新たなテロを引き起こす(タリバン)可能性もあるというのに。また「皆に正義を」と言う前に,自国アメリカが犯している戦争犯罪などを反省し,対処してほしいですよね。あと今のICC(国際刑事裁判所)の機能はどうなっているの?とも聞きたくなります。(ある学者がICCのことを,「西洋人によるアフリカ人のための裁判所」と述べていましたが,本当にその通りです。)
 
単なる標語と思われるかもしれませんが,それによって傷ついている人,怒りを感じた人も大勢いることを知る必要があると思います。このようなキャッチフレーズの意味づけや,誰の視点のものなのかなどについて,もう少し考える必要がありますね。
429日人権の調査で郡山に行き,現地の弁護士など女性何人かに会いました。他の県と違って,福島県は支援などのニーズが高いにもかかわらず,放射能が高いため,メディアやNGO等が県内に入ることはほとんどありませんでした。想像していたとおり,家庭暴力(DV)で悩んでいるケースは多くあり,ここでは2例紹介します。
 
   DVが原因で離婚したばかりの女性が,同じ避難所に元夫がいるのではないかとハラハラしているとのこと。避難所内に女性の部屋をつくって欲しいと避難所の運営委員(行政)に要請すると,「ここの市民にならないと保護ができない」と言われ,元夫を避けるために車の中で寝泊まりしている。
   別居中のある夫婦の子ども2人は父親と住んでいたのだが,その子供らが津波で亡くなった。それにもかかわらず,夫は妻に「お前が殺した」と言った。
 
と同様な悩みを抱えている他の女性らも,やはり行政に「(一人だけ)特別扱い」できないとか,今被害を受けている人ならまだしも,「もしかしたら被害になるかも」と想定して助けることができないと冷たく突き放されたとのこと!自殺や虐待等の問題が日本社会に一般的にあるにもかかわらず,「対処」でなく,「予防」で解決しようという発想がないのかしら?
またDVの犠牲者が警察に訴えても,「この忙しいのに!家庭内のことは夫婦で解決しろ」と怒られたとのことです。もちろん大震災後,警察の仕事が増え彼らが心身ともにストレスを抱えているのはわかりますが,日常時以上に現在の一般市民のイライラ度は増し(この原因は原発に関する正しい情報を公開していない日本政府やメディアにもあるのだが),それがDVというところに現れていることを知らないのでしょうか?本当に呆れると言うか,怒りが高まります。
 
これらはほんの一例で,報告されていないケースも多くあるでしょう。私は3年前まで,「女性や少女にとって世界最悪の場所」”rape capital of the world”(世界におけるレイプの中心地)と呼ばれるコンゴ東部で勤務していたのですが,性暴力はコンゴだけでなく世界共通の問題であり,しかも昔から行われています。日本政府が認めていない慰安婦問題もそうです。我々は性暴力の原因や改善策についてもっと真剣に考えない限り,将来もずっと続くことでしょう。
 
私が思うには,男性は女性以上に「弱者」であるため,ケアを要しています。世界の被災地を見渡すと女性を支援する団体はありますが,男性対象のものはほとんど皆無です。権力者である男性に特別な支援は不要だと思う人もいるでしょうが,本当にそうでしょうか。
下記は著書「アフリカから学ぶ」(2010)の中で,私が書いた章「人道支援や平和構築の知恵~難民・避難民の視点で考える」(165-166ページ)の一段落です。これに意見がある人は批判も含めて,私に送ってくだされば幸いです。
 
(避)難民男性の弱さと暴力
一般的に、(避)難民女性と子供は社会的弱者といわれる。女性は軍隊や反政府勢力の兵士におそわれて性的暴力にあったり、家庭暴力に悩まされる。子供は避難で移動中に親と離れ離れになったり孤児となる。また子供は大人に従順であるため、徴兵や児童労働の対象にされやすい。こういった弱者の女性と子供が自立できるように、人道支援団体が支援プロジェクトをおこす。女性と子供に対する呼びかけがあまりに強いために、男性が忘れてしまいがちだが、女性と同様に、あるいは女性より精神的に弱いのが(避)難民男性であろう。

 それは女性と男性の生活ぶりを観察していると、わかることだ。避難で移動中も(避)難民キャンプ内でも、女性は子供や老人の世話、食事の支度、薪集め、水くみ、洗濯で朝から晩まで忙しい。女性は現実に追われながらも、たのもしい存在だ。その点、男性らは昼間から木の下に集まり、地元の酒を共にしながら、国のノスタルジアにふけたり、母国の政情について議論をする。彼らは母国では家の一本柱として、子供たちや妻から尊敬されていた。もちろん、その身分は難民になっても同じだが、金も家もない難民となったことで、自分に誇るものがなくなる。それに加えて、もし避難中に家族の一員が軍人に暴行を受けたなら、世帯主として、かつ男性として、家族を守る責任が果たせなかったと自分を責め、ますます自信をなくす時もある。家(キャンプだと小屋)での居場所がなくなるわけだ。
一般的に男は強くなくてはならないと育てられているため、弱音が吐けず、ますますストレスがたまり、家庭内暴力を起こすはめになる。それがキャンプ内の暴力や治安問題へと導くこともある。女性や子供を支援するとともに、男性にも精神的カウンセラーや、自信を取り戻すための支援が必要なのである。
 
 
4人の母乳からヨウ素が検出されたニュース,同じ女性として大変心が痛みます。それと同時に,政府への怒りが高まりました。こんな緊急事態なのに,枝野官房長官は「過度な心配をしなくても大丈夫な状況だと判断しているが、お母さま方は心配だと思う。念のため、政府としても一定の調査を行う必要がある」と「他人事」のように述べたからです。上記の女性をはじめ,妊婦さんなどがどんなに怖い思いをしているのかわかっているのでしょうか。
 
結局この原発事故は,永田町や霞が関の人間にとって,「他人事」なのですね。もし自分の家族が原発周辺で犠牲になっていれば,もっと真剣に対応をしていたはず。まあそもそも権力者は,危険な原発周辺に自分らの家族を住ませないのですが。
 
もちろん原発事故だけでなく,沖縄の基地に関しても政府は「他人事」として取り扱ってきました。沖縄タイムズに「原発は基地問題と似ている。普段は押し付けて、助けが必要な時は見捨てられる」と書いていましたが,本当にその通りです。政治家や首都圏の中流以上の住民の豊かな生活を保つために,基地や原発を押しつけられている現地住民の生活が脅かされつづけています。最近は使わなくなりましたが,これはまさに昔でいういわゆる「権力国」と「非権力国」間の「南北問題」と同じ構造です(よく「先進国」とか「発展途上国」という呼び方をするが,この呼び方は好きではないので,あえてこのように使った)。
 
日本国内に限らず,海外で起きていることも,他人事でなく「自分の問題」としてとらえ,それに対して行動できる人間をもっともっと育成しなくてはなりません。大学教員として私はその責任を感じるとともに,若者も今の原発事故から教訓を学んでもらい,将来二度とこのような犯罪を繰り返さないために何ができるか考えてもらいたいものです。
下記の「東京電力/電事連がもたらす「大本営発表」(ジャーナリスト上杉隆)を転送します。

下の方に「3月までは「日本は悲惨な震災にみまわれた、かわいそうな国」という論調でしたが、4月4日を境に日本は被害者から加害者になりました。なぜなら、東京電力が(中略)「高レベルの放射性物質」を含む汚染水を(中略)海への放出を開始したからです。」と書かれています。

これを読んで,「日本はルワンダと同様なことをしている!」とショックを受けました。「日本は世界の海を汚染をしている」という認識はありましたが,確かに加害者であると言えますよね。。。

(虐殺を経験し,被害者であるはずのルワンダがなぜ加害者なのか?1996年のコンゴ戦争の際に,隣国のコンゴに侵入して「虐殺」に値する行為を犯したからです。詳細を知りたい人は,ぜひ著書「世界最悪の紛争『コンゴ』」を読んでください)

私は以前アフリカの紛争地で働き,平和と紛争の研究をしていますが,まさに現在の日本も,原発との戦いという意味では「紛争」状態にあります。そして「原発紛争」と「武装紛争」の権力の構造や行為は本当に同じであることを確認しました。



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「私は干された」ジャーナリスト上杉隆の証言

東京電力/電事連がもたらす「大本営発表」 TBSラジオを降ろされた真相 

上杉隆  うえすぎ/たかし ジャーナリスト、自由報道協会(仮)暫定代表。

4月6日、東京/衆議院第一議員会館で開かれた鳩山由紀夫前首相主催勉強会
http://www.asyura2.com/11/senkyo111/msg/665.html での話を要約。
(まとめ/構成 伊田浩之(編集部)「週刊金曜日」2011年4月15日つけ掲載)

新聞やテレビが垂れ流す「安全」報道に違和感が広がっている。
批判を続ける雑誌がある一方、『週刊新潮』『週刊ポスト』等の
週刊誌も「安全」に大きく舵をきった。
「大本営発表」はいかに進路を誤らせるか。
教訓を思い出す必要がある。


3月まで私は、TBSラジオの番組「小島慶子 キラ☆キラ」に出ていました。
そこで東京電力や電事連(電気事業連合会)に関して、
「情報隠蔽(いんぺい)しているんじゃないですか」と、
15分間のコーナーで話しました。
生放送が終わった後、番組のプロデューサーが来て、「上杉さんちょっと
いいですか、今月いっぱいで辞めてください」と突然言われました。
2週間前には「4月以降もよろしくお願いします」と言われていた。
理由は判然としませんが、いきなりの降板であることは事実です。

同じ週にはこんなことがありました。
通信衛星(CS)やケーブルテレビなどで視聴できる「朝日ニュースター」に、
電事連がスポンサーだった『ニュースの深層』という番組があります。
私は火曜にキャスターをしており、原発震災後、現地に入ったフォトジャーナリスト
の広河隆一さんや、中国電力が計画している上関(かみのせき)原発を取り上げた
映画『ミツバチの羽音と地球の回転』を作った鎌仲ひとみ監督をゲストに呼びました。
また、木曜日のキャスター、葉千栄(ようせんえい)さんは原発震災を警告してきた
作家の広瀬隆さんを出演させました。

すると、電事連が「とてもスポンサーができる状態ではない。
検討してください」と言ってきたそうです。
「朝日ニュースター」の岡崎哲也/報道制作局長は降板させることを拒否し、
当時は無広告放送で流しました。

つまり、政府や記者クラブメディアの情報と違うことを言う人間は
全部メディアから消せという流れです。
自分が当事者でありながら、なにか映画の世界にいるような
不思議な感覚になるんです。
これは、実際起こっていることです。

既存メディアを全否定するわけではありませんが、雪印集団食中毒事件や
市川海老蔵さんなどの事件では、記者たちが自宅にまで押しかけ、
「出てこい、会見しろ」というわけです。
しかし、今回の原発震災では、東京電力の清水正孝社長がなぜ会見に出てこないか
質問した記者は、私が聞くまでいませんでした。
新聞やテレビの大スポンサーを傷つけない、電事連に関しては絶対に批判しない
というタブーがあるわけです。

これが日本の今の状態です。
およそ70年前のいわゆる大本営発表と全く同じことが起こっている。
ミッドウェーで完全に負けても「転進」と言う。
危機的状況は、現場の軍人も政府も知っている。
新聞記者も気づいていたのに正しく報道しない。
その結果、皆さんがご存知のとおり約270万人の日本人の命が失われた
(編集部注/犠牲になった人数は諸説あり)わけです。


///官房長官会見から排除される///

とにかく正しい情報を公開させないといけない。
だから、地震発生翌日の3月12日午前5時から、首相官邸の横の
国会記者会館に車を止めて電話をかけ続けました。
笹川武/内閣広報室長や、西森昭夫内閣調査官、枝野幸男官房長官、
福山哲郎副官房長官、細野豪志総理補佐官にこう伝えたのです。

「海外メディアの一人でいいから官房長官会見に入れてくれ。
こういうときに誰も攻撃なんてしない。
フランスも米国、ロシアも核に関する情報を持っている。
場合によっては、ジャーナリストは質問することによって情報を伝えることがある。

フリーランスの記者も現場に行ってる。
福島は大変なことになる。
日本のテレビや新聞は死亡者12人などと政府集計による報道をしているが、
フリーランスは数多くの遺体を見ている。
早く救出に来てくれればまだ生きている人がいる。
発生から72時間以内なら助けられる可能性が高いのだから」

一度入浴しに帰った以外、4日間にわたって申し入れをしましたが、
全然ダメでした。
フリーランスは今もほとんどの会見に入れません。

「じゃぁ、インターネットメディアのカメラマンだけでも入れてくれ。
自分たちはネット中継を見ながらツイートするなどして情報を発信するから」
と申し込んだわけです。
被災地にはテレビもない。
新聞なんか届かない。
でも、携帯電話を使ってツイッターなどネットメディアを見られる人はいました。
だから、ネット情報が命を救うかもしれない。
ガイガーカウンターを持って現場に入っている記者の情報を
伝えられるかもしれない。

現在、ネットメディアのカメラが入っていますが、
当初は全然だめでした。
「じゃぁ仕方がない、政府がツイッターアカウントをつくってくれ。
それをリツイートしますから」と申し込み、政府は震災発生から3日目に
ようやく「官邸災害情報(@kantei_saigai)」をはじめました。


///海洋犯罪テロ国家になってしまった///

海外メディアの報道が厳しさを増しています。
しかも、その危機感が官邸にありません。
3月までは「日本は悲惨な震災にみまわれた、かわいそうな国」という論調
でしたが、4月4日を境に日本は被害者から加害者になりました。
なぜなら、東京電力が福島第1原発2号機から海に漏れ続けている
「高レベルの放射性物質」を含む汚染水を集中廃棄処理施設で貯蔵するため
として、同施設にたまっている「低レベル汚染水」1万1500トンの
海への放出を開始したからです。

つまり、日本は放射能を公共の財産、世界の財産である海洋に撒き散らす
海洋犯罪テロ国家になった。
大げさじゃない。
海外メディアに触れられる方は海外メディアをご覧になってください。

そして、放出の発表にもプロパガンダ(宣伝)が隠されています。
放出したのは「低レベル」と日本のテレビや新聞は言ってます。
東電の会見で、低レベルと高レベルの区別の基準を尋ねると、
「東京電力の相対的な基準」だと答えました。
海外の基準に合わせると、低レベルは高レベルです。
そして高レベルは超高レベルの汚染水です。

しかも、その超高レベルも漏れている。
日隅一雄弁護士や木野龍逸さんというフリーのジャーナリストが
東電会見で追及し続けています。
そのレベルは、東電の資料には毎時1000ミリシーベルトと超える
と書いてます。
「以上の具体的数値」を聞くと、東電は「測ってない」と言う。
「なんで測ってないんですか」と言ったら、
「測る機械を持っていない。よって測っていません」と言う。

250ミリシーベルトを被曝すると、白血球が破壊され始めます。
つまり、毎時1000ミリシーベルトだと15分でそうなる。
毎時2000ミリシーベルトだと7分半です。
具体的な数値がわからないと危険なのに、計器がないから測らないと言う。
これが東電の正体です。
プルトニウムの測定でも嘘をつきました。

菅政権が今後、どんなにいい政策をやっても国際信用力はゼロ。
むしろマイナスなんです。
菅さんは悪い人じゃないんですが、放射性廃棄物を意図的に投棄する
犯罪行為を行なったわけです、海洋汚染犯罪国家のリーダーを
そのままいただいている国は誰一人信用しません。
煽るわけではありません。
ただ、菅直人首相と東京電力、それから日本の大メディアも批判されて
ますが、この体制が続く限り、日本は国際的なプレーヤーではないし、
信頼にたる国ではないというレッテルを残念ながら貼られてしまっています。
犯罪者のレッテルを剥がす作業を早くやらないと、
いま放射能の汚染地帯で苦しんで避難されている方、
それから漁民や農民の方々など、全員が立ち直ることはできないと思います。

最近テレビを観なくなりました(もともとそんなに観ないのだが)。なぜなら日本のメディアは原発に関する情報を規制しており,ニュースでは復興の映像,避難地で元気に生活をしている家族の姿,「心を一つにがんばろう」「日本は乗り越えられる!」といったメッセージの広告を「プロパガンダ」のように繰り返し放映し,それが嫌になったからです。その代り,私が頼りにしているメディアは,政府から独立し,個人の寄付金だけで運営し市民の声を大事にしているDemocracy Now! や外国のメディア,MLなど。日本のメディアが放映しない「原発反対!」のデモに関する情報や,原発反対派と賛成派の議論の番組などから学ぶことが多いからです。
 
3/11後の日本メディアの情報操作は,大げさ・失礼ながらも,1994年のルワンダ虐殺に似ています。80万人の犠牲者が発生したルワンダ虐殺時では,ラジオが活躍しました。反ツチ族の洗脳キャンペーンを繰り返したラジオは虐殺を煽り、殺人者たちの情報源となったのです。今回の原発事故では,虐殺や戦闘の目的で日本政府は市民を動員していないものの,政府はメディアを活用しながら市民を洗脳し,コントロールし,それによって真実を隠しています。政府や原発の専門家は「放射能は直ちに危険はない」のコメント,また原発事故に対する暫定評価が、「レベル5」から「レベル7」に悪化しても,「チェルノブイリと比較できない」とばかり。自然エネルギー派が増えている中,原発を守ろうとする政府の懸命な姿が見え見えです。日本は西洋諸国に比較すると,市民社会やNGOの力は弱く,日本市民も市民社会から情報を依存する傾向は少ないため,政府やNHKの情報を鵜呑みしてしまうんですね。人を疑うことを知らず,「平和ボケ」になってしまった日本人を情けなくなります。
 
このブログで繰り返し書きましたが,我々はルワンダをはじめアフリカのことを批判したり,からかったり,偉そうに物事を言える立場にはもはやないと思います。問題は違っても,政府は同じ方法で対処し,それによって同じ誤りを犯しているからです。
 
私は現在,大学教員という学生に「指導」する立場にいますが(と言いながら,私の方が教えられることが多いのだが),学生には批判力や問題解決力を身につけてもらい,そして弱者に常にハートを持ってほしいものです。どんなに高い学歴や素晴らしい実績を持ったとしても,相手の痛みがわからない,あるいはわかろうとしない人は,正直人間失格と言えるからです。
下記は転送されたメールです。大変重要な内容なので,特に乳幼児お持ちの方と妊婦は読んでください。


☆ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリから学ばない原子力政策 ―子どもたちに対する、的確な放射能被ばく対応を望む―
(木村盛世のメディカル・ジオポリティクス カフェ。4月12日)


木村盛世(きむら・もりよ)=
医師/厚生労働医系技官。米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部修士課程修了。内科医として勤務後公衆衛生の道へ。米国CDC(疾病予防管理センター)多施設研究プロジェクトコーディネイターを経て帰国。財団法人結核予防会に勤務後、厚労省入省。現在は厚労省検疫官。専門は感染症疫学。

http://kimuramoriyo.blogspot.com/2011/04/blog-post_12.html

http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/367.html

(注:文中にあるリンクはすべて「PDFファイル」となっている)


福島原発の状況は、今なお予断を許すものではありません。
今回は、放射性物質の人体への影響について書いてみます。
というのも、現在の政府対応は、妊婦や乳幼児に対してあまりにも「甘い」と感じるからです。

http://www.nsc.go.jp/bousai/page3/houkoku02.pdf

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf

人が放射線にさらされる事を「被ばく」と言います。
被ばくは、体の外側に受ける外部被ばくと、
体内に放射性物質がとりこまれる、内部被ばくに分かれます。
外部被ばくは、衣類を脱ぐ、あるいは洗う等により、影響を取り除く事ができますが、
体の中に入ってしまったものは、
放射性物質が自分で少なくなる(崩壊と言います)のを待つか、
尿や、汗、あるいは便から体外に排出されるのを待つ以外はありません。
このため、内部被ばくがより重要なのです。

放射能による最も重大な健康問題は、「がん」です。
がんは、細胞ががん化する事によって起こります。
その一つの原因が放射能なのです。
放射性物質は、遺伝子であるDNAを傷つけます。
傷ついた遺伝子は、がん細胞という、暴走する異常細胞を生みだすのです。

多量の被ばくをして、急性のがんが発症する事がありますが、
それ以上に問題なのは、将来起こるであろう細胞の「がん化」です。
がん化には約20年が必要と言われています。
このため、放射性物質が身体の中に居る期間が長いほど、
がん化する可能性は高くなるのです。
子どもは、大人より死ぬまでの時間が長いわけですから、
被ばくを受けた年齢が低いほど、がんになる確率も高くなってきます。

原発の事故等では、多くの種類の放射性物質が飛び散ります。
その中で、重要なのがヨード131、セシウム137、ストロンチウム90、といった物質です。
体内にどのように取り込まれるか、と言えば、
主に、鼻や口といった呼吸器から吸収されるものと、
食べ物から入る経路の2種類が挙げられます。

どちらから体内に入るのが多いか、というのは、
その放射性物質の種類によって異なります。
その種類ごとに、預託実効線量とか、等価線量等を用いて、
内部被ばくを計算する事が出来ます。
この計算は、想定する条件(放射性物質の種類、放射性物質の量、食べ物と、呼吸と、
どれくらいの確率で吸収するか、性、年齢、体重など)で、
違った計算式ができますし、同時に違った答えが出てきます。

ある人の計算では、そんなに高くない被ばく量が算出されます。
それをもとにして意見を言う人は、「特に健康問題には影響ない」と言うでしょうし、
シビアな状況を仮定した答えに対しては、「非常に危険である」と言う事になります。

この記事では、その答え一つ一つに対して意見を言うつもりはありません。
繰り返しますが、何が問題なのかと言えば、
今回の原発事故において、妊婦や小児(特に5歳未満の乳幼児)は、
大人以上に放射能の影響を受けやすいという事実を、
政府もメディアも、あまり認識していないのではないか、ということです。

忘れてはならないのは、子供は小さな大人ではないということです。
よく小児科医が私に言っていたことですが、
「子供は大人とは違った生物である」という言葉がぴったり当てはまります。
何が違うのかというと、放射能から受ける影響が、大人と比べてけた違いに大きい、
ということです。
お腹の中に居る時から、歩けるようになるまでどんどん成長します。
ですから、代謝すなわち、遺伝子の複写も活発に行われますから、
影響を受けやすいのも当然と言えます。


ここでは、放射性物質の代表格と呼べるヨード131とセシウム137の、
子どもへの影響について書いてみたいと思います。

まず、ヨード131です。
ヨード131の多くは、消化管から飲み物や食べ物と一緒に吸収されます。
吸収されたヨード131のうち、約20%は甲状腺に蓄積されます。
残りの80%は、体の外に出ていきます。

人類は過去、大きな放射能汚染を経験しました。
原爆、マーシャル諸島での核実験、チェルノブイリ原発事故、等です。
被ばくした乳幼児を追跡して分かった事は、
彼らたちは、大人と比べて、ヨード131の影響を受けやすく、
甲状腺がんになりやすい、ということです。

特に新生児は、甲状腺機能が活発です。
生後10日は、成人の3~4倍のヨード取り込みが行われます。
また、小さければ、甲状腺の大きさも小さいですから、
成人と同じヨード131の被ばく量を受ければ、
小さな甲状腺に、大人より、高濃度のヨード131が凝縮します。
ヨード131は、食べ物から体内に入る経路が多い、と書きましたが、
子どもたちは大人と比べて、消化管から吸収しやすいのが特徴です。
すなわち、乳幼児、新生児などの小さな子どもは、
よりヨード131を体内に取り込みやすい、といえます。

ヨード131は、乳にも移行します。家畜も人間と同様に被ばくします。
一般的に、子どもの方が大人より牛乳を良く飲むので、
それだけ、被ばくを受ける機会が多い、と言えます。
また、母乳中にも出てきますから、ヨード131に汚染した母乳を飲んだ赤ちゃんにも、
放射性ヨードが蓄積されます。

ヨード131は胎盤を介して、お腹の中にいる胎児にも移行します。
甲状腺が機能し始める、妊娠12週ごろからは、活発にヨード取り込みが行われます。

http://www.atsdr.cdc.gov/toxprofiles/tp158.pdf
(The Agency for Toxic Substances and Disease Registry (ATSDR) ,
米国保健省、毒物による疾患登録機構:ヨード)

ヨード131と小児甲状腺がんの関係はおわかりいただけたと思います。

それではセシウム137は、小さな子どもに、どのような影響を与えるのでしょうか。
セシウム137はヨード131以上に危険です。
なぜなら、ヨード131は比較的短い期間で体外に排出されるのですが、
セシウム137は長期間、体内に残ります。
放射性物質は、時間と共に減ってゆく(崩壊)のですが、
この目安となるのが、半減期(量が半分になる時間)です。
ヨードが約8日なのに対し、セシウム137は30年です。

セシウム137は、ヨード131と違い、
ほとんどが、口や鼻、といった呼吸器から体内に入ります。
甲状腺だけでなく、体内臓器にまんべんなく行きわたります。
特に、肝臓、腎臓、筋肉(特に心筋)に多く蓄積される、という放射性物質です。

原発事故などで放出されるセシウム137の量は、
他の放射性物質と比べて少ないのですが、健康への被害は大きなものがあります。
繰り返しますが、ヨード131と違って、長期間体内に残るためです。
長く体内にとどまるということは、がんを発生させる危険性が高くなるからです。

「セシウム137と発がんは関係ない」と言う人もいますが、
それは、原発事故等では多くの放射性物質が放出されるため、
どの放射性物質が原因だ、と決めることが難しいからです。

確かに、セシウム137は、ヨード131のように、甲状腺がんの発生を多くさせる、
といった、ある特定のがん発生に関する関係は証明されていません。
しかし、全ての放射性物質は、遺伝子であるDNAを傷つけるわけですから、
「発がん性がある」と考えるのが普通です。

子どもは外で遊ぶ機会が多いですから、
外気あるいは塵から舞い上がるセシウム137を吸い込む可能性が、
大人より多いということがあげられます。また、セシウム137は水に良く溶けます。
小さな子どもは、大人に比べて身体の水分割合が大きいので、
比率として、より多くのセシウム137を取り込む事になります。

また、母乳への移行も多い、という報告があります。
新生児と1歳児における調査では、40~50%の確率で、母乳から移行したという報告があります。
これは、ヨード131の25%程度と比べると多い数字です。

動物実験では、胎盤を介して胎児へ移行する事も認められています。

http://www.atsdr.cdc.gov/ToxProfiles/tp157.pdf
(The Agency for Toxic Substances and Disease Registry (ATSDR) ,
米国保健省、毒物による疾患登録機構:セシウム)

所謂専門家と呼ばれている人たちや政府は、「直ぐには影響はない」と言います。
その背景には、有害放射能による、中長期的な研究があまりなされていない、ということがあります。
しかし、明らかに放射性物質は、ある一定期間体内にとどまります。
そして、遺伝子を傷つけていくのです。

その影響を最も受けるのは、新生児、乳幼児であり、お腹の中にいる赤ちゃんです。

危険性の程度が不確定、と言うのであれば、
最悪の状況を想定する事が必要なのではないでしょうか。
「最悪の状態を考えて行動するのが危機管理の基本だ」と言う事は、
前の記事でも何度も述べている事です。

日本の将来を担う、小さな子どもたちを守ることは、国を存続させるために必要です。
正に、大人の責任である、と言えます。
そのためには、現状のような、「屋内避難」といった、あいまいなことをせず、
乳幼児と妊婦については、半径30キロメートル圏内から安全なところに避難させる、
などの、思い切った対応が必要だと思います。

もうひとつ忘れてはならないのは、被ばくした子どもたちの追跡調査です。
今後どのような疾患が起こってくるか、いつ発症したかなどは、
長期的な疫学調査を行う以外にはありません。
しかし、一向にこのような調査を開始したという話を聞きません。
また、不幸にして、がんを発生した場合のがん登録なども、
都道府県単位で行われているのが現状です(行っていないところもあります)。
追跡には、どこに移り住んでも追えるような枠組みが必要ですが、
これも未整備と言ってよいでしょう。

今回の原発事故は、不幸な出来事です。
しかし、この事故で何が起こったか、そして将来何が起こっていくかという調査をし、
それを発表することは、今後の患者補償のためにも、
そして、世界の原子力開発に置いても、非常に重要な事です。

将来に向けて正確なデータを残すことは、危機管理の一つといえます。
失った命を無駄にしないために、そして、将来を担う世代を守るために、
政府と研究者は速やかに対応して欲しいと思います。



昨日あるNGOのメンバーと話していて盛り上がったのが、「女性の顔が見えない」ことです。大震災関連で登場する人たちは、99%が男性。例外は蓮舫氏(節電啓発等担当相)、辻元清美氏(ボランティア担当補佐官)と原子力大手アレバ(フランス)のCEOぐらい(といっても、前者の二人はほとんど決定権がないのですが)。とにかく政府、東電、「治安」保安院、IAEA、研究者などどこを見ても、男、男、男。。。一般的に女性の研究者は多いのに、原子力関連の研究者はいないのでしょうか。
 
その男性群の共通点は何と言っても、“Cool head, warm heart (クールな頭と温かいハート)“ならぬ、“Hot (or no?) head, cool heart(熱い(あるいは脳自体がない?)頭と冷たいハート)”を持っていることです。失礼ながら、正しい判断力も明確なリーダーシップも不足していて、自分の職、立場やプライドを確保するのに必死になり、最も弱い立場にいる人たちの痛みを理解しようとしない。自分の名誉にしがみつくのは勝手にしてもらっていいのですが、それで罪のない人が直接的に、あるいは間接的に犠牲になるのは許せない行為です。難民や国内避難民がいるアフリカの様々な国において、私は上記のような「偉いリーダー」らに会い、頭が狂いそうになったことが何度もありましたが、今回母国の日本で同様な場面に直面し、アフリカ諸国を批判してはいけないなと反省しています。。。今回の大震災をきっかけに、「アフリカというレンズを通して、日本の弱点を見直すこと」がたくさんありました。
 
私はいわゆるフェミニストではありませんが、今回の大震災を女性がマネージしていたらどうなっていたでしょうか。男性に比べると他人の痛みがもっと理解できる点に関しては、少なくとも原発半径20-30キロ区域を拡大し、数多くの住民、特に妊婦と乳幼児の避難ができたのではないでしょうか。また男性より女性は変なプライドがないため、原発への対処も適切に対処できていたと思います。今からでも遅くないので、緒方貞子さんや他の優秀な女性にリードをとってもらいたいと願うのは私だけでないはずです。。。
Japanese and English version 

以前このブログで書きましたが、一般的に「怒り」はネガティブなもの、精神的によくないものとされています。しかし、時には社会改革のためには必要とされ、まさにそれを発揮しないといけない時期にきています。特にこれからの日本や世界を背負っていく学生や若者(私も含めて!)には、将来の安全・健康と生命のために、大いに怒ってもらいたい。もちろん非暴力で!
 
皆さんは毎日原発・放射能の報道を聞いて、イライラしたり、疑問をもつことはありませんか。私の「ムカムカ」をリストに挙げると。。。
 
  • なぜ東電と日本政府は「正しい」情報を国民に公開しないのか(これに関するデモが東京で行われ、外国メデイアは報道したが、私が知る限り日本のメデイアは報道していない)。
  • (日本政府は原発や放射能の専門家はいないのでなかなか決断が下せないかもしれないが)、なぜ東電は日本政府に「適切に」ガイドしないのか(もちろん意図的であるが)
  • 大変リスクの高い作業員の扱い方があまりにも粗末ではないか。
  • 原発付近の住民が放射能を浴びてきている」と思われて、難地で差別されている(このようなことは許されない!)
  • 避難所で性的暴力が起きている(しかも被害者は小学生低学年!避難民が発生するところー例えばコンゴやハイチーは必ずこの事件が起きますが、もちろん日本も例外ではありません)
  • 妊婦や乳幼児が未だに原発半径30キロにとどまっていること。なぜ80キロに避難しないのか。
  • これだけ原発のリスクの理解度が浸透されているのにもかかわらず、なぜ東電はフランスに福島原発用の核燃料を要請したのか。なぜ日本政府は自然エネルギーへの転換に関する政策が提言・決定されないのか。
  • そしてなぜ人間はエゴが強い、醜い動物であるのか。
 
リストと書きだすと、きりがありません。
 
最後に友人・舩田クラーセンさやかさんの連れのコメント。先日、私は「日本政府は人権侵害を犯している」と書きましたが、彼は「(日本政府が行っていることは)犯罪」だと同様なことを言っています:
 
 
「今のところ言えるのは、現在の測定値を云々するよりも、プルトニウムは半減期―2万4千年、そして現時点において絶えず24時間放出され続けていることです。つまり、一旦外に出たら、ほぼ永遠になくならず、しかも現に増えているということです。この状態を一日も早く止める必要があります。方法はひとつしかありません。分厚いコンクリート等で全面的に負い、封鎖することです。なぜ日本政府はこれを進めていないのか。推測ですが、 Chernobylと同じコンクリートの塊を残せば、これは本当に第二のChernobylだという印象になり、また原子力は人間、特に日本の技術者がコントロールできない技術であるという印象を残すことになるからです。こうなれば、原子力はFINISHEDとなります。
日本製の原発を世界中に売りたいこの政府、国内でもどんどん作りたい政府と行政は、この重大な事故でも、コントロールできるよというメッセージを国民と世界に送りたいと思います。これは致命的な判断ミスです。福島は暴走原発です、コントロール不可能です。今すぐ、抜本的なことをしない限り、汚染がどんどん広がります。今、今日にでも、コンクリート等による封鎖作戦を開始し、半径50キロの地域を緊急に、しかも強制的に非難させる必要があります。今の対策は間違っているだけではなく、これは国民に対する責任の放棄、犯罪です。」

できる所でできることを何でもしましょう!
 
As I wrote previously on my blog, “anger” is considered to be something negative, not good mentally, however, it can be productive and necessary for social reform. Now it is the time to show that anger. In particular, the students and the youth (including myself!), who are to lead Japan and the world in the future are encouraged to do so to assure our safety, health and lives. Of course in non-violence form!
 
Following the news concerning the nuclear plant and radiation, don’t you get upset or have doubt? Below is the list of facts and questions which makes me irritated:
 
  • Why cant TEPCO and Government of Japan share the “correct” information to the citizens? (there was a demonstration on this in Tokyo last Sunday reported by the foreign media but not by the Japanese media);
  •  (although it is understandable that Government cannt make a decision due to the lack of expert on nuclear plant and radiation at the government level), why cant TEPCO guide appropriately the Government of Japan (obviously this is done on purpose);
    • Those residents living close to the nuclear plant, who are considered to receive heavy radiation, are discriminated at displaced places by other displaced persons (this should not happen as these residents have nothing to do with the incident);
    • Sexual violence taking place at the collective displaced shelters (and the victim is a primary school pupil! in any internally displaced person situation such as in the DRCongo and Haiti, there is a high prevalence of sexual violence, but this takes places in Japan equally);
    • Why are those small children and pregnant women still kept within the radius of 30km from the nuclear plant instead of being evacuated outside the radius of 80km?:
    • Despite the fact that the high risk of nuclear plant is well understood presently, how can TEPCO request France to send nuclear fuel to supplement the Fukushima nuclear plant? Why cant Government of Japan make a policy to convert all energy into natural energy? and;
    • How egoistic and ugly human beings are.
  • The treatment of those workers at the nuclear plant is very poor;
 
The list can be never-ending…
Finally, let me add the comment by my friend's (Sayaka Funada-Classen) partner who wrote that Government of Japan is a criminal (I wrote previously that GoJ is a human rights violator…)
 
"Instead of commenting on plutonium’s measure, we should rather focus on the fact that plutonium has been constantly discharged for that past 24,000 years and even now.  In other words, once charged, plutonium doesn’t disappear and in fact is increasing. There is a need to stop this situation as soon as possible, and there is only one way to do so. Building thick concrete as a blockade.

Why the Government of Japan is not doing this? Because, according to my assumption, if you leave chunks of concrete as the Chernobyl case, that gives an impression of “second Chernobyl” and nuclear technologies cannot be controlled by humans, especially by Japan technology. This will lead to the end of nuclear power.

The Government of Japan, which has strong ambition to continue selling Japan-made nuclear power plants all over the world, wants to send the msg to the citizens and the world that this serious incident can be controlled.  This is a fatal misjudgment. Fukushima is a reckless nuclear power plant. Pollution will spread fast unless drastic measures are taken. There is an urgent need to begin the blockade strategy, and evacuate urgently those displaced persons outside the radius of 50km by force. The present measures are not only wrong, but is a criminal abandoning the responsibility of protect the citizens.”
 
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米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
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自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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