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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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おとつい、日本平和学会の秋季研究大会の「アフリカ大湖地域の移行期正義」という部会で、「コンゴにおける重大な人権侵害ーアフリカ大湖地域における不処罰文化への対処と司法機関の設立」を発表しました。私は90年代にルワンダで、そして3年前までコンゴ東部で、難民や国内避難民の支援や保護に従事しただけで、国際法の専門家ではないのですが、不処罰(impunity)の根絶の重要さを現場で強く実感したために、このテーマを取り上げることにしました。
  
これまでも他大学で不処罰に関して話す機会があったのですが、この不処罰を知っている人は多くいなく、さらに不処罰の問題にショックを受けた人も多くいました。そういう私も学生時代考えたことはありませんでしたし、UNHCRの仕事をしていなかったら、そしてコンゴ東部にいなかったら、今のように強く問題意識を持っていなかったでしょう。人権団体や国連の報告書には、"to end the culture of impunity,""combat the impunity" と繰り返し明記されていますが、不処罰による恐怖心、そしてそれが社会に与える悪影響に関しては、難民、国内避難民やディアスポラのコンゴ人と出会うことがなかったら、きっと身体で理解していなかったと思います。改めて、現場で感じ、犠牲者と触れることの重要さをしみじみ感じました。
 
今回の平和学会で、私が不処罰を取り上げた理由は二つあります。1つ目は、3年前にコンゴ東部から日本に帰国してから、不処罰の根絶なしに平和構築は実現しないという私の意見に、周りが十分に理解しなかったこと。あるいは理解したとしても、「不処罰なんて昔から行われているわけだし、しかもアメリカの大国もしている」とあきらめムードに入っている人が多かったこと。
 
しかし、デル・ポンテ ICTR(ルワンダ国際刑事裁判所)前検事が言うように、
 
「国際人道法の最悪の犯罪者を裁き、不処罰を絶ち、また法律を尊重するという司法部門が、平和創造や国造りの最初のフェーズから含まれないと、実現できない。司法による正義(justice)なしの平和創造は失敗し、紛争が将来再燃されるだろう」

まったく同感です!

2つ目は、コンゴの人権侵害に関する国連報告書が公表されてから1年経ち、その報告書でルワンダ政府軍等による「ジェノサイド罪」の可能性が問われたのにもかかわらず、それに関して何の議論も行動もとられていないことです。だからこのタイミングに、いろいろと問題意識の高い方々と議論をしたかったのです。
 
今回報告して、いろんな方から貴重な意見をいただいたのですが、改めて不処罰の根の深さを感じました。どの範囲まで不処罰の対象とするのか(大国のような間接的なサポーターも含めるべきか等)、そして不処罰の時間的管轄はどうするのか(アフリカの場合は、植民地時代まで遡るのか)。歴史を辿ればきりがありませんが、例えば1961年の当時の国連事務総長・ハマーショルド氏の死(暗殺の可能性大)に関しても、50年経った現在、目撃者が現れているのですから、そのような歴史の真相を一つずつきちんと明らかにし、その責任を問い、その教訓から学ぶ必要があります(それに関しては下記を参照)。
 
http://www.guardian.co.uk/world/2011/aug/17/dag-hammarskjold-un-secretary-general-crash
 
このような発表の機会を与えて下さった平和学会の関係者に感謝を申し上げます。
不処罰に関してまだまだ勉強不足なので、今後もいろいろと教えていただければ嬉しいです。
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プロフィール
HN:
米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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