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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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3週間続いたJICAのアフリカ仏語圏平和構築研修が2月3日に終わりました。「歴史」(将来に向かうために歴史を見直す重要性)、「人々」(犠牲者や市民の痛みを知る重要性)、「行政」(平和構築における行政の重要な役割)の3つのコンセプトを基にした本研修の内容づくりには3年前から関わっています。アフリカ紛争(後)の国々(ブルンジ、コンゴ民主共和国、ジブチ、チャド、中央アフリカ共和国)の司法や治安関連の政府役人に日本の戦後復興の教訓を学んでもらい、それぞれの国の平和構築に役立ってもらおうというものです。3週間のプログラムののうち、今回私は1/3しか参加できなかったのですが、感想を簡単に書きたいと思います。
 
  • 参加者11人の内、2人(女性)がチャドの「平和と和解を求めるモニタリング委員会」というNGOに属しています。本研修への市民社会出身の参加者は初めてだったのですが、行政の人と違って大変パワフルで厳しく、議論もぐんぐんリードしてくれました。例えば、ジブチの行政官が「ジブチでは暑いこともあり、午後は仕事しない。本研修は朝から晩まで講義が詰まっていて疲れた。午後は休ませてくれたらよかったのに」と愚痴ると、チャド人女性が「何言っているの、緊張感の中で仕事をしないと!チャドだって暑いけど、私たちは働いているわ!」とびしっと叱ってくれ、ファシリテーターの私としては大変心強い思いでした。こういう時、外国人の私が介入するより、アフリカ人同士が注意しあう方が効果的です。やはり最終的に頼りになるのは、市民社会、しかも女性!これは日本も同じですね。 
  •  
  • アフリカ人同士の議論というと、JICA研究所のコンゴ人研究員による日本の勤勉や団結力や教育熱心さなどのフリートーキングをしてもらったのも良かった点です。この研究員は、大変まじめで責任感の強い性格の持ち主。日本人が日本のいいところを話しても、「日本では機能しても、アフリカはどうせだめだ。。」とAfripessimism(アフリカ悲観的)になるアフリカ諸国の人が多いのですが、日本のことをよく知っているアフリカ諸国の人(しかも講師が、経済的に発展している南ア等の人ではばく、失敗国家(失礼!)のコンゴ人だから、さらに効き目があった)が話すとかなり説得力がありました。研修生も多少Afroptimismになったと思います。
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  • もちろん日本のいいところだけでなく、負の遺産や課題も研修生に見せました。見学した「女たちの戦争と平和のミュジアム」は慰安婦問題を取り扱っており、日本が被害者だけでなく加害者であったことを説明しています。研修生から「自国(コンゴ)では性的暴力が続き、世界のレイプ中心地と呼ばれている。慰安婦と同様なことが起きている」「戦争がなくても、性暴力はアフリカでは日常的に起きている。我々の手で何とかしなくては!」「アフリカでは負の遺産の歴史を消そうとする傾向があるが、ここのように博物館を建て証言を集め、次の世代に伝えないと」といった活発な意見交換がされました。またこのような日本の恥である問題をオープンに見せたことに関して、研修生数人から感謝されました。日本の強みや成功例だけを見せると、他に何か隠しているのではないかと疑うからです。実際にある研修生が自国の問題を触れなかったら、「貴国が多くの問題を抱えているのは知っている。かっこつけてどうするんだ」と他の研修生から苦情がありました。個人レベル、あるいは国家レベルで信頼関係を築くには、やはり負の遺産を含む過去や現在の問題ときちんと直面し、誠実になることから始まりますね。今の日本政府も経済や技術力だけに頼らずに、歴史と向き合って対処してもらいたいものです。 
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  • 弁護士の伊藤真氏による憲法の講義も評判がよく、あるオブサーバー(日本人)のコメント「人間の安全保障の講義より憲法の方がずっと理解しやすい」が印象的でした。私も実はこのあいまいな「人間の安全保障」の概要は理解していなく、それよりも憲法9条を日本政府の外交柱として取り上げてた方が日本人・外国人にとってどんなに効果的でわかりやすいことだろうかと思っています。
  •  
  • 最後に、羽根拓也氏(アクテイブ・ラーニング(株)社長)による能動的学習法と、船田クラ―センさやか先生(東京外大)による紛争転換(トランセンド)のワークショップは大変人気があり、母国でさっそく実施したいと言う研修生がほとんどでした。やはり参加型形式は一方的な講義と違って、開脳・活性化するきっかけにもなるので、いつも評判がいいですね。私も大学ではなるべくそうするように心がけています。話はそれますが、一般の就職セミナーは大学卒業直後の短期的な出口の話しかせず、かつ講義が多いのですが、逆なこと(参加型を通して、長期的に人生の目標や価値観を見直す)をすれば、学生の生きる・働く意欲が高まると思うのですが。。。話は戻って、今後の紛争転換の課題は、上記のチャド人がお願いしたように、独裁者や武装勢力といった権力者とどう闘うか、また野党と与党間といった政治的なコンフリクトの転換法ですね。うーん、これはさやか先生も私も現在現実に直面しており、お互いに勉強中。Trial and errorを重ねて、将来チャドやコンゴでぜひ活用したいものです。
 
JICAの関係者、そして研修生の皆さん、お世話になりました。そしてお疲れ様でした。本研修が少しでもアフリカの平和構築の努力に役立つことを願っています。
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プロフィール
HN:
米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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