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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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先週末にシンポジウム「独立を問う南部スーダン~住民投票の行方と人道支援」(大阪大学GLOCOLとジャパンプラットフォーム共催)に参加し、阪大の栗本英世先生の問い「人道支援機関のおかげで、政府は「軍事」に集中できるのではないか」について、人道支援者として考えさせられることがたくさんあります。

つまり、そもそも人道支援は政府や市民団体が責任もってすべきで、国連や
NGOの役割はあくまでもそのサポート役なのに、その役割が逆転している。外部者が進んで人道支援に関わってくれるので(しかも南部スーダンでは20年以上も!)、その間に政府は他の分野―軍事活動やビジネスーに関わる余裕ができる。もちろん国連やNGOは、現地で人材育成やキャパシテイ―ビルディングにも従事しているのだが、あまり効果がないのは、政府の役人の能力の問題というより(これも場合によってはある時もあるのだが)、上記の儲かる活動の方が有利なため、人道支援をマネージする士気がないのではないか(これは私個人の意見)。
 
南部スーダンでは軍人がそのまま地方政府の役人になることがほとんどなのですが、彼らのメンタリテイーはまだ軍人で、「公務員とは何?」という基礎から研修を始めないといけないとか。しかも人道支援に関しては、完全に外部者である国連やNGOに任せっぱなしで、人道支援の課題別ワーキング・グループ(クラスター制度)も南部にはないとか。コンゴ東部では地方政府は少々人道支援に関与しているので、政府の人道支援のオーナーシップに関しては、もしかして南部スーダンの方がひどかったりして?
 
Global Witnessが今月初めに公表した報告書”The Hill Belongs to Them”
 
にも、Congo’s donors: a help or a hindrance?(p.22)という欄があり、資源の軍事化を避けるためには「資源地域から軍隊を追放するように、拠出国はカビラ大統領に訴えないといけない」と地方政府の代表のコメントが書かれています。拠出国は相手国の機関やプログラム、特に治安改革(security reform)のために資金を出していますが、相手国政府が自国の軍隊を統制できないようでは、結局援助は無駄になるとGWは述べています。
 
現在私はUNHCRを休職中なのですが、将来人道支援の現場に戻るかどうか迷っています。人道分野は必要な分野なのですが、上記のようにそれが長期化すると相手国政府や市民団体をダメにするので、それを避けるためにも、何が出来るのかを模索しているところです。
 
このような援助や人道支援が与える負の遺産に関して、来年2月に宇都宮大学などが主催する合宿セミナーで話し合いたいと思います。私が担当する分科会のテーマは「援助と人権保障」で内容は以下の通り。

日本政府は政府開発援助(ODA)や国連平和維持活動(PKO)などを通して、援助を必要とする国々に協力をしていますが、その国々の中には独裁国家や市民の人権を無視したものも含まれています。また援助が人道支援や開発のために使われているどころか、ビジネス化している所もあります。我々の税金がそのように使われていいのか、そしてそのような国々に対して日本政府はどう対処すればいいのか、分科会は検証をし提言します。
 
援助一般に関するセミナーはたくさんありますが、それを人権保障の観点から見ることはあまりないので、貴重な機会だと思います。学部生だけでなく、院生や社会人の参加ももちろん歓迎しています。詳細に関しては下記まで。皆さんの参加をお待ちしています!
http://www.kokusai.utsunomiya-u.ac.jp/career-program/activity/2010special.html
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プロフィール
HN:
米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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