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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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2011年は皆さんにとってどのような年でしたか?
 
私にとって、権力、人権、開発や法の正義などを(改めて)学んだ年でした。開発と人権の講義やワークショップが開催できたこと、元ICTR(国際ルワンダ戦犯法廷)職員の日本に招へいできたこと(日本ではICTRに関する情報があまりにも少なすぎる!)、学会でコンゴやルワンダの不処罰の問題を発表できたことは、自分や周りにとって大きなプラスになりました(と願いたいものです)。また、アラブの春の影響力(ロシアやアメリカにも飛び火するなんて、本当に驚きです!)や、仕事で出会った世界のいろんな人権活動家から勇気、刺激や希望をもらった年でもありました。
 
アラブの春で、経済格差(開発がエリートや政治家にしか届いていない)、差別、独裁といった問題が表にでましたが、福島の放射能も同様に、報道の自由、政府や東電の権力等といった問題が浮き彫りになりました。これらに関してもっと研究し、伝えないといけないと痛感。今年、日本人はいい意味でも悪い意味でも平和ボケしていますが、特に若者は世界の時事問題にもっと危機感を持ち、そして健康的な議論をしてほしい。そして権力者に対して、もっと怒りをあらわにしてほしいものです。
 
来年は、アラブの春がサブサハラ・アフリカや他の諸国にも飛び火するのでしょうか。特にコンゴやルワンダには。。。
(ところで、コンゴでは携帯電話のSMSの使用が12月3日以降中止されていたのですが、29日から再開されました。といっても、人権活動家や野党党首は今でも使用が禁止されているのですが。。。野党党首・「自分が選ばれた大統領だ」と主張しているチセケデイ氏は相変わらず自宅で軟禁状態ですし、野党に近い警察や活動家は蒸発するなど、緊張感が続いています)
 
来年も(そして一生)、権力と闘い続けることとなるでしょうが、今年以上に権力や人権の問題を強調したいものです。開発や人権が「権力の乱用」とつながっていること、そして難民は単に「人道支援の対象者」や「かわいそうな人」だけではなく、「母国で生活権(そして時折には国籍やパスポートも)を奪われた人権侵害の被害者」であること等。
来年世界の人権がもっと尊重され、積極的な平和がより実現されますように。皆さん、いい年をお迎えください。
 
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今日3月8日は「国際女性の日」で、今年100周年を迎えます。アフリカに滞在していた時、それにまつわる行事があるため大きなニュースになるのですが、日本ではほとんど報道されません。なぜなのでしょう。単に男尊女卑の社会だからでしょうか。知っている人がいれば教えてください!
 
西アフリカにあるブルキナファソの前サンカラ大統領(198387)は毎年この日には、妻の代わりに夫が買い物をするように一般市民に訴えたそうです。食料の買い物も家計を握っているのはほとんど女性の役割なので、男性は市場に行くことによって食料の価格が分かってよかったとか。これは1年に1回の行事ですが、これ以外にも女性解放のために啓蒙活動、一夫多妻の禁止、避妊の促進、また女性に大臣のポストを提供しました。これは当時でも現在でもアフリカだけでなく、全世界の国々でも大変珍しいことです。
 
こんなに女性思いで、アフリカの一般市民から尊敬され、かつ「有言実行」な大統領だったのですが、残念ながら彼が残した優れた政策はあまり知られていません。なぜかと言うと、宗主国のフランスにとってサンカラ大統領は他のアフリカ大統領と違って「生意気」でかわいくなく、彼の政策がかえって悪影響を与えると思ったからでしょう。特に彼の思想で有名なのが外国の援助ですが、彼は大変否定的で、援助は被援助国のためというより、その国の構造を破壊し、人々を分断させ、人々に奴隷として生きることを続けさせるなど、逆効果だと考えていました。フランスがブルキナファソなど他の国々に援助をしているのは、ビジネス=利益になるからで、サンカラ大統領の存在はその邪魔になるため彼はフランスによって間接的に暗殺されたのです。
 
あーサンカラ大統領が今でも生きていたら、女性の社会的地位はもっと上がっていたかもしれない!そう思うと、本当に悔しい気持ちになります。私たちができることは、彼の政策をなるべく日常生活に応用すること。まず男性は女性を尊重し、大切にし、同等のパートナーとして扱うことから始めましょう。
リビアの最高指導者・カダフィ大佐による市民への「虐殺」を、国連安保理などが強く非難していることに関して、2点驚いています。

1点目は、リビアの残虐行為は始まったばかりで、その行為の分析が十分にされないまま、報道者や市民があまりにも簡単に「虐殺」という重い言葉を使用していることです。1994年に起きたルワンダの虐殺の際、国連やアメリカ政府は「虐殺」を正式に使うのに数週間かかりましたし、2004年スーダンのダルフール地方で大量殺害が始まった時にも、アメリカ政府は当初「虐殺だ」と主張しましたが、他の政府や国連機関の長などは「民族浄化(ethnic cleansing)」と呼んでいました。当時私はUNHCR職員でダルフールに出張に行ったのですが、genocideが禁句だという雰意気があったので、”G word”と同僚と話していました。それほど大変デリケートな言葉なのです。リビアではこれだけ軽々しく虐殺が使用されるのは、相手が「国際社会の敵」であるカダフィ大佐だからでしょうか。

虐殺は民族浄化と違って、国際社会は必ず介入する義務があるため、この言葉の使用は大変慎重です。とはいっても、虐殺、民族浄化や大量殺害は簡単に区別できなく、虐殺だから介入する、それ以外はその必要がないという議論は筋が通っていないと思っています。

2点目は、なぜカダフィ大佐だけが非難のターゲットにされるのか、そしてなぜ彼と同様、あるいは彼以上に残酷な行為を自国内外で犯した人たちは非難されないのかということです。非難されるべき人は、ルワンダのカガメ大統領、コンゴのカビラ大統領、ウガンダのムセベニ大統領、エチオピアのメレス首相、またブッシュ、クリントン元大統領やブレイア首相など名前を挙げると、きりがありません。これを考え始めると、いつも呆れ、憤慨してしまいます。

このような「ダブル・スタンダード(二重基準)」は、上記だけでなく、戦争犯罪人を処罰するかしないか、援助が必要とする国に援助するかしないかの議論の際にも起きることです。外部介入のためのガイドラインがつくられている(or 既につくられた?)のですが、結局政治的意思によって、介入の仕方が変わるのですよね。。。このダブル・スタンダードの問題はどのように解決すべきか。あるいは、自然現象(human nature)としてあきらめるべきか。いい知恵がある人はぜひ教えてください!
以下、バージル・ホーキンさんが送ってきた「ガボンでもデモが続く」を転送します。


「アフリカも世界の一部」第**30**号*

チュニジア 、エジプト の革命が他の北アフリカ・中東の国々に飛び火しているが、サハラ以南のアフリカでも、動きがある。特にガボン では今年1月から反政府デモが広がっている。

2009年、独裁者として42 年間もガボンの大統領を務めたオマール・ボンゴ氏が死亡し、その後の選挙でボンゴ氏の長男が当選し、ボンゴ家による支配が続いた。しかし、選挙当時から、野党は選挙結果に異議を唱えてきた。野党のオバム党首は自身こそが 2009 年の選挙で当選したと主張してきたが、チュニジア、エジプトでのデモを機に、自身が経営するテレビ局を通じて、大統領着任宣言を行い、内閣も発表した。これに対し、政府はオバム氏の政党の解散を決定し、そのテレビ局を放送中止とした。 オバム氏はガボンの国連の事務所に避難し、政府に対するデモを呼びかけた。以降、首都リーブルビルを中心に学生、野党の支援者などによるデモが繰り返されてきた。政府はデモの抑圧に踏み切り、多くの人が逮捕されている。

ガボンの経済は石油に頼っており(生産量ではアフリカで10位)、輸出による収入の8割も占めている。しかし、埋蔵量が少なくなり、1997 年のピークから生産量が減り続けている。石油による利益の多くは政府関係者が享受しており、一般国民は深刻な貧困問題を抱えている。 これまで米国政府はボンゴ家を支援してきた。クリントン国務長官はアリー・ボンゴ現大統領を「大事なパートナーだ」と述べた。しかし、米国上院の調査の結果が示すように、前、現大統領共に政権を通じて莫大な富を蓄えてきたことを米国は把握している。

さらに、ウィキリークスを通じて公表された米国の外交公電 によると、ボンゴ前大統領は中部アフリカ諸国銀行(BEAC )から大金を横領し、その一部はサルコジ大統領を含むフランスの政治家への政治献金に使われたという疑いもある。 サハラ以南のアフリカでは、北アフリカの革命の飛び火を懸念しているのはガボンだけではない。

今週、ウガンダ で選挙が行われる予定だが、1986年以降、大統領の座についている親米のムセベニ大統領はデモを警戒していることが報じられている。赤道ギニア の独裁政権もデモの発生を懸念し、メディアによるチュニジア・エジプトに関する報道を禁じた。

しかし、サハラ以南のアフリカでは北アフリカで見られている革命まで発展しない可能性が高いと専門家は語る。北アフリカよりも貧困が深刻で、抑圧的な政権も多いが、野党は弱くて、分裂しているケースが多い。また、大規模のデモが発生しても、国によっては治安部隊が武力で対抗する可能性が高く、それに対する国際社会からの沈黙が予想される。

日本のメディアは北アフリカの革命によるサハラ以南のアフリカへの影響を取り上げていない。朝日新聞は2009 年の選挙以来、ガボンの情勢を取り上げる記事をひとつも掲載していない。この問題も報道してもよいのではないだろうか。アフリカも世界の一部だ。

以下の文書のような形で、朝日新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。*このリンク *から直接投稿してください。* (もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。
 
「北アフリカの革命はサハラ以南のアフリカにも影響を与えています。ボンゴ家の支配が44 年間も続いているガボンではデモが広がっており、野党の党首が国連の事務所に避難しています。この事情を報道してもよいのではないでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に: ガボンの現状に関する記事 ガボンと米国に関する記事 サハラ以南のアフリカでのデモに関する分析 「アフリカも世界の一部」運動とは?このページ をアクセス。 メールの配信を希望する方はこのアドレス にメールを。 過去の記事はこのページ からアクセス 「ステルス紛争」とは?このページ をアクセス。 

このメールは転送可です。「アフリカも世界の一部」運動のメンバー増加にご協力をお願いします。みんなの力で「アフリカも世界の一部」だとメディアに認めてもらいましょう!
エジプトのムバラク大統領がとうとう辞任し、211日は世界の人々にとって忘れられない日になりました!といっても、People’s Powerの偉大さを証明した一般市民にとって「勝者の日」であり、一方で自分の身に心配する独裁者にとっては「恐怖で敗者の日」であるという差はあるのですが。
 
世界のリーダーは、民主主義の歴史的瞬間であるとコメントしたリ、エジプト人の勇気を褒めたたえていましたが、日本政府をはじめ彼らは今までムバラク大統領を支援してきました。言い換えれば、世界のリーダーが「人権外交」をしなかったせいで、独裁政権が30年間も続いていたわけです。もちろんそれだけがエジプトの不安定要因ではないのですが、アメリカの軍事協力などの手厚い支援が腐敗の促進をし、国民を苦しめたことは否定できません。それが今回のデモでは、自分の無力さを実感した世界のリーダーたちはそれまでの負の過去がなかったかのように、また自分たちの誤りを認めたくないかのように、国民の勝利にフォーカスを当てています。本当に調子がよすぎる!
 
時間はかかりましたが、ムバラク大統領の辞任の決意を評価すべきでしょう。現在すっかりニュースから消えましたが、現在コートジボワールでは「1ヵ国に2人の大統領」(並行的政府(parallel administration)がいると異常な状態が昨年11月末から続いています。大統領選挙で負けたバグボ(前大統領)が投票の結果を認めず、自分で勝手に就任式を開いたりと大統領の地位から降りないのです。バグボ氏にも、ムバラク大統領の行為を見習ってほしいですね!
 
もともと昨年12月チューニジアで失業中の青年の自殺がきっかけで、チューニジアで民主化の動きが始まり、それがエジプトに飛び火し、ムバラク独裁政権が倒れました。エイズなどの感染症がグローバル化するのはもちろん困りますが、このような民主化の動きは世界に広がってほしいものです。次はエチオピア、ルワンダ、コンゴなどに移るのか?エジプトの市民だけでなく、このチューニジアの青年にノーベル平和賞を渡したい気分です。今までのノーベル賞は著名な方が受賞しましたが、世界に希望とパワーを与えた「無名な」市民にも渡すべきだと思いませんか?
エジプトがますます熱くなっています。反政府の市民がタハリール広場にテントを張って(難民・被災民の現場で勤務していたこともあり、難民・被災民キャンプのように見えてしまった。ただ私が知っている難民キャンプでは電気がなかったので、電気が光っているタハリール広場の光景は新鮮でした。。。)夜も熱気に包まれながらデモが続いています。このブログを書きながらムバラク大統領が辞任するのではないかというニュースが入っているのですが、本当にそうなれば、People’ Powerを信じている私にとって、こんなに嬉しいことはありません。
 
30年間溜まっていた市民のムバラク大統領への怒りが一気に爆発したのですが、市民がこれだけの団結力と士気の高さで闘うことができるのは、単にフェースブックなどのITツールだけでなく、市民の教育水準の高さのおかげとも言えるでしょう。ムバラク大統領は独裁者であったのにもかかわらず、他のアフリカ諸国の独裁者のように、市民の教育へのアクセスを妨げることはなかったと思います。チュニジアでも数週間国外追放されたベンアリが政権をとってから、教育水準が高くなりました。つまり大統領が市民の教育に力をいれたことで、大統領がその犠牲者になってしまったのです。
 
コンゴでは自分を守るために、大統領は市民になるべく教育の機会を与えないなど、全く反対の戦略を取っています。義務教育は無料と言いながらも、1か月1ドルの教育費が払えない避難民に勤務中(20078年)よく出会いました。モブツ元大統領時代には軍隊がいきなり大学に行き、大学を強制的に閉鎖させこともありました。その閉鎖期間は1年以上に及ぶこともあり、いくらやる気のある学生でも、希望を失うのもわかりますね。
 
エジプトの教訓を受けて、アフリカ諸国の独裁者はエジプトと同様なことが自国に起きらないように、ますます教育市民を弱体化するのではと恐れています。それを避けるためにも、アフリカ一般市民のエンパワーメントのために何ができることを、我々は考え実行しなくてはなりません。

一般的に怒ることは心身によくないとされています。勝間和代氏は「三毒追放」の「妬(ねた)まない・怒らない・愚痴らない」を訴えていますし、また、スリランカ初期仏教長老のスマナサ―ラ氏は「怒らないこと」という本を出版しています。
 
確かに小さいことに怒る必要はないのですが、南アの反アパルトヘイト運動といい、アメリカの公民権運動といい、怒りが高い問題意識、そして最終的に社会改革をもたらしました。私がコンゴやルワンダの人権侵害や紛争に関する啓蒙活動などに熱心なのも、人間の貪欲への怒りが大きな原動力となっているからです。単なる「かわいそう」という同情心だけでは、エネルギーはでてこないでしょう。ですから、時には怒ることは重要だと思います。
 
今のエジプトのデモを見ていて、なんて素敵なんだろう!と感動しています。インターネットのアクセスが切られていても、人々は自由と民主主義のために必死に闘っている。義務でなく、本当に自由に飢えているため。女性も子供も、家族連れで全員が叫んでいる。私がエジプト人であれば、自分たちのことを誇りに思っているでしょう。その一方、市民だけでなく外国人ジャーナリストも殴られるなど、暴力と犠牲者と混乱状態がエスカレートし、これからどうなるのか心配です。非暴力的な解決法が早く見つかってほしい!
 
エジプトについてコンゴ人の友人と話していると、「コンゴにもこんな日がいつか来てくれたら」と。本当にそう!近い将来その日が来ることを願っています!
いま仕事で人権外交について勉強しているのですが、英語の本は多少あるものの(human rights diplomacy)日本語の本がないことを発見しました!日本政府が特に積極的ではないので、当たり前と言えば当たり前なのですが。。。。何とも情けない。。。
 
毎日のようにエジプトのデモに関するニュースを耳にしますが、もっと早くから人権外交が行われていれば、デモによる犠牲者(現在死者が300人ほど)が出なかったのにと悔やんでいます。それ以外にも、観光ツアーが中止になったり、重要な文化財が破壊されたりと、デモは経済・文化・歴史面などにも大きなダメージを与えています。チュニジア、イエメン、エジプトのデモをきっかけに、我々は人権・民主主義の重要さについて改めて考えるべきだと思います。北アフリカ・中東の動きにこれからも注目をしましょう!
米国を公式訪問していた中国の胡錦濤国家主席が19日、オバマ大統領との会談中に中国側に人権尊重を促し、また記者会談でも中国での人権問題について質問があり、世界が注目をしました。
 
中国というと、いつも人権問題が話題になりますが、アメリカでも同様にひどく、それに関してはほとんど沈黙状態です。先週公表されたヒューマン・ライツ・ウォッチの世界報告書を読むと、アメリカには世界最大の投獄者がおり、その投獄者の割合も世界で一番高いとのこと。また農園での児童労働者の労働状況がひどく、性的暴力や殺虫剤中毒で子供たちは犠牲になっているとか。これはいわゆる途上国やアフリカ諸国でなく、アメリカで起きている話です!もちろん、「対テロ戦争を口実にした収容所での人権侵害」であるグアンタナモ米軍基地の問題も残っています。
 
中国へのバッシングの理由に、相手国が人権侵害国であっても中国は国益のために協力(援助ではない)をしていることが挙げられます(例えばスーダンへの協力も、石油が目当て)。でもこれって他の権力国もやっていることなのでは?もちろん皆がやっているからいいと言っているのではなく、自分(自国)の過ちを反省したり、ふりかえることなく、よく一方的に他国の非難だけをするな―といつも権力国の傲慢さに呆れます。
 
中国がアフリカ進出の理由を「ビジネスのため、国益のため、」とはっきりと正々堂々(?)と述べているのを聞いて、本音と建前がなく、ある意味で「透明性」を感じます。他のドナー国は援助の目的を「人権尊重や民主主義のため」と美しい言葉を並べるものの、裏では国益のことしか考えていない国が多数派です。残念ながら、現場で働いていた時、そのようなことをよく目に入り、何度失望したことか。。。。
ということで、我々は中国を違った視点で見る必要がありますね。
昨年のおおみそかの英紙Guardianに、「人権帝国主義をやめろ」というタイトルで、「人権は世界「普遍」と言いながら、西洋の概念を押しつけている」という内容の社説が注目されました。「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)はカガメ大統領を暴虐的だと呼ぶが、彼ほど素晴らしいリーダーはいない」と、ジャーナリストのStephen Kinzer称賛していたのです。
 
それから1カ月もしないうちに、同じジャーナリストが「カガメ大統領は投獄するのではなく、批評に耳を傾けよ」という社説(127日)を書いたのにはびっくりしました。http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2011/jan/27/rwanda-freedom-of-speech
 
カガメ大統領の元側近4人が亡命先の国外にて、「テロリスト」グループをつくっている等で、一方的にこの4人に2024年の判決が下されたために、上記のメッセージが送られたのです。それにしてもKinzerが「カガメ大統領の独裁主義はルワンダの将来にリスクを与える」まで書くとは!彼は2008年に、A Thousand Hills: Rwanda’s Rebirth and the Man Who Dreamed it”という本を書き、大変カガメ大統領寄りとして知られていた人なのです
 
Kinzerの変わりようは何から来たのでしょうか。チュー二ジアやエジプトのデモからか。それとも、HRWの代表から批判の記事があったからか。
理由はわかりませんが、彼の考えがより庶民的に、そして世界普遍の人権や民主主義を尊重していることは喜ばしいことです。他の権力者もこのように柔軟であれば!HRWだけでなく、我々市民も啓蒙を続けなければなりません!
チュニジア、イェーメンに続いて、これらの国以上に、エジプトの緊迫したデモを世界が注視しています。それまで、重要な同盟国のエジプトを支持し、いいパートナーとしてムバラク大統領と仲良くしてアメリカが、デモが起きたとたんに、態度を変えています。今日のInternational Herald Tribuneでも、「ムバラク大統領は30年間も政権をとり、その間貧富の差が拡大し、民衆は疲れ果てている。エジプトは変革が必要」と訴えています。

ドナー国にとって都合がいい受益国が人権侵害を犯しても、ドナー国は何の関心を示さないだけでなく、チヤホヤするのですが、エジプトのように問題が起きると、人権や民主主義問題だ!と批判しはじめます。元モブツ大統領もそうでした。「人権外交」がコインの裏表に使われており、本当に調子がよすぎる!普段から人権外交を、正しく使っていただきたいものです。 

それにしても、デモやクーデターをきっかけに、国際社会がやっと失業、貧困、自由のなさなどに苦しんでいる民衆のフラストレーションが理解できるなんて、これらの問題があまりにも軽視されているか、あるいは「臭いものには蓋」がされている証拠ではないでしょうか。もっともっと弱い立場の人たちのことを考え、彼らの問題を解決すべきですね。このようなデモが、ルワンダ、コンゴ、エチオピア等にも近い将来飛び火するのか、気になります。
ヒューマンライツウォッチ(HRW)から24日に、2010年の報告書が公表されました。

http://www.hrw.org/en/news/2011/01/24/world-report-governments-soft-talking-abusers

アフリカ諸国に絞ると、EUなどの拠出国はコンゴやジンバブウェ、赤道ギニアなどの人権侵害国に甘いとのことです。特に名前が挙がっているのが、ルワンダのカガメ大統領とエチオピアのメレス首相で、西欧諸国はこの二人へのアプローチが、個人的な「対話」や「協力」など大変ソフトだと指摘しています。もちろん日本もそれらの拠出国の一つで、我々の貴重な税金がこのような人権侵害者に悪用されていることになります。我々は上記のような報告書を分析し、このようなところで「事業仕分け」をしなくてはなりませんね
元旦早々、コンゴ政府軍幹部による性的暴力の事件がコンゴ東部で起きました。元旦以降今まで50人の犠牲者が報告したそうです。加害者である幹部と部下計8人が逮捕されました。性的暴力が絶えないコンゴですが、ユニセフの職員が「性的暴力が続く最大の理由は、貧困があるから」「教育の欠乏が相互不敬(mutual disrespect)と直接関連している」と述べているのに、びっくりしました。

http://www.upi.com/Top_News/Special/2011/01/19/UNICEF-Poverty-can-lead-to-sexual-abuse/UPI-18741295456854/

もちろん場合によって貧困も教育の欠乏が性的暴力に誘導する要因の一つかもしれませんが、モブツ元大統領やイタリアのベルルスコー二首相を始め、リッチで基礎教育を受けた人もセックス・スキャンダルに巻き込まれています。

アフリカ諸国に比べると貧困問題があまりない日本でも、セクハラはあります。今日大学でハラスメント(セクハラパワハラ)防止講演会に参加しましたが、経済危機の打撃を受けて、どこの会社も人材を減らし少人数で多い仕事をこなしているため、ストレスがたまり、10年前に比べると労働省へのセクハラ・パワハラに関する相談電話が増えたそうです。大学は一般企業に比べると(教員の)流動性が低く、閉鎖的で人間関係が濃密であるため、言いたいことが言えず、パワハラ等が発生しすいとのことでした。また児童施設も子供への虐待が絶えません。要するに、セクハラ・パワハラ・いじめは、貧困や教育のレベルと関係なく、権力関係があれば、どこでも起きることなのです。これを完全になくすことはできなくても、最低減らすよう社会で努力をしないといけません。
世界の自由度をウォッチするFreedom Houseから、2011年の世界の自由度に関する報告書が公表されました。

http://www.freedomhouse.org/images/File/fiw/FIW%202011%20Booklet_1_11_11.pdf

それを見ると、サブサハラアフリカでは1990年代、民主主義が改善されたのですが、この10年間、自由度が後退しているとのことです。その中で最悪の国は、日本を含む拠出国が愛するエチオピアで、「多少自由」から「不自由」に落下しました。「1カ国、2人の大統領」のコートジボワールももちろんそうです。ルワンダも昨年の大統領選挙の際に抑圧の問題があったため、「不自由」のカテゴリーに入っています。コンゴも昨年と変わらず

心配なのは、総合的なスコアを見ると、2005年以降5年続けて、自由度が改善している国より後退している国の方が多くなってることです。大国の中国もそうですし、ますますこの傾向が世界で続くのでしょうか。嫌ですねー。

もちろん「自由」と言っても国によって基準や定義が違うので、一概にこのデータが100%正しいいとは言えませんが、目安にはできるかと思います。民主主義や人権侵害の問題を取り上げる時、これを参考に使用してはいかがでしょうか。
年末は家族、友人や愛する人とのんびりと過ごしている人が多いでしょう。この時期になると、故郷を離れて、異国で生活を強いられる難民、避難民、移民、ダイアスポラらのことを考えさせられます。母国で家族と時を過ごしたくてもできない彼らを現場で見てきて、本当に胸が痛みました。現在もコートディヴォワールからリベリアに約2万人の難民が流入し、落ち着かない日々が続いています。
 
今年は上記の人々以外に、拘禁中や殺害された人権活動家や政治家とその家族のことも考えています。例を挙げると、ノーベル平和賞受賞者のルワンダの野党党首、インガリベ氏やンタガンダ氏。コンゴ人の有名な人権活動家、チャベヤ氏が今年6月に殺害された後、政府から脅迫を受けてカナダに亡命した家族。また外国に亡命しても、そこも決して安全ではなく、映画「ホテルルワンダ」の主人公のルセサギバナ氏のように、脅迫状を受けたりベルギーの自宅が荒らされる人もいます。
 
私もアフリカの紛争地域で活動中、リスクを冒したことはありますが、上記の人の身の危険とは比較できるものではありません。人権や政治を真剣に改善しようとする彼らを尊敬し、脱帽します。
 
来年はこのような人権侵害が少しでも減って、上記の者が解放され、家族のもとや母国に帰れますように。そして皆さんにとって、来年は平和の年であることを願っています。
「国境なき記者団」は今年度の報道の自由のランキングを発表しました。これは結構面白いので、ぜひ見てください。

http://en.rsf.org/spip.php?page=classement&id_rubrique=1034

そこで、”we see that economic development, institutional reform and respect for fundamental rights do not necessarily go hand in hand.”(経済成長、制度改革と人権の尊重とは必ずしも隣合わせではない)と話しています。よく国の背景として、人口の寿命、GDP、子どもの死亡率等等を基準とされ、報道の自由は注目されませんが、これは大事なポイントだと思っています。何しろ、「表現の自由」は国の発展に関連しているからです。

ここで言う「発展」は、決してインフラ等の外見的なものではなく、内面的な面です。政府の建設的な批評が出来る、また政府がそれをオープンに受け入れ、それを基に改善するところは、心身ともに市民も国も成長すると信じています。

開発の「優等生」と呼ばれているルワンダは、178カ国のうち169位にランクしました。昨年175カ国のうち157位だったのですが、大分落ちたことになります。外見だけに力を入れてきたことが証明されました。ちなみに今回のノーベル平和賞で中国の報道の自由が話題になっていますが、中国は今年171位にランクされ、あまりルワンダと変わりません。

ということで、もっともっと表現の自由に注目を!



劉暁波氏のノーベル平和賞受賞は、人権や平和推進活動をしている私にとって嬉しいニュースでした。本当におめでとうございます!昨年はオバマ大統領の受賞後アフガンへの戦争を始め、しかも授賞式で彼が「戦争は時折必要」と述べたこともあり、かなりがっかりしたのですが、劉氏はリスクを負いながらも非暴力で人権尊重を実現しようとしているので、喜ばしいものです。それにしても彼にはそのニュースが届いているのでしょうか。また彼の妻も行方不明になっていると聞き、大変心配です。

この受賞に対して中国政府は即反発し、ジャーナリストや人権活動家をシャットアウトし、またノルウェー大使を呼びつけて、中国とノルウェーとの関係が損なわれることになると警告。これってまるで最近のルワンダ政府の反応のよう!とついつい比較してしまいました。1週間前に公表されたコンゴの人権状況に関する国連報告書にルワンダの「虐殺」の関与の疑いが書かれていたのですが、それにルワンダは憤慨し、いろいろと国連に脅迫していました。過去にも、ルワンダ虐殺の開始直前に起きた飛行機墜落事件の責任者について書かれた報告書を巡って、ルワンダはフランスとの国交関係を停止したことがあります。失礼ながら、中国政府といい、ルワンダ政府といい、外部から見ていて醜い行動を起こしています。

人権といえば、昨日難民映画祭で「レポーター」というドキュメンタリーを観たことを思い出しました。この映画はいろいろと勉強になり、大変お勧めです!ニューヨークタイムズの記者、ニコラス・クリストフが20077月コンゴ東部への取材中、ンクンダという戦争犯で知られている反政府勢力の将軍に会ってインタビューをしたシーンがありました。(実は私も同時期にコンゴ東部で勤務していたので、なつかしい風景を見ながらセンチメンタルになってしまいました~。またンクンダとも2回会って話したことがあるのですが、詳細は著書「世界最悪の紛争『コンゴ』」の127ページをご参照ください)そこで、将軍が言った言葉に思わず笑いうなずいてしまいました。

「コンゴ(「アフリカ」の聞き間違いかもしれないが)には人権(human rights)は存在しない。強い者の権利(strong rights)しかないんだ」

確かにあっている!そしてこれってまさに中国やルワンダにも当てはまる言葉ですね!もちろん、日本を含む世界各地でも起きていることでもあります、悲しいことに。。。。弱い立場にいる者の権利(weak rights)を尊重する世界に変えていかなくては!劉氏を見習いましょう!

人権団体のヒューマン・ライツ・ナウ(Human Rights Now)というNGOをご存じですか?人権侵害に苦しむ地域に駆けつけて、現地NGOと協力して事実調査を行い、世界に向けて報告し、人権状況の改善を訴えています。私はHRNの集まりで昨年コンゴの人権状況について話したり、HRNが企画するセミナーに参加しています。

今年2-3月に私はJICAのアフリカ仏語圏平和構築研修にかかわったのですが、その研修にHRNの理事である伊藤真氏(弁護士)が 「平和憲法と戦後民主主義」」という講義をし、研修生の間で大評判でした。その時の様子を、伊藤氏はHRNニュース7月号に下記のように書いています。

「(研修で)印象的だったのは、日本が60年以上も憲法を書いていないという話になったときに、それをうらやましがれたことです。あるアフリカから来た官僚は自分の国では大統領が変わるたびに憲法も変わってしまい、国の機関も入れ替わってしまう。つまりごく一部のインテリ権力者の私利私欲のために憲法が変えられてしまうというのです。一度決めた憲法を容易に変えさせないようにするにはどうしたらいいのかという議論になりました。つまり人の支配でなく法の支配にするにはどうしたらよいかという根本的な問題的です。」

そして下記のように伊藤氏は提案しています。

権力者にとっても法の支配が自分の利益にもなると思わせることが必要だ。そのためには、憲法や人権を守った政治をすれば外国から一定の利益を得られるというようなガイドラインを作ってその達成度によって日本が経済援助をするような制度はどうだろうか、つまり外圧を利用する、と提案してみました。すると、ぜひ日本にそうした目安となるガイドラインを作ってほしいと言い出したのです。立法・行政・司法が憲法に従って行われているかを分野ごとに評価して、達成度に応じて経済援助を受けられるという具合に努力目標があると、利権によって潤う権力者も憲法を大切にするだろうというのです」

もちろん外圧(条件付けの援助)を使って権力者に人権尊重を理解させ、それを実行させるのはいろいろ問題がでてくるでしょう。何しろ、いくつかのドナー国や経済界も、そもそも相手国の貧困削減等に関して真剣に考えておらず(何人かの外交官がそのようにはっきり言っていたのを聞いたことがあります)、援助=ビジネスとして見ています。だからこそ、相手国が「腐った国家」であっても、「TICADで援助を倍増することを約束したから」という理由で援助し続けているのです。また、援助を受ける政治家の問題意識が低くければ、人権尊重のことをわからないまま、単に外圧を避けるためにガイドラインを守るかもしれません。

しかしガイドラインをきっかけに、政治家が人権問題に意識する可能性もあります。人権団体や弁護士団などが外務省やJICAと共に、人権の目安を重視する新しい形の国際協力をつくっていきたいものです。
Foreign Policyという雑誌で、The worst of the worstという記事であり、世界最悪の独裁者23人をリストしています。

http://www.foreignpolicy.com/articles/2010/06/21/the_worst_of_the_worst?print=yes&hidecomments=yes&page=full


その中に13人のアフリカ人がいました。半分以上も占めているのです!

1.ジンバブエのムガベ大統領
2.スーダンのバシール大統領
3.エリトリアのアフウェリキ大統領
4.エチオピアのメレス大統領
5.リピアのカダフィ大佐
6.チャドのデビ大統領
7.赤道ギニアのオビアング大統領
8.エジプトのムバラク大統領
9.ガンビアのジャメ大統領
10.ブルキナファソのコンパオレ大統領
11.ウガンダのムセベニ大統領
12.ルワンダのカガメ大統領
13.カメルーンのビヤ大統領

このリストはあっているのですが、なぜコンゴのカビラ大統領が入っていないのか、わかりません。

それはともかく、我々の税金がODA等を通じてこのような「腐った国家」に渡っているかと思うと、腹が立ちませんか。貧しい人々のニーズに応えるためでなく、独裁者の別荘や買い物ツアーに使われていることを日本政府は知っているのでしょうか。そういう意味で、ODA等の「事業仕分け」が必要となりますね。
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プロフィール
HN:
米川正子
性別:
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職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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