コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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MDGでの「菅コミットメント」第二弾ということで、今日は4つのP(Purpose-目的、Priority-優先順位、Politics-政治、Peace-平和)について書きたいと思います。
実はPriority, Politics, Peaceの3つのPは、学生が作ったもの。先週末、宇都宮大学等が主催した3日間の英語の合宿セミナーで、私は「人道支援と平和構築」という分科会の講師として参加し、その分科会の内容を学生たちがうまく3Pでまとめてくれたのです。さすが、感性が豊かな学生たち!ここでは、それに加えて、4つ目のPのPurposeを付け足しました。
「菅コミットメント」で保健と教育の援助をするとMDGの会議で発表しましたが、そもそも援助の目的(Purpose)は何か?これに関しては昨日のブログで書いたので、ここでは他の3Pを説明しましょう。
Priority-犠牲者のニーズはたくさんあり、その中に保健や教育も入っていますが、それ以外に重要なニーズがあります。それは「安全」。援助が無事犠牲者の手元に届くために、また犠牲者が自由に町や村を動き回れるために、それが必要条件となります。治安が悪い所に援助は送っても、軍人や武装勢力に略奪され、無駄になるだけです。
では安全確保のために何をすればいいのか?単にPKOの派遣とか現地の警察の訓練だけでなく、犯罪人の処罰(Punishment-5つめのP!)も義務付けです。特に戦争を経験した国は、戦争犯罪人が大勢いるのですが、彼らのほとんどは処罰されていません。この不処罰(impunity)という問題は常に国際社会で議論されていますが、解決されず。犯罪人の名前や居場所などは分かっており、容易に逮捕できるはずなのに!
Politics-なぜ不処罰という問題が続いているのか?その戦争犯罪人が権力国の傀儡であり、利権が絡んでいるからです。この戦争犯罪人と権力国との関係(その他に武器商人、多国籍企業、国際機関などネットワークが広い)を壊すなど、この問題に真面目に介入し解決するために、関係国による強い政治的意思(political will)が必要です。
我々が想像以上に、アフリカなどの援助受け入れ国(相手国)やその周辺国の政治(politics)は複雑できたなく、世界とのネットワークも厚くダイナミックです。相手国の政治家の負の背景を含めてその政治を正しく理解しないと、相手国に(平和の目的で)送った援助が隣国の戦争のために悪用される可能性があります。日本の外交官や政治家は残念ながら、このような政治の理解度(少なくともアフリカの政治に関しては)はあまり高いとは言えません。大変純粋で、インテリジェンス力やネットワーク力があまりありません。(これは問題解決力や分析力が不足しているということ。「知識」はあるが、「知恵」はないという意味です。情報を収集するにも人のネットワークも必要だが、それもほとんどない)
Peace-上記の2つのPとも関係しているのですが、平和構築は「他人の痛みを理解することから始まり」(韓国の歴史学者ハン・ホング)、真の民主主義で選ばれたリーダーは市民のことをもっと考え(Priority)、行動をとるべきです。2008年に行われたTICADの柱の中に「平和の定着」が入っていましたが、平和を実現するために具体的に何をするのか、誰のための平和なのかが話されていませんでした。実際に、かなりのカネが相手国の政治家(独裁者)に行き渡ったり紛争のために使われていますが、アフリカから嫌われたくない日本は沈黙状態です。情けない!(日本は国連の安保理に入りたく、その票集めのために国数が多いアフリカに援助をしています。ちなみにこれは私の言葉でなく、ある外務省の幹部が実際に私に言った言葉)
ということで、もっともっとこの4Pについて考え、周りの人と議論し、アドボカシーなどいろんな形でアクションをとりましょう。特に学生さん、期待しています!
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プロフィール
HN:
米川正子
HP:
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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