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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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最近いろんな人と「将来の日本」について話すことがあるのですが、誰もが悲観的です。ある日本人の外交官は「以前は日本人と言えば国際社会からもっと注目してもらえたのに、最近はそうでなくなった」と言い、ある友人によると「20年前日本語を学んだアメリカ人のエリート学生が今、自分の子供二人にチャイニーズスクールに行かせ(サンフランシスコに住んでいるのに!)、その子供とチェコ人の妻との間で交わされる会話は中国語」とか!わお!海外留学経験者、海外青年協力隊や外交官の応募者、また海外赴任者(海外に展開する日本企業自身も減少)数も減少しています。
 
ウィキリークスには日本に関することはほとんど(あるいはなし?)書かれていないのですが、それは政治家がコロコロ変わる日本が世界にとってあまり重要でない証拠だからでしょうか?
 
あと必ず言われるのが、日本が存在感を薄め、反対に中国のプレゼンスが強くなることです。それに危機感を持つ日本人がいるようですが、中国が世界に対して攻撃的になっているというより、単に日本が内向きになっているだけでしょう。
 
経済力があった頃、日本は世界でちやほやされていましたが、それが現在それほどない、しかもリーダーシップも口も発揮できないとなると、相手にされないのは当然でしょう。金はなくてもいいので、せめて「知恵」や「政策」で勝負したいものです。
 
実はアフリカでも同様なことがあって、例えばコンゴは1970年代のモブツ政権時代アフリカの中でも偉大な存在でありました。来日した際に、当時の昭和天皇がわざわざ羽田空港まで出迎えに行ったのですが、現在はコンゴの隣国ルワンダの方が注目を浴びています。「ルワンダはアフリカン・ドリームと言われるね」とあるコンゴ人に言うと、「昔はコンゴだってそういう風に呼ばれていた!」とその人はムッとするのですが、近い将来日中関係も同様に言われるのではないでしょうか。。。。
 
このような不景気な日本ですが、先日広島大学と国連大学が主催した平和構築人材育成事業(外務省後援)で、平和構築と人道支援について講義をさせていただいた時に、勇気づけられました。その講義の研修生は、学生、防衛庁、外務省、文科省、NGO、医療関係者、教員などで、年齢も2060代と幅が広かったのですが、上記の内向きの若者と違って、積極的で士気や好奇心が強い研修生が多くいました。少数派かもしれませんが、私と同じ物好きな人たちがいて嬉しかった!私の講義がどれだけ役にたったかはわかりませんが、ハンガリー精神を忘れずに、思い切って現場に行き、大いに学んでいただきたいものです。Bon courage!(頑張って!)
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おとついのブログに続き、ルワンダによるコンゴでの「紛争資源」の搾取について。

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日にGlobal Witnessの報告(下記参照)によると、コンゴ産スズの第二の輸出国がルワンダなのですが(第一はマレーシア)、コンゴ産の資源が「ルワンダ産のものであるかのように」世界市場で売られているとのことです。ルワンダ政府関係者は全否定していますが、この情報は地元では誰もが知っている「常識」です。




ところで11月29日に公表された国連報告書にもGWと同様な内容が書かれているのですが、国連報告書にはさらに、戦争犯でICCによって指名手配されているンタガンダ氏の紛争資源の関与について書かれています。そのンタガンダ氏はコンゴ政府軍の将軍として、国連PKOから支援を得ながら掃討作戦の指揮をとっていました。国連PKOは否定していますが、おそらく本当でしょう。ちなみに日本は国連PKOの第2の拠出国ですが、金だけでなく、このような人権問題に関して、口―そして知恵も!-も出していただきたいものです。
 
また国連報告書には、敵関係のはずのFDLR(ルワンダ反政府勢力:1994年のルワンダ虐殺の首謀者やコンゴ人などで構成されている)と元コンゴ反政府勢力の CNDP(2009年3月の和平合意後、コンゴ政府軍に統合されたはずだが、コンゴ東部の一部をまだ支配するといった、政府と平行な行政(parallel administration)が存在する)が連帯関係にあると書いています。実はルワンダ政府とFDLRも本来敵関係にあり、前者は後者のことをテロリスト呼びしているのですが、コンゴ東部にいるFDLRのおかげで(あるいは彼らのプレゼンスを利用して)ルワンダ政府はコンゴ東部の資源へのアクセスがあるのです。そういう意味で、ルワンダ政府とFDLRも連帯関係です。
 
一見ややこしく聞こえますが、要するに戦争経済で関係者は皆協力関係にあるのです。まさにMoney changes everythingですね!
 
ということで、NHKや他のジャーナリストの皆さん!表面的な情報だけを流すのでなく、上記のような報告書をしっかり読んで分析をした上で、ニュースを放送していただきたいと思います。視聴者/読者もそれを知る権利がありますので。よろしくお願いいたします。
今夜10時のBS「今日の世界」で「IT立国をめざすルワンダ最新報告」の特集が放映されたので観たのですが、ちょっと複雑な気持ちになりました。と同時に、ニュースってかなり操ることができ、誤ったイメージを与えることができるなと改めて思いました。
確かに、現在のルワンダは16年前に虐殺があったとは思えないほど発展し、そのためにいろいろな努力もされているのですが、それと共にかなり「悪い」こともしているのです。

例えば「ルワンダは資源がなく内陸国なのに、首都ではベバリーヒルズならぬ、キガリーヒルズという高級住宅地が建てられている」といった報道が番組中されたのですが、それはルワンダ政府軍が隣国のコンゴ東部を侵略している際に、資源を搾取していたからです!!Africa Confidentialや現地の報告によると、現在もルワンダ政府軍がコンゴ東部に入っています!それだけでなく、国連報告書によると、ルワンダ政府軍はコンゴ東部で「虐殺に値する行為」にも関与しました。

こういったこともぜひ報道していただきたいものです。NHK,その他のTV局頑張ってください!
ルワンダで和解関係の活動に5年近く関わり、草の根の様子をよく知っている佐々木さんが、現地で起きている人権侵害の問題についてニュースレターに書いていますのでぜひお読みください。(4ページの最後から5ぺ-ジにかけて)。
http://rwanda-wakai.net/uploads/photos0/17.pdf
  アフリカでのインターンやスタディ-ツアー先に、ケニア、タンザ二アやルワンダを選択する学生が多いようですが、忘れられているウガンダはお勧めだと思います!インターンのテーマも、人道支援(コンゴなど周辺国からの難民がいる)、紛争解決・平和構築、天然資源と環境(コンゴの国境沿いに位置するアルバート湖は国立公園内にあるのだが、そこで発掘されている油田を巡って地元で対立を生んでいる)、HIV/エイズ(ウガンダはアフリカで啓蒙がかなりされていると言われている)などなど。
紛争解決・平和構築の面に関して言えば、長年戦闘地であったウガンダ北部は安定していますが、単にウガンダ反政府勢力(LRA―神の抵抗軍)の拠点がそこからコンゴ北東部、スーダン南部、中央アフリカ共和国に移され、そこで一般市民への残虐行為を続けています。だからウガンダの国内紛争の構造はまだ残っており、LRAのリーダーであるコ二―氏もICCによって起訴されたまま、まだ逮捕されていいません。オバマ大統領は11月下旬に、そのLRAを武装するために支援をするという声明を出しました。

また、日本ではあまり知られていませんが、もう一つのウガンダ反政府勢力である
ADF/NALUもコンゴ東部にいます。

ウガンダは地理的にアフリカの
2つの不安定な大国、スーダンとコンゴの間に挟まれており、その2カ国との関係や動きをフォローするのも興味深いでしょう。来年1月に行われるスーダン南部での住民投票によって南部が独立する予定ですが、それによって他のアフリカ諸国でも独立運動が起きると言われています。コンゴでも来年大統領選挙が行われ、既に候補者同士、熱い闘いが始まっています。
またウガンダは、東アフリカや大湖地域で(合法的に、また不法に)使用されている武器が集中しているところでもあります。コンゴにある国連PKOのロジの基地が首都カンパラ郊外にあるのでPKO軍の武器も流入し、ウガンダ自身、ソマリアにもアフリカ連合(AU)軍を派遣しています。南スーダンやコンゴ紛争で使われた武器も、ウガンダ経由で流入しています。

学生の皆さん、一度ウガンダ行きを検討してみてはいかがでしょうか。
l 先週まで出張で行ってきた報告の続きをします。今日はルワンダについて。

ルワンダの政情
:今年4月に「アフリカン・ドリーム」(ルワンダのサクセスストーリ)に関する番組がNHKで放映されましたが(ちなみに、ルワンダのダブルの側面を知っている者は、この番組を評価していない)、それとは裏腹に国際社会におけるルワンダのイメージは一気に低下しました。カガメ大統領の側近で諜報に関わっていたカユンバ氏の離反(今年2月)、亡命先の南アでカユンバ氏の暗殺未遂事件(6月:この事件を巡って南アとルワンダ間の国交関係はぎくしゃくしており、在ルワンダの南ア大使が南アに呼び出されてからルワンダに数カ月戻っていない)、90年代のコンゴにてルワンダ政府軍による虐殺に値する行為が公表された国連の報告書[10月]など。
カガメ大統領より高学歴を持ちカリスマ性があるカユンバ氏は、一般市民の間で人気があるようです。一般市民は一見普通に生活をしているように見えますが、表現の自由がないまま現政権に対してかなりの不満を持っています。公けな場で現政権を批判した、唯一の野党党首のインガリベ氏は1014日以降、もう一人の野党党首と共に逮捕されています。インガリベ氏の逮捕は、ルワンダ政府によると、「テロリストグループを結成しているため」だからなのですが、単なるでっちあげだと現地の人々は言っています。
せっかく日本大使館が今年初めにルワンダに設立されたのですから、単に援助や文化活動をするだけでなく、ルワンダ政府に対して上記の釈放を強く求めるなど人権外交もしていただきたいものです!
 
敵・同盟関係の複雑さ:紛争関係者同士の敵・同盟関係は、外部者が予想している以上に大変ルーズのようです。例えば上記のカユンバ氏は、現政権と完全に対立関係にあるような印象を与えていますが(今年9月にルワンダ現政権、特にカガメ大統領を独裁者として非難したレポートを公表したり、Voice of Americaなどのインタビューで現政権を批判した)、カベレへ防衛大臣(ルワンダ・コンゴでは重要人物)と仲が良く、よく連絡を取っているようです。
またカユンバ氏がルワンダの他のルワンダの亡命者(
FDLRや映画「ホテルルワンダ」の主人公のルセサギマナ氏も含めて)やコンゴ反政府勢力と同盟関係を結んで、ルワンダ現政権を倒そうという動きがあるようでいろんなニュースもそのように伝えています。その一方で、それぞれの組織には個々のアジェンダがあり、またルワンダ政府軍を負かすほどの軍力もないために(おそらくアフリカでは一番規律が正しいのではないかと思う)、ルワンダ政府へのクーデターを起こすことはないという見方があります。
ということで、これからどのように転ぶかわかりません。今後もフォローを続けます。
「アフリカにおける中国の存在がaggressive(攻撃的、侵略的)だ」と、ウィキーリークスが漏らしたアメリカの外交文書に書いてあったそうです。

http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-11955516


http://www.guardian.co.uk/world/us-embassy-cables-documents/250144?INTCMP=SRCH

また「中国は他者(アフリカ)の利益のためでなく、自国のためにアフリカにいる」とまるで他人事のように書いていますが、アフリカにいるほとんどの外国政府も同様な理由(天然資源、武器商人、戦争経済などのビジネス機会)でプレゼンスを保っているのではないでしょうか。ある外交官も『誰がアフリカのことを真剣に考えていると思う?」とはっきりと述べていました。だからこそ、アフリカにどれだけの援助をしようと、状況は変わらないだけでなく、場所によっては50年前に比べると貧しくなったり汚職が悪化するなど、後退しているのです。

悲しいけど、これが現実です!私も現場でそれを見続けてきて、頭がおかしくなるのではないかと思うほど落ち込んだことがあります。でもウィキーリークスや平和賞の劉氏のように、正義や世界を変えるために闘っている人たちを見て、私も私なりに頑張らないと言い聞かせています!
ウィキリークスの創設者アサンジ氏がロンドンで拘束された事件ですが、本当にあきれるやら憤慨するやら。強姦だの、同意の上での行為だの言っていますが、コンゴ東部で何十万人の女性が強姦以上の非人間的な方法で性的暴力にあっているのに、国際社会は何の予防策も政治的解決策もとっていません。それに比べると、アサンジ氏の事件は「プチプチ」としか言えなく、これで国際指名手配されるはずがありません。完全に政治的行為としか言えないですね。報道や表現の自由を尊重したい私は、彼の即急な釈放を求めますが、一体どうなるやら。。。大変心配です。

(遅くなりましたが、今月(12月号)の雑誌のDays Japanに、私が書いた短い記事「コンゴ:多発する性暴力被害に女性がデモ行進」が載っていますので、関心がありましたら読んでください)

ところで、European Development Daysの会議のために今週ブルッセルに訪れていたルワンダのカガメ大統領が予定の貴重演説もせず(代わりに外務大臣がする)、またベルギーの首相との面談もキャンセルされました。

理由はよくわかりませんが、ブルッセルでは数日ルワンダ人とコンゴ人によるカガメ大統領に対するデモが行われ、警察が介入したほど大規模なものであったですが、もしかして何かのリスクを感じて取りやめたのでしょうか。実は同様なことは今年7月にも起きました。カガメ大統領がMDGの会議の共同議長としてマドリッドに訪れた際に、同じ共同議長のスペインのサパテロ首相が会議への出席をボイコットしたのです。

アサンジ氏だけでなく、カガメ大統領の行方もこれからどうなる事やら。。。

タンザニア、ウガンダとルワンダでの2週間の出張を終えて、昨夜日本に帰国しました。出張の目的は学生のための海外インターン先の調査でしたが、インターン先として人気のあるルワンダなどは政情が不安定で、現地でのインターン生の受け入れが安全面から本当に可能か検討するために、政情・安全状況に関する情報も収集しました。当たり前のことですが、現地に行かないと手に入らない情報や、頭でわかっていても現地で(再)確認できた情報があり、実のある出張でした。現地でお世話になった皆様、本当にありがとうございました。数日間にわたって、出張での所感やこの地域の政情について共有したいと思います。
 
コンゴの政情:来年末コンゴでは大統領選挙が行われる予定ですが、カビラ現大統領はこの4年間何の実績もだしていないので、これからの1年間中国政府の協力を借りるなどして、インフラ整備など形あるものに必死に従事するでしょう。ICCによって起訴されている戦争犯罪人のンタガンダ氏(コンゴ政府軍の将軍)は、「peaceよりjusticeの方が大事」と言っていたカビラ大統領によってこの数年保護されているのですが、カビラ大統領は彼を捕まえてICCに引き渡そうとしているようです。これも選挙前に国際社会から支援を得るためでしょうか。経済学者のPaul Collier氏も述べていたのですが、できない大統領に限って選挙前になると急にアクテイブになります。今のコートジボワールは「1ヶ国に2人の大統領」という異常の状態ですが(外国にも大使が2人ずつつくのではという噂が流れている!)、コンゴの来年の選挙も同様に混乱が起きるのではと現地の人は冗談を言っています。
コンゴ東部における天然資源の搾取に関しては、一応存在する「規制」を無視してアメリカや中国などいろんなアクターが関与しており、その中には政治より商売に関心があるカビラ大統領も含まれています。コンゴ東部のある地域にはアメリカの資源企業が入り込み、「アメリカの51州」(!)が生まれつつあると言われています。
昨年初めに開始した、コンゴ政府軍による(そして国連PKOが支援している)ルワンダ反政府勢力(FDLR:ルワンダ虐殺の首謀者もいる)への掃討作戦が現在も続いているのですが、コンゴ政府軍の士気は高くなく、真面目に戦っているというより、単に「じゃれている」だけです。それもそのはず、カビラ大統領は偽札を印刷して、それをコンゴ軍への給料として払い、当然それが市場などで受け付けられないため、憤慨した兵士が市民への略奪などによって生存しています。大湖地域を指揮するルワンダ政府も「テロリストであるFDLRが全滅することによって、この地域に平和が来る」と言いながら、それを本当に望んでいません。というのも、コンゴ東部で資源の搾取に従事するFDLRの存在のおかげで、ルワンダ現政権もその恩恵を受けているからです。ルワンダ現政権とFDLRは敵同士に見えて、資源の搾取を協力しあっているのです。この掃討作戦で犠牲になっているのは唯一一般市民で、避難民生活を長年送っています。
国連PKOを含める国際社会は、そもそもコンゴ紛争解決に関して政治的意思は全然なく、資源を通して経済的アジェンダの達成にだけ目がいっています。著書の『世界最悪の紛争「コンゴ」』でも書きましたが、コンゴ東部の紛争は意図的につくられており、全然解決策の希望が見えません。
 
コンゴ東部へのスタディ-ツアー:来年の夏あたりルワンダとコンゴ東部へのスタディ-ツアーを主催したいと思っているのですが、コンゴ東部の状況は不安定なため、おそらく実現できないかもしれません。1994年のルワンダ虐殺のせいか、ルワンダ(だけ)を訪ねる学生・研究者は大勢いるのですが、そうするとルワンダ現政権による負の歴史が理解できず ―特に在日ルワンダ大使館に紹介された「サクセス・ルート」だけ辿って回るとー、偏った見方しかできなくなります。学問としてもフィールドワークとしても、これは大変危険です。だからこそ、コンゴ東部にも行って「犠牲者」であったと言われるルワンダ現政権が加害者でもあったことなど全体図を見てほしいのですが、、、コンゴの状況は変わりやすいため、来年の春ごろに決めたいと思います。
 
ところで、昨日[6日]カガメ大統領はベルギー入りをしたのですが、その機会にヨーロッパ在のルワンダ人とコンゴ人500人がブルッセルで4日と6日にデモをしたそうです。「戦争犯罪人カガメ」「800万人の死―真の(コンゴ)虐殺」という看板が見られます。詳細は
http://www.musabyimana.be/lire/article/manifestation-anti-kagame-a-bruxelles-plus-de-600-personnes-au-rensez-vous/index.html
今日出張でウガンダからルワンダのキガリに着きました。

この2
日間インターネットにアクセスがなかったのですが、その間にウィキーリークスによって、アフリカ大湖地域に関する米外交文書5000件以上がもれていたんですね。(コンゴ3042件、ルワンダ955件、ウガンダ719件、ブルンジ399件)アメリカがこの地域を監視していることが改めて確認されました。20094月国務長官が送った公電も公表され、それには、天然資源の居場所、ルワンダ虐殺の後遺症、ルワンダ内の政治(現政権の分裂など)、大湖地域の諸国の外交関係(特に中国、リビア、イラン、北朝鮮、ウクライナなど)などの情報を要すると書かれていました。

また11月29日にコンゴ東部に関する国連報告書が公表されました。
 
 
http://daccess-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/N10/615/06/PDF/N1061506.pdf?OpenElement

それによると、CNDP
(コンゴの(元?)武装勢力ーコンゴ政府軍に統合しているはずだが。。。)とFNL(ブルンジの(元?)武装勢力-政党になったはずだが。。。)がコンゴ東部の南キブ州で武器を収集していたり、FNLがコンゴ東部にいるFDLR(ルワンダ反政府勢力)から支援をもらっていたり、コンゴ政府軍の幹部が不法の資源商売に関わっているそうです。こういった内容は決して新しくなく、2001年から毎年のように国連報告書によって公表されていますが、問題なのは何のフォローがされていなく、また紛争の原因が対処されていないことです。その間に犠牲者が増えていることを考えると、腹立たしくなります!
報告書を読んだ後に分析を書きますね。

今週初めから大学の出張で、東アフリカを回っており、現在はタンザニアのアルーシャに来ています。日本語へのインターネットへのアクセスが難しく、今たまたまあるので、(切れる前に)急いで書いています。

ここんところ大湖地域でいろいろな動きがあり、全部を分析して書く時間が今ないのですが、簡単にまとめると、

1.コンゴ前副大統領のベンバ氏が中央アフリカ共和国での戦争犯罪の罪などで23日ICCで裁判が行われた(彼自身は否定しているが)

2.ルワンダの野党党首のインガリベ氏が逮捕されて約1か月経つが、彼女が刑務所でそのまま亡くなるのではないかという噂がある。怖い!

3.ルワンダ政府軍がコンゴ東部に入っているとアフリカ・コンフィデンシャルが報道したのに対して、ルワンダ政府軍は否定した

4.23日南キブ州で、コンゴ政府軍と国連PKOが FDLRへの掃討作戦 "Operation Protection Shield "を開始した

などなどです。ということで、まだまだ大湖地域は不安定です。一体どうなるのかしら?

私が先週まで関わっていた「暴力を平和の空間に変える」のプロジェクトで学んだ「賢明な空間の使い方」について書きたいと思います。
 
もともと家は土壌の上に建てられるもので、1‐2階の低い住宅が横に広がり町ができます。道路を歩けば人々の生活を(時折)身近で見ることができ、水うちなどを通して町内のコミュニケーションや交流ができます。アクセスの目的で造られた道路が、自然とコミュニケーションの場になり、それによってコンフリクトの発生率を防ぐことができます。
 
ところが現在、都市では高層マンションに住む人が増えてきています。住む空間が上に伸びれば伸びるほど、地上にいる人が上に登らない限り、また高層マンションの住民が地上に降りない限り、コミュニケーションが難しくなります。しかしネットなどで買い物や用事が済むので、外出する必要性がなくなり、ますます住民同士のコミュニケーションの機会がなくなります。近所の顔を知らない、ネットや携帯電話でしかコミュニケ―ションができないという状況では、日常生活は普通に過ごせるかもしれませんし、特にコンフリクトも起きないでしょう。しかし地震や洪水などの自然災害の際、住民同士が助けあうことができなく、それによって必要以上に犠牲者がでてくるかもしれません。
 
その上に、高層マンションの高い階には蚊もハエもないため、住民はそのような虫の存在も知らなく、自然との共生ができなくなります。自然を知らない、そして人工的に美しいものにだけ賞賛するという感覚の人が増えることを考えると、大変怖くなります。
 
もし高層マンションの建築がなくなければ、都市化や過疎化といった問題も防げるのではないでしょうか。人口、情報、就職先、モノや空間があまりにも東京の一点に集中している面では、日本は異常です。人間にも環境にも優しい空間の使い方について議論する必要があり、そのために政治的空間(political space)も必要となります。資本主義やグローバル化する中、もう一回これに関して検討する必要はあるのではないでしょうか。
昨日、韓国挺身隊問題対策協議会が計画を推進している「戦争と女性の人権博物館」建設を日本で支援している、戦争と女性の人権博物館(WHR)日本建設委員会 http://www.whrmuseum-jp.org が主催した連続学習会にコンゴの現状の話をさせていただき、大変勉強になりました。WHRは、今回の連続学習会は、「慰安婦」問題を知らせるだけでなく戦時下で今も続く性暴力の根絶を訴えて行く博物館の趣旨に則っていたこともあり、さすがに不処罰に高い関心がある参加者が多く、中には「(過去の)慰安婦だけだと思っていたが、現在でもその不処罰の問題が残っているなんて」と言った参加者も。内容の濃い意見交換で印象に残ったことを簡単にまとめたいと思います。
 
  • l国連やヒューマン・ライツ・ウォッチなどの報告書には、コンゴにおける不処罰の慣習を「不処罰文化(Culture of impunity)」と呼んでおり、私も講義中にそれを数回述べたのですが、文化と呼ぶのはおかしいという指摘がありました。紛争を経験した国ではどこでも不処罰という問題が残っており、それをコンゴ独特の文化として呼ぶことはできなく、単なる西洋諸国の概念なのではないかと。確かにそうですね、貴重な指摘をありがとうございました。
  •  
  •  コンゴ東部における性的暴力の被害者の年齢層が3歳から85歳までということに関して、あるシニアの女性が「私は若い時に比べて、今強姦された方が屈辱を感じる」とコメントをされていました。自分自身シニアではないため、そんなことを今まで考えたことがなかったのですが、確かにそうかも。。。(ちなみにコンゴ東部における性的暴力の目的は、性的欲求を満たすためではなく、コミュ二テイーを弱体化するためです。だからこそシニアの女性には効果的)
  •  
  •  不処罰は重要であるが、戦争犯罪人を全員処罰することはほとんど不可能です。戦争をとりあえず終えるために、その取引きとして、戦争犯罪人にamnestyを与えた方がいいのではという意見がありました。もしかして小規模の紛争ならこの方法で済むかもしれませんが、他の紛争より一層複雑で、戦争犯罪人がより多いコンゴ紛争では、それが果たして現実的なのか。戦争犯罪人が戦争経済で金もうけをし、そして処罰もされないとなると、ますますやりたい放題になるのでは?現在ンタガンダという戦争犯罪人がコンゴ政府からICCに引き渡されていませんが、だからといって状況は良くなっておらず、彼が昇進して掃討作戦を担当するようになってから反対に人権状況は悪化しています。現在進行形で進んでいるコンゴ紛争に関しては、答えはでないかもしれませんが、もっと処罰やamnestyについて研究をしなくてはなりませんね!
 
今まで私が行ってきた講演に来られた参加者は、アフリカや国際協力には関心があるが、不処罰には特に関心がない(あるいはimpunityという単語も初めて聞いたという人も)人が圧倒的に多くいました。しかし今回の学習会には、いわゆるアフリカに関心がある参加者人はいなかったものの、コンゴ(他のアフリカ諸国)とアジアに共通する不処罰、性的暴力の問題に関して深く話ができ、また共感できる仲間ができて嬉しかったです。日本政府による人権外交の促進に関しても、こういう仲間とやった方がより効果的かも!WHR日本建設委員会の方々ありがとうございました!
明日(20日)に戦争と女性の人権博物館(WHR)日本建設委員会主催の連続勉強会(「いまなお、武力紛争下で性暴力が」)に講師として呼ばれて、下記について話します。もし関心がありましたら、ぜひ参加してください。

 http://www.whrmuseum-jp.org/gakushukai2010.html#No.3



平和以外に何でもある国「コンゴ」~その紛争の実態と平和への展望~

 コンゴでは、1996年と1998年の二度にわたって戦争が行われました。2003年にこのコンゴ東部紛争は「正式」に終了したということになっていますが、現在でも政府軍や武装勢力による暴行、強奪、性的暴力、誘拐などは続いています。2008年の性的暴力の被害は1万6千件を記録し、そのうち65%は子どもたちであったと報告されています。
 さらに18歳未満の少年・少女が誘拐されて兵士にされるという問題も起こるなど、コンゴでの人権侵害は「女性や少女にとって、コンゴ東部は世界で最悪の場所だ」と国際刑事裁判所(ICC)が言明したほどの状況となっています。
 今回の講座では、あまり知られていないコンゴ紛争の実態と解決への展望について国連の職員としてアフリカでの平和構築に関わった経験を持つ米川正子さんにお話を伺います。ぜひご参加ください。

講師:米川正子さん(宇都宮大学特任准教授)
日時:11月20日(土)14:00
会場:Space&cafeポレポレ坐 地図(外部サイト)
資料代:800円(学生無料)

11月16日付のICG(International Crisis Group)というシンクタンクによると、昨年から続いているコンゴ政府軍とルワンダ政府軍によるルワンダ武装勢力への掃討作戦にもかかわらず、コンゴ東部はまだ不安定です(実際はウガンダ政府軍もウガンダ武装勢力のLRAへの掃討作戦を行っているが、ここではあくまでもルワンダのみ触れている)。
http://www.crisisgroup.org/en/regions/africa/central-africa/dr-congo/165-congo-pas-de-stabilite-au-kivu-malgre-le-rapprochement-avec-le-rwanda.aspx

そもそも掃討作戦は不十分に計画され、また昨年3月に武装勢力のコンゴ政府軍への軍統合が同意されたものの、武装勢力の中には戦争犯の疑惑の人がいたりと軍事的現状は無茶苦茶です。それによって人道状況は悪化し、過激的な暴力事件は増加しました。
 
実はこの無謀な掃討作戦は国連PKOによって支援され、我々の税金(日本はアメリカに次いで、PKOの第2の拠出国)も平和維持どころか、その反対の目的のために使われているのです!大変矛盾しているのですが、国連PKOのマンデートは(掃討作戦を行っている)コンゴ政府軍を支援することであり、また市民保護でもあります。この筋の通らないPKOのマンデートに関しては、私がコンゴ東部にいた2-3年前、いつも人道支援機関(国連機関やNGO)の間で憤慨していました。PKOの言い分はいつも「国連安保理が決めたことだから仕方がない」でした。それがまだ続いているようです。。。
 
さて話はICGのレポートに戻りますが、最後にコンゴ政府や国連PKOへの提言として
 
「国際的にーアメリカ、中国、ベルギー、南アとアンゴラー訓練された軍の派遣される間に、コンゴ政府軍による攻撃的な掃討作戦を延期する」
 
と書いていたのには呆れました。(と言っても今回のレポートが初めてではなく、今までも「十分に計画した掃討作戦」を勧めていたのですが。。。ちなみに私は昨年ICGのコンゴ担当者に会ったとき、これに関して議論したのですが、よく理解できない答えが返ってきました。)掃討作戦を延期でなく、即止めるべきです。
 
戦争経済で金儲けをしている武器商人や権力者以外は、掃討作戦は何の利益ももたらせないこと、また掃討作戦によって一般市民、特に女性、子供、シニアの方がいつも犠牲になっているとわかっていながら、なぜ掃討作戦を勧めるのでしょうか。そして紛争解決のために紛争の原因を政治的に(非暴力的な対話など)対処することが重要だと繰り返し言われているのにもかかわらず、なぜそれができないのでしょうか。本当に腹立たしい!戦争と人道危機はNever ending storyになってしまっています。
ロシア人の武器商人であるビクターブートゥ(Viktor Bout)氏が2年前に逮捕されたタイからアメリカに身柄が引き渡されました。

ロシア政府も本人も罪を否定しているらしいのですが(本人の正式なサイトには単なる商人としか書いていないらしい)、彼はコンゴ、アンゴラ、リベリア、アフガンやボスニアの戦争で武器を提供してきました。

フランスのRFIによると、コンゴでは1996年の第1次コンゴ戦争の際に、彼は反政府勢力AFDL(ルワンダ政府等が支援)やその後できた反政府勢力MLC(ウガンダ政府が支援)に武器を提供し、AFDLの代理としてつくられた反政府勢力RCD-Goma(ルワンダ政府が支援)や、ルワンダ政府が「テロリスト」と呼ぶルワンダ反政府勢力のFDLR(ルワンダ虐殺の首謀者などがつくった)は、ブートゥ氏の主な得意客であったそうです。

またコンゴ東部では資源の密輸や国連機関の援助物資の運送にも関わり、東部にある地方都市ベニにあるホテルの共同オーナーでもありました。戦争経済も平和経済(人道支援を含め)もこういう人たちが関わっていて、彼らが金儲けできるようになっているのですね。私はベニに出張で数回行ったことがあるのですが、私が泊まっていたホテルがそうだったとしたら?またUNHCRの援助物資も彼の会社が運んでいたとしたら?そう思うと、ぞーと怖くなりました。

映画「ロード・オフ・ウオー」(Lord of War)は世界の紛争地で活躍する武器商人が主人公でしたが、まさしくその世界。恐ろしいですね。
私のコンゴ仲間のVirgil Hawkinsさんが「アフリカも世界の一部」というキャンペーンをしているのですが、今週はコンゴの鉱物資源の特集で興味深いので、ぜひ読んでください。

*コンゴと鉱物資源と日本***

*「アフリカも世界の一部」第**18**号*

第2次世界大戦後、世界最大の紛争を抱えているコンゴ民主共和国<
http://atlas.cdx.jp/nations/africa/congo-dr.htm>
(DRC)は不安定な状況が続く。紛争と様々な鉱物資源の採掘が密接につながっている。そして日本とも決して無関係ではない。

DRCの東部にあるコルタン(タンタルの原料)、スズ、タングステン、金などの鉱山の多くは国軍を含む武装勢力にコントロールされ、労働力は奴隷に近い状況が少なくない。南部にある銅、コバルトの鉱山は紛争地から離れているが、大手企業が利益を得ても、鉱山労働者が得られる収入は少なく、鉱山が環境にもたらしている悪影響は大きい。

電子回路の部品であるコンデンサに欠かせないタンタル。DRCには世界の埋蔵量の6~8
割があると考えられている。主に闇市場で動いているため、実際の生産量は測りにくいが、昨年、DRCのタンタルは世界の生産量の9割も占めたと推測されている。その多くは中国が輸入しており、そして日本の電子産業に使われているタンタルの多くは中国から輸入している。

今年7月、アメリカでDRCの紛争と鉱物資源に関する法律ができた。2011年4月からは、アメリカの企業が使用している鉱物資源がDRCの紛争と無関係であることを証明する義務を負う。実質的にDRCとその周辺国からのタンタル、スズ、タングステン、金などが使えなくなる。そのため、来年タンタルの値段は今年の4倍に跳ね上がると見込まれている。DRC東部では武装勢力と鉱業の関係が続いているため、カビラ大統領は一時的に東部の鉱山の活動禁止指令を発令した。しかし、鉱業を続行している鉱山もある。

また、環境に優しいと言われている電気自動車の生産が増えているため、リチウムイオン電池の需要も跳ね上がっている。日本の三洋電機は生産量を5年で10倍にする予定で、「加西グリーンエナジーパーク<
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/10/19/005/index.html>
」という新しい工場を完成したばかりである。世界のリチウムイオン電池に含まれるコバルトは極めて環境状況が悪い鉱山で採られている可能性が高い。世界のコバルト生産量の4割はDRCが占める。中国も韓国もコバルト、銅などを確保するためにDRCに大規模の投資を計画している。

また、日本の企業はDRCの石油の採掘に関わっている。国際石油開発帝石株式会社は1970年からコンゴ民主共和国沖合鉱区<
http://www.inpex.co.jp/business/africa.html>
で石油の開発に参加しており、現在も採掘が継続されている。さらに今年から、同社はDRCの陸上油田<
http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2010/20100825.pdf>
の開発にも参加しているが、今のところ石油は発見できていない。

日本のメディアは相変わらず、DRCの状況を無視している。読売新聞では紛争の状況や政治情勢を伝えるどころか、アメリカの紛争鉱物の法律と日本の電子産業への影響すら伝えていない。日本の経済成長に欠かせない電子産業、そして日本で高まる環境意識。
DRC情勢とその鉱物資源に目を向けるべきではないだろうか。アフリカも世界の一部だ。

*以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。*このリンク <
https://app.yomiuri.co.jp/form/>*
から直接投稿してください。*

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

「コンゴ民主共和国の情勢と日本の電子産業との関連が深まっています。特にアメリカで紛争鉱物に関する法律ができたため、日本の電子産業に欠かせないタンタル、スズ、タングステンなどの市場が大きく動き始めています。しかし読売新聞はなぜかこの状況を伝えようとしません。他人事ではありません。コンゴ民主共和国の情勢に目を向けるべきではないでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に:

DRCの金の鉱山と国軍の関わりに関する記事 <
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-11722142>

価値が高まるタンタルに関する記事<
http://af.reuters.com/article/drcNews/idAFLDE6A01N320101110>

DRCの銅・コバルトと中国 <
http://www.atimes.com/atimes/China_Business/LC11Cb02.html>・韓国<http://www.reuters.com/article/idUSLDE69T08O20101030>
の投資

 「アフリカも世界の一部」運動とは?このページ<
http://stealthconflictsjp.wordpress.com/2010/07/18/africamosekainoichibu/>
をアクセス。

メールの配信を希望する方はこのアドレス <
stealthconflictsforum@gmail.com>にメールを。

過去の記事はこのページ<
http://stealthconflictsjp.wordpress.com/category/%e3%80%8c%e3%82%a2%e3%83%95%e3%83%aa%e3%82%ab%e3%82%82%e4%b8%96%e7%95%8c%e3%81%ae%e4%b8%80%e9%83%a8%e3%80%8d/>
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「ステルス紛争」とは?このページ <
http://stealthconflictsjp.wordpress.com/>をアクセス。

*
このメールは転送可です。「アフリカも世界の一部」運動のメンバー増加にご協力をお願いします。みんなの力で「アフリカも世界の一部」だとメディアに認めてもらいましょう!
***

112日から14日まで続いた「アフリカx日本x世界:暴力を平和に変える空間」のプロジェクト(主催:金沢工業大学未来デザイン研究所、助成:国際交流基金)で、メンバーら(建築家・職人、アーテイスト、研究者、新聞記者)と共に京都、石見銀山、篠山(兵庫)、そして横浜に行っていたために、その間このプログを書く余裕がありませんでした。詳細に関しては下記をご参照ください。
http://spacepeace.exblog.jp/
 
私はこのプロジェクトメンバーでながら、また「コンゴ東部に温泉をつくり、そこで紛争の関係者(軍人や権力者)に裸の付き合いをしてもらうことによって、まともな(?)和平交渉ができるのでは」という発想を持っていたものの、「本当に文化や空間が平和をもたらす力があるのだろうか」と多少疑問に持っていました。というのも、文化や空間よりも、紛争の原因を対処しない限り、紛争解決はできないからです。しかし今回のプロジェクトを通して「プロセスややり方によっては、平和の方向に導くことができるかも」という希望が見えてきました。ここでは簡単に、プロジェクトを通して和平会議や真実と和解委員会について考えたことをまとめたいと思います。(他のことに関するアイデアは明日シェアします)
 
紛争国では、当事者や関係者(仲介役、ドナー国、国連、政府の役人など)が集まって和平会議が開かれるのですが、会場は立派なホテルや国際会議場が一般的です。しかし、会場では参加者全員がオープンに話せる雰囲気、また熱い議論でイライラしていても、休憩の時に窓から見える自然で精神的にホッとする、そういう場も必要です。頭が熱くなると、相手の話を聞かずに、自分の言い分だけを押し付けてしまい、敵関係がますます悪化してしまうからです。
 
また紛争が終わった後に、加害者自身が犯した罪など真実を明らかにし、犠牲者との間に和解をもたらせる目的の「真実と和解委員会」があります。しかし、虐殺や戦争犯罪といった重い罪を犯した人ほど、自分の名誉やプライドを傷つけたくないため、真実を人前で告白するのは易しいことではありません。加害者が自分の過去の罪を見直す、あるいは瞑想をするための空間と時間を与えれば、もしかして考え方が変わるかもしれません。
 
和平会議といい、真実と和解委員会といい、実行するための空間は都心よりも、自然の中の方が妥当です。当然のことながら、そこへのアクセスは簡単でなく、時間がない政治家などの紛争・和平交渉関係者にとって非効率的かもしれません。しかしコンゴ紛争のように、和平交渉を繰り返し行なっても紛争が終わることがなく、一般市民がどんどん亡くなっていくことを考えると、この[1回で終わらせたい]和平交渉のために多少時間を割く価値はあるのではないでしょうか。
 
上記に関して意見がある人は、批判も含めて、ぜひぜひ共有して下さい!
ルワンダや周辺国にリスクがあるということで、下記が警告をしています。

http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/RISKRW.htm

今日から14日まで「暴力を平和に変える空間」というプロジェクト(主催:金沢工業大学未来デザイン研究所)で京都、石見銀山、広島、篠山、そして横浜と回るので、コンゴとルワンダの現状をフォローする時間があるかわかりませんが、できるだけのことは伝えたいと思っています。また紛争が再燃するのではないかと、気になるので。。。
コンゴ東部‐ルワンダでまた紛争が再燃するかもしれません!
 
南アやウガンダなどに亡命したカガメ大統領の元側近らが、コンゴ東部にいるルワンダ反政府勢力(FDLRー1994年のルワンダ虐殺の首謀者などが入っている)やコンゴ武装勢力(CNDP―ルワンダ政府から支援を受けている)、またヨーロッパにいるルワンダ人ダイアスポラと共に、カガメ大統領を倒す予定を立てているのです。以前からこの噂は流れていたのですが、だんだん実現化しているようで、この動きに「ホテルルワンダ」のヒーローのルセサギバナ氏も支援しているようなのです。だから今、彼がルワンダ政府に起訴されたのです。(逮捕された野党党首のインガリベ氏はこの動きには入っていないよう)
 
ルワンダ政府が支援するCNDPがなぜ、ルワンダ政府に背を向けているのか。それはCNDPの将軍ンクンダが20091月にルワンダ政府によって不法に「逮捕」された後何の動きがなく、彼の側近らがルワンダ政府に憤慨しているからです。(彼の「逮捕」に関しては、私の本『世界最悪の紛争「コンゴ」』のあとがきを参照してください)
 
つまり対立は民族(フツ対ツチ)でなく、政治や権力(ルワンダ現政権 対 現政権に反する人)です。
 
このカガメ大統領を倒す動きは非暴力ではないため、またまた大きな地域紛争が予想され、被害者が大勢でるでしょう。ルワンダに限ったわけではありませんが、いくら国際社会が平和創造・平和維持・平和構築の「演出」をしても、肝心な紛争の原因を対処しない限り、長続きはしません。ルワンダ内戦の原因は残念ながらまだまだ居残っているのです。

誰かpeacemakerとして関与できないのでしょうか?それができる人は残念ながら、世界に一人しかいないと思います。現在事情があって、その方はその役割を果たせないのですが。。。

 
 
それにしてもなぜほとんどの男性って、いつも暴力を使った解決法しか頭にないんでしょうね。(ちなみに、上記のインガリベ氏は女性です)だからこの世の中から戦争を排除するのは難しい。。。。男性よ!もっと平和的な解決法を考えて!
「ホテルルワンダ」の主人公ポール・ルセサバギナ氏が、ルワンダ政府の検査官から起訴されました。ルセサバギナ氏が、コンゴ東部にいるルワンダ反政府勢力(FDLR)に送金をしたこと、また現在流刑生活を送っているビクトワール・インガリベ氏と協力関係にあるというのがルワン政府の言い分ですが、ルセサバギナ氏は「根拠がない」と否定しています。

ルワンダ政府がコンゴにおける「虐殺」に関与の疑いがあるという内容の国連報告書が10月1日に公表された時、ルワンダ政府は憤慨して否定したのですが、上記の二人は「国連よ、真実をよく公表してくれた」と歓迎しました。その二人への報復として、逮捕・起訴をしたのでしょうか。

ちなみにルセサバギナ氏は虐殺中大勢の人を救ったということで、世界からヒーローとしてとらえていますが、ルワンダ政府はそう見ていません。彼はルワンダ政府に対して批判的だからです。

今日たまたまtwitterで数回、「Rwanda ルワンダ」で検索をしたのですが、英語では上記のニュースをつぶやくものが99%で、日本語ではこのニュース以外のものばかりでした。「ホテルルワンダ」を観た日本人はかなり多いのに、このニュースを知らない(英語のニュースでしか報道されていないため?)、あるいはこのような政治的なニュースには関心がないのでしょうか。

映画「ホテルルワンダ」199447月という3ヵ月という特定期間の記録(snapshot)だけを撮っており、それだけを観てルワンダを語る人がたまにいるのですが、それはとても危険です。その前後に何が起きたかも見ると、かなり全体図や現状が見えてきます。それはまるで広島・長崎での原爆投下だけという「日本=犠牲者」のみを語り、それ以前に日本が東・東南アジアでの「日本=加害者」としておこなったことを忘れる、あるいは無視することと同様です。「ホテルルワンダ」で虐殺の「犠牲者」として知られるツチ(また、フツの穏健派)は、ルワンダでもコンゴでも「加害者」でもありました。ですから、「いい人」(あるいは「かわいそうな人」)と「悪い人」と簡単に区別はできないのです。
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米川正子
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女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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