忍者ブログ
コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
[1]  [2]  [3
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ルワンダ大統領選挙に登録できなかったFDU党首のビクトワール・インガリベ氏は、党の支持者から

「マンデラ氏のアフリカ女性」

と呼ばれているのですが、私は

「アウン・サン・スー・チー氏のアフリカ版」

と呼びたいと思います。

今年1月にインガリベ氏は16年ぶりに亡命先のオランダからルワンダに帰国して以降、国内外で大変注目を浴びています。彼女は、世界でルワンダにしか存在しない「虐殺イデオロギー」法の罪を犯したということで、4月に逮捕ー>自宅軟禁になり、彼女の弁護士も外国人であろうとルワンダ人であろうと逮捕されています。同じ党のメンバーも逮捕・行方不明になっています。この「虐殺イデオロギー」法は、国際社会からあいまいでおかしいと批判されているのですが、権力国でルワンダを支持しているアメリカとイギリスはこれに関して沈黙。。

インガリベ氏のパスポートは政府から没収されているため、オランダにいる夫と子供3人と会えなく、かつ毎日のように政府から死の脅迫を受け、大変孤独で恐怖心に包まれた生活を送っています。自分の安全のために家を転々と回ったり、党の記者会見をいろんなホテルで開きたくても、「安全の保証がないので」断われるそうです。あるインタビューで、「私は母国で独裁者の犠牲者になっている」と言っていました。それにも負けず、毎日のように情報を発信し、「インチキな大統領選挙を認めるな」などと拠出国に呼び掛けています。

ちなみに私はビクトワール氏が率いるFDU党の支持者ではありませんが、軍事独裁国家のルワンダで非暴力で闘う彼女に脱帽しています。彼女が一日でも早く自由の身になり、ルワンダの政治に関わることができるよう祈っていますが、残念ながら、今の政情からして近い将来実現されないようです。
PR

今朝起きてtwitterをチェックすると、キガリで昨夜手榴弾事件があり、子供を含む数名が傷を負ったと。キガリで起きた手榴弾事件は今年で4回なのですが、どれも政治的要素が絡んでいて、特に今回は「世界で最も不均衡な大統領選挙」(The Christian Science Monitor)の直後なので、選挙に不満であった人たちが仕掛けたのではないかと言われています。

ついでに日本のメデイアはどのようにこの手榴弾事件を報道しているのかTwitterで確認すると、誰もいませんでした。ということは、日本で私が一番乗り?検索しても、「カガメ大統領が圧勝」としか書いていません。例として、NHKの報道を下記に載せてみました。

「ルワンダ大統領 カガメ氏再選

8月12日 6時9分

アフリカ中部のルワンダで大統領選挙が行われ、80万人が死亡した大虐殺のあと民族の融和を進めた現職のカガメ大統領が再選を果たし、今後はアフリカ屈指の高い経済成長をいかに維持していくかが課題となります。

ルワンダの大統領選挙は、現職のカガメ大統領ら4人が立候補して9日に投票が行われ、選挙管理委員会は11日、カガメ大統領がおよそ93%の得票率で当選したと発表しました。ルワンダでは、1994年、民族対立が激しさを増し、国民の7分の1に当たるおよそ80万人が死亡する大虐殺が起きました。このため、2003年の大統領選挙で初当選したカガメ大統領は、出身部族を示す身分証明書の廃止など民族の融和に努めたほか、汚職の取締りを強化して国の再建に力を入れました。また、コーヒーなど農産物の品質向上や観光に力を入れて経済を立て直し、10%以上の経済成長率を実現したほか、開発援助を通じて日本との関係も強化し、日本政府は、ことし1月、首都キガリに大使館を開設しました。再選を果たしたカガメ大統領の任期は7年で、国内のインフラ整備や貧困対策を進めながら、アフリカ屈指と言われる高い経済成長をいかに維持していくかが課題となります。」

これをよーく読むとわかりますように、ニュースの中心は経済成長で、選挙前に起きたジャーナリスト・野党・被告側弁護士の殺害・逮捕・亡命や表現の自由については一切触れていません。これでは読者に誤解を与えるのは当たり前ですよね。同情心からでもいいので、同じ職業のジャーナリストがルワンダで命をかけていることなど伝えてほしいです。

それにしても、この手榴弾事件の後に何が待っているのでしょうか。恐ろしー!これ以上罪のない一般市民の間に犠牲者が出ないことを願っています!
昨日映画の「ベンダ・ビリリ」について書きましたが、その特別先行試写会が8月20日18:30から日仏学院で行われ、その後にJICA職員の飯村学氏がトークショーに登場されます。飯村氏は昨年までの2年間、JICAのコンゴ事務所長を務め、コンゴを愛するあつ~い人です。きっと飯村氏のホットなトークが聞けるので、ぜひ行ってくださいね。

http://www.institut.jp/ja/evenements/10189

ところでルワンダの大統領選挙ですが、有権者の中には、投票日の早朝3時以降政府軍などに叩き起こされ投票所に行かされたとか。それを知ってあるいは知らないのか、アメリカや英連邦の選挙監視団は「投票は静かに問題なく行われた。人がたくさん投票所に集まった」とのんきに述べていました。有権者がどのような目にあっているのか、本当に分かって言っているのかしら?

私も以前カンボジアや南アで選挙監視をしたことがあるのでわかるのですが、我々外国人は投票日当日、あるいはその前後に投票所周辺で起きていることしかわからず、それだけで「free and fair」な選挙であったかを決めつけるのですね。しかし選挙は一瞬で終わる「お祭り」であり、選挙前に何が起き、その後に起こるであろう政情を計算した上で、評価する必要があります。まあ監視団は政府の役人という立場上、本音がなかなか言えないという事情もありますが。そもそも、今回カガメ大統領が不正して圧勝することが予想されていたのに、監視団を派遣する意味は本当にあったのでしょうか。結局「free and fair」の評価は、有権者が最適ですね。

そうそう、ベルギーで行われた、ルワンダ人などによるルワンダの選挙のシムレーションがyoutubeに載っていたので、今朝観てしまいました。仏語ですが、現政権が有権者にカガメ大統領に投票するよう脅かす演技があるなど、なかなかリアルで迫力があるので、ぜひ観てください。

http://www.youtube.com/watch?v=hJGuXliI3Kw
今日はいよいよルワンダ大統領選挙の投票日です。本当は今日メデイア関係者にルワンダでの現状をまとめたものを「wake up call」として送ろうと思ったのですが、今まで99%反応がなかったので、結局やめました。アフリカでは結局、大虐殺、民族浄化、紛争、大きな暴動やワールドカップがない限り、日本でニュースにならないのですね。本当に悲しいことです。いくら日本政府が5年ごとにTICADを開催しても、普段からアフリカを身近に感じられるようでなければ、意味がないと思うのですが。。。

話は変わりますが、先週の週刊誌Jeune Afriqueに、ルワンダの大統領選挙の特集があり、コンゴ人の有名な歌手のコフィ・オロミデ氏のことが書いてありました。彼は7月20日にルワンダで開始した選挙キャンペーンでカガメ大統領を支持するために「カガメ、オイェー」と叫んで観客席を盛りあげ、10万ドルの大金の謝礼をもらったそうです。

このようにコンゴ人の歌手が隣国の選挙キャンペーンに登場するのは珍しくないのですが(ところで、他の大陸ではこんなことあるのでしょうか?)、コフィ氏は完全に政治にはまっています。何しろ、彼は以前コンゴの大統領選挙の際も、同じようにカビラ現大統領の支持をしていたのです。カガメ大統領とカビラ大統領は親分ー子分のような関係なので、おそらくコフィ氏は今回カビラ大統領から「カガメ大統領を応援するためにルワンダに行って来い」と押されたのでしょう。10万ドルの現金も、拠出国からの援助なのでは?と疑問に思ったのは私だけでしょうか。

ついでなので、あともう一つ、カンボジア人の人権活動家が1997年に殺害されたことを2日前のブログに書きましたが、今日「ジェノサイドの丘~ルワンダ虐殺の隠された真実」(著者フィリッピ・ゴーレイビィッチ氏、2003年、WAVE出版)を読んでいると、

「カンボジア人の死体は首を完全に切り離されていた」(p.229)

と書いていました。

ぎょっ!先月14日にも野党の副党首が殺害されていたのですが、彼も同じような殺され方をし、それを思い出してしまいました。このような殺し方をするということは、よっぽど憎らしい理由があったんでしょう。ルワンダでこれ以上殺人(そして、亡命、不法逮捕など)があってほしくないのですが、選挙後どうなるか本当に本当に心配です。
今日はルワンダ人のダイアスポラの投票日であり、明日はルワンダ大統領選挙日です。

先週は大学の仕事等などでしっかりルワンダの報道を見ていなく、昨日まとめて見たのですが、カガメ大統領といい、ルワンダ人の亡命者の恐ろしい言葉に凍りつきました。

2007年11月に南アに亡命したパトリック・カレゲヤ前軍事諜報機関長[1994-2004年;「しつけの欠如」で2004-5年18ヶ月間逮捕され、2006年7月13日に大佐の肩書が剥奪される)は、ウガンダのThe Observer紙やBBCのインタビューで、「(カガメ大統領のような)独裁者は自ら降りることはない。自由を確保するためにルワンダ人自身が立ちあがって闘わないと。カガメ大統領の限界点はもうすぐ来るだろう」「カガメ大統領は敵を殺すことを信じている。過去に政治的に亡くなった人は大勢いる」と答えているのです。

諜報機関長であった彼は、カガメ大統領が関わってきた行動や彼の弱みも十分知っているはずです。カガメ大統領の限界点はもうすぐ来るということは、何かを企んでいるのでしょうか。

そして先週、カガメ大統領は選挙キャンペーンの時に、「我々の政権を不安定化したい人は鎮圧する」「現政権を批判する者は首をつれ」「ハエを殺すのに金づちを使う(ルワンダ人ジャーナリストはこれを「野党を殺す」と解釈)と言っています。おそらくカレゲヤ氏へのメッセージなのですが、体が震えるぐらい怖い!

このプログで何回も取り上げたように、過去にルワンダ内外で謎の殺人事件や亡命があり、また今回国家のリーダーがこのような暴力的な言葉を公の場で使っていることは大問題だと思うのですが、国際社会は何とも思わないのでしょうか。外国のメデイアはかなり毎日のように批判していますが、日本のはまだまだ。アフリカ連合も国連も各国政府も相変わらず口を閉じたままです(イギリス国会では多少ルワンダへの批判はあったのですが)。

カガメ大統領は民主主義の問題について聞かれると、口癖のように下記のように答えます。

「個々の国がそれぞれあった民主主義を見つけるべきだ。他国が「これが民主主義だ」とルワンダに押し付けることはない。我々は西洋諸国から何も学ぶものはない」

94年の虐殺の際に何の介入もしなかった西洋諸国の政府や国連は、これに対して何も反論できなくなるのです。これだけルワンダ人の命が亡くなり、彼らが恐怖心に包まれているというのに!あきれるやら、情けないやら。私は紛争予防を勉強し、それには早期警告(early warning) の重要さを訴えているのですが、これだけ悪化しているルワンダの現状ははっきりとした警告であります。それに何の反応を示さないのは、正直言って、人間は愚かな動物だとしか言えません。(だから私はいつも学生に「理論と実情は違う」と言っている)

それにしても上記のカレゲヤ氏といい、彼の同僚でこの6月に暗殺未遂にあったニャムワサ氏といい、南アでどのような亡命生活を送っているのでしょうか。どう安全を確保しているのか、生計をどのように立ているのか、テイーンエイージャーであろう子供たちは学校に行っているのだろうか、と他人事ながら心配です。さらに、ニュムワサ氏は戦争犯としてスペインから逮捕の令状をだされているため、余計に状況は複雑です。南アはこの二人を匿っていることで、南アとルワンダ間の関係はぎくしゃくしており、これから注目すべきです。

明日の大統領選挙はどうなるのか?まあ、このような状況なので、カガメ大統領の圧勝は目に見えますが、その後が気になります。ルワンダのムシキワボ外務大臣は「選挙前だから熱くなっているだけ。選挙後は安定します」とクールに言っているのですが、残念ながら私はそのような希望は持てません。

追伸:
南アの話が出たので、ここで少し私の南ア体験について書きたいと思います。
私は南アに留学している時にコンゴの研究をしていたので、コンゴの亡命者何人か会ってインタビューをしたことがあるのですが、アフリカ人にとって(特に中央部アフリカ)南アはいい亡命先かもと思いました。2008年にアフリカ難民や亡命者への差別事件がありましたが、上記のカレゲヤ氏が言うように、「ウガンダ(などの東アフリカ)は近すぎるけど、南アはちょうどいい近さ」であるし、情報も入ってきます。

南アに留学する前には、UNHCRの同僚から「なんでまた南アで?」「日本、アメリカやヨーロッパで研究すればいいのに」「そんなところで修士をとっても昇進できないよ」とボロボロに言われたもんです。でもアフリカの政治や紛争を研究するならば現場に近いところ、そしてコンゴ紛争を研究するならば、それに良くも悪くも影響を与えた南アで研究するのが最適だと思っていたので、そのようなコメントを無視しました。その時は、南アはアフリカ難民の中心部ということを知っていたのですが、それが自分の研究に役に立つとは思っていませんでした。

コンゴに3年勤務した後に南アに留学したのですが、難民や亡命者からコンゴの違った側面が聞くことができて大変勉強になりました。コンゴ内では政府批判はできませんが、国外では自由にできます。そして、アフリカのように歴史が西洋諸国から意図的に消されているところでは、オープンに話ができる人から話を聞くしかない場合もあります。理論でなく、アフリカの生々しい政治を学びたい方は、(もちろん大学や教授にもよるが)ぜひ南アへの留学を考えてくださいね!
カガメ大統領が戦争犯の可能性があるために、7月16日スペイン首相がカガメ大統領との国連MDG会議の共同議長をボイコットしたこと、そしてスペインの市民団体がカガメ大統領のことを戦争犯罪人と呼んでいることについて、7月下旬のプログにて書きました。昨日、友人と話していてそれには訳があることを思い出しました。94年の虐殺の際にスペイン人の教会関係者が6人、1997年スペイン人の「世界の医師団」3人が殺害されていたのです。スペイン政府の報告書によると、彼らは現政権(つまりツチ)がフツを殺害をしているところを目撃したからです。
 
実は97年の事件が起きた時(正確に1月18日)、私はルワンダにUNHCR職員として滞在していて、私と同じ人道関係者が殺害されたことにショックを受けたのですが,  この事件をすっかり忘れていました。10年以上の前のことだし、その間いろいろ起きすぎたからでしょう。そしていろいろ調べているうちに、その事件の2週間前つまり1月4日にも、国連人権高等弁務官事務所の職員2人(イギリス人とカンボジア人)も殺害されていることもわかりました(=思い出しました)。理由は上記と同じようです。

私はルワンダに行く数年前にカンボジアで1年間活動していたこともあり、また、たまたま殺害されたこのカンボジア人男性サットラさんに殺される前に一回会ったことがあるため、彼の死は衝撃的だったのを覚えています。彼は国連ボランテイアの地元のボランテイアとして、カンボジアで人権活動に関わり、その後ルワンダに国際ボランテイアとして採用されていました。大変明るく、リーダー的な存在で、彼の将来は希望に満ちていました。私がカンボジアにいた93年に同僚の中田厚仁さんが殺害され、日本でも大きく報道されましたが、サットラさんは厚仁さんと同じタイプの人でした。

(ちなみに、その後、彼の死に関しては朝日新聞が記事を載せたが、それは現地で取材されたものでなく、カンボジアの遺族に取材したものであった)

ルワンダ関係の本を何冊か読んでいますが、サットラさんや彼の同僚の死に関しては触れることはほとんどありません。彼らが目撃したもの、あるいは書いた報告書があまりにもセンシテイブであったからでしょうか。いま思い出せば、当時ルワンダにいた国連人権高等弁務官事務所の職員は積極的に活動できないと嘆いていたのを覚えています。この国で何が起きてきたのかを分析するために、このような事件を時系列に記録することの重要さを改めて実感しました。

私は若者に国際協力の場で活躍してもらいたいと願っており[またそのように学生に促しているのですが)、法学部生にも将来国際刑事裁判所や国際ルワンダ戦争法定(ICTR)のような場でで働くことを目指してほしいのですが、リスクを相当覚悟した方がいいかもしれませんね。実際に、ICTRで働くdefense lawyerは現在逮捕されたり、殺されたりしています。でもだからこそ、やりがいはあるでしょうね。
先日2009年のCommonwealth Human Rights Initiativeの報告書(ルワンダの英連邦への申し込みにあたって)を読んでいたら、9ページにルワンダ軍が「国境なき兵士団」(soldats sans frontieres)だと書いてありました。ぴったりな表現です!と言っても、1996年ルワンダ軍がコンゴに侵入・侵略した時からコンゴ人はそのように呼んでいたので、決して新しくない表現なのですが。

http://www.humanrightsinitiative.org/publications/hradvocacy/rwanda's_application_for_membership_of_the_commonwealth.pdf

一般的に「国境なき。。」といえば、「国境なき医師団」「国境なき記者団」など人道、あるいは人権上の理由で活動している美しいイメージがありますし、(株)イーウーマンの佐々木かをり社長もいろんな所とコミュニケーションがとれる「国境なきシェア団」をつくるのが夢であったと語っていました。しかし「国境なき兵士団」は反対にネガテイブなものです。何しろ隣国に不法に入り(まあ、「国境なき医師団」も緊急の時にビザなしで入国する時もあるのですが、理由が全く違うので比較できません)、難民や市民を何十万人殺害しただけでなく、天然資源も搾取していたからです。そして残念ながら今も続いています。日本軍も昔は同じように「国境なき兵士団」であったので、他国を批判できませんが、そのような国の国民としてもう二度と戦争を繰り返してほしくないと望んでいるからこそ、ルワンダにも同じような行動をやめてもらいたいものですね。

 

さて9日のルワンダの大統領選挙まで1週間となりました。10日ほど前に、ある野党のメンバーが2人強制的に逮捕された以外に最近大きな事件はなく[注:6月下旬-7月中旬までジャーナリスト、野党、弁護士の3人が殺害され、現政権の一人は暗殺未遂にあった]、現政権は720日以降200万米ドルかかる選挙キャンペーンを行っています。
この数カ月ほど国内外でのルワンダに関する報道に注目していたのですが、日本ではゼロ、海外では上記の事件に関して多少ルワンダ現政権への批判はあるものの、大手のメデイアは大抵沈黙状態です。16年前に世界歴史に残る虐殺があった国で現在報道や表現の自由への抑圧があり、それが要因で将来また国が爆発してもおかしくないのに、それに関する報道をしないのはかなり変だと思います。ルワンダ虐殺といい、ダルフールの民族浄化といい、"no more genocide!"の教訓を我々はまだ得ていないではないでしょうか。

その理由の一つとして、一般的にアフリカの発展を語る際に、経済成長、紛争、民主化、貧困やエイズだけに焦点を置き、人権問題は全く無視されているからだと思います。ルワンダではインフラ、観光産業、コーヒー産業だけでなく、教育機関や医療機関などの公共サービスもまずまず充実しています。昨年、世銀はルワンダを最も進歩した国と言っており、日本からも毎年1500人がルワンダを訪れています。2001年以降経済成長が毎年平均6%上昇しており、アフリカで最も安全な国の一つであるルワンダを、国際社会はアフリカのリーダー的な存在として認めています。だから、「ルワンダは大丈夫、もう自立している」と勘違いしているのでしょう。実際にいろんな人にルワンダにおける悪化している現状について話すと、「そんなこと初耳だ。知らなかった」とかなり驚いています。

ある欧米の外交官は「ルワンダには民主主義はないが、アカウンタビリティー(accountability)はある」と言っており、これには頷けます。ここでいうアカウンタビリテイーとは「説明責任」ではなく、「当事者が目標達成にむけて、問題の解決策を見出し、それを実行しようとする意識を持つこと」です。ルワンダ人はけじめがあって勤勉で、だからこそ上記のような「外見のサービス」は発展したのですが、それと同時に人権のような「心(精神)のサービス」も充実しなければ、真の民主主義、そして平和と安定が来たとは言えないでしょう。その視点からルワンダをはじめ、アフリカの諸国を見る必要があると思います。
ルワンダ野党の副党首が13日から行方不明になり、14日に彼の死体が見つかりました。頭部は体から完全に離された、大変むごい殺され方です。

http://gu.com/p/2tccc/tw


この野党、民主グリーン党は、来月行われる大統領選挙参加には登録できなく、党首は政府からかなり脅迫を受けていたので、この事件でさらに恐怖感が増したということです。

このプログで繰り返し伝えているように、今年になってルワンダでは「虐殺を否定している」「国家安全保障の妨害になる」などの理由で、ジャーナリストや野党が殺害・逮捕されています。ルワンダ人だけでなく、ピーター・アーリンダ氏のようなアメリカ人弁護士も同じように扱われていました(ところで、昨日彼の講義の動画を観たのですが、「自分がルワンダの刑務所にいた時の処遇は、グアンタナモ収容所の収容者のそれよりもましだった」と話していました。彼は常に自分のことより、自分よりひどい目にあっている人々のことを語っています。なんて素敵でしょう)。ルワンダの正義のために闘うためには、リスクを覚悟しなければなりません。

NGOの国境なき報道団は欧州委員会に対してルワンダ選挙への援助を中止するように呼びかけています。ルワンダを「アフリカン・サクセスストーリー」としてとられ、しかも人権問題にうっとい日本では、そのような運動は見られませんね。日本政府は「人道大国」だけでなく、「人権外交」もしてほしいものです。
ウガンダの新聞Daily Monitorに、Rwanda's unresovled secret historyという面白い記事がありました。

http://www.monitor.co.ug/Magazines/-/689844/951456/-/view/printVersion/-/5di3rqz/-/index.html



記事に書いている通り、ルワンダ現政権を支援してきた英語圏のメデイアでさえ、同政権を批判するようになっています。謎の暗殺(未遂)が続き、それに対してルワンダ政府は関与を否定していますが、真相を隠そうとしている姿がバレバレです。

ところで、「ルワンダとウガンダの大統領同士は仲が良かったのに、なぜウガンダの新聞はルワンダ批判をしているの」と疑問に思った方もいるかもしれません。

コンゴの第3都市のキサンガニでは、1999-2000年にかけてダイヤモンドの取り合いをめぐって、ルワンダ軍とウガンダ軍が3回衝突し、ルワンダ軍が最終的に勝ちました(もちろん現地のコンゴ人はその時に殺害されています)。それ以降2カ国間は国交はあるものの、あまりいい関係にはありません。何しろそれまでウガンダのムセベニ大統領は東アフリカのリーダー的存在であったのですが、以前ムセベニ大統領の子分であったルワンダのカガメ大統領がプレゼンスを目立つようになったからです。要するに嫉妬の問題です。

最近ウガンダへのルワンダ人の亡命者、あるいはウガンダで数週間滞在してから他国に亡命するルワンダ人が増えているのは、そのためです。亡命者はウガンダではムセベニ大統領に保護されているのです。

記事の最後に、「西洋諸国は、アフリカのシンガポールというルワンダ政府のイメージしかないが、その裏には1990年以降残っているRPF政権のミイラがある」と締めくくっていますが、その西洋諸国には日本ももちろん含まれています。TICADのスローガンである『元気なアフリカを目指して」と言っている場合ではありません。ドロドロして腐ってしまったアフリカ政治の真相に早く気付き、対処方法を考えるべきです。

24日の夜に、ルワンダの首都キガリにて、ジャーナリストのジャンーレオナー・ルバンバゲ氏が暗殺されました。

彼は「ウムヴギジ」というウェブ上の新聞の編集長代行をしていたのですが、この新聞は政府批判をしていたために、4月に中止され、編集長はウガンダに亡命していたのです。

今月19日に、南アに亡命しているルワンダ政府軍のフォステン・カユンバ・ニャムワサ氏が暗殺未遂にあい、ルワンダ政府がその事件に関与しているとその新聞は書いたために、ルバンバゲ氏が殺害されたと言われています。

「国境なき記者団」によると、2009年度の報道の自由のランキングにおいて、ルワンダは179か国のうちルワンダは157位にランクしました(2008年度の145位よりランキングが落ちたのです)。アフリカにおいては、エリトリア、ソマリア、そして赤道ギニアに続いて4番目に悪いことになります。カガメ大統領は報道の自由の「略奪者」として、「国境なき記者団」に汚名を着せさせられているのです。

それにしても、今年からルワンダの政情はガタガタです。この1月からルワンダで起きていることをまとめてみますと。。。

1月: 野党リーダーのヴィクトワー・インガビレ氏が16年ぶりにルワンダに帰還し、(一般的にツチへの虐殺と知られている)1994年の虐殺ではフツへの虐殺もあり、その加害者も裁くべきと言明したために、騒ぎを起こした

2月:首都で手榴弾事件が定期的に始まる。ルワンダ政府軍の幹部のフォステン・カユンバ・ニャムワサ氏が南アへ亡命。

4月:「ウムヴギジ」が中止される。防衛大臣がジェームズ・カバレへ氏になり、政府軍の幹部2人が自宅軟禁に。野党リーダーのインガビレ氏が「虐殺否認」という罪で逮捕される。(その後釈放されるが、パスポートはとられたままで自宅軟禁に。)

5月: インガビレ氏の弁護のためにルワンダに来た、米弁護士ピーター・アーリンダー氏が逮捕される[3週間後、健康上の理由で釈放される)

6月: ニャムワサ氏がヨハネスブルグで暗殺未遂にあう。ルガンバゲ氏が暗殺される。

残念ながらこういった事件は8月9日の大統領選挙を前に、もっと増えると予期されます。ルワンダを「アフリカのサクセス・ストーリー」と喝采している場合ではありません。



遅れましたが、映画の「ホテル・ルワンダ」の主人公のポール・ルセサバギナ氏が14日に下記の声明をだし、和訳しましたので、読んでください。(和訳はアマチュアの方に頼んだのですが、少なくともコンテクストはわかると思います!)


ポール・ルセサバギナ氏「ルワンダのカガメ大統領は、人権と自由を抑圧」
 
ホテルルワンダ・ルセサバギナ財団
2010年6月14日
声明発表
 
ルワンダのポール・カガメ大統領は、ルワンダサッカー協会会長のジョン・ボスコ・カズマ准将がW杯に向かっている途中で逮捕したり、ウムブギジ民間ウェブサイトニュースを止めることにより、人権や自由を抑圧した。またカガメ大統領は、野党の大統領候補を弁護しに来たアメリカ人の弁護士ピーター・アーリンダー氏も5月に逮捕している。
 
これらの事件で明らかなのは、カガメ大統領は統治政策の透明性は実行されていないことだ。国際法を無視し人権を抑圧するカガメ大統領の行為は、自由でかつ公平な選挙の実現への悪い前兆である。大統領選挙は8月にルワンダで実施される。
 
ホテルルワンダ・ルセサバキナ財団の創設者であり会長のポール・レセサバギナ氏は、次のように述べた。「カガメ大統領の行為は、言葉よりも大きな影響を与えた。彼はアーリンダー教授の権利を妨げ、人権やメディアの制圧を増している。彼は8月には民主主義の選挙を望んでいることを話しているが、彼の一つ一つの行為は全く逆の方へと進んでいる。残念ながら、苦しむのはルワンダ国民。ルワンダでの暴力行為がエスカレートしないよう、国際社会に介入を求める。」
ルワンダ政府軍幹部のフォステイン・カユンバ・ニャムワサ氏(Lt. General Faustin Kayumba Nyamwasa)が19日、亡命先の南アフリカで何者かによって撃たれ、病院に運び込まれました。この事件について、彼の妻は「カガメ大統領によるものだ」と言っているとのことです。

Lieutenant General Faustin Kayumba Nyamwasa

ちなみに、このニャムワサ氏とカガメ大統領は大変親密な関係にいたのですが、RPF政権内に分裂があり、彼は造反したのです。詳しくは下記まで。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/world/africa/10358923.stm


今年8月にルワンダでは大統領選挙があるのですが、今年からルワンダの政情はガタ落ちです。2月以降首都キガリで定期的に起きている手榴弾事件。2月のニャムワサシ氏の南アへの亡命。ルワンダ虐殺のイデオロジー法で野党FDU代表のビクトワール・インガビレ氏(Victoire Ingabire)の逮捕と自宅軟禁。そのインガビレ氏を弁護するために、ルワンダに来たピーター・アリンダ-(Peter Erlinder)米弁護士の逮捕。

それ以外に、人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)のルワンダ代表のビザが延長されず国外追放されたり、ルワンダ政権に批判的なウェブ上の新聞・ウムヴギジ(Umuvugizi)の報道が中止させられました。

ということで、W杯でお祭り騒ぎをするのもいいのですが、このような政治的な事件も見逃してはなりません。世界が1つの出来事に浮かれている時や注目しているタイミングをねらって、他方で大事件を起こすものです。そうするとメデイアはあまり報道しなく、最悪の場合、意味がある事件であっても、それが忘れられることもあります。そう考えると、怖いですね。時事問題には常に敏感でありたいし、このようにブログを使ってどんどん情報を発信する重要さを感じます。



健康上の理由でErlinder弁護士が釈放されて、ホッとしています。彼は3週間のルワンダでの逮捕中、4回ほど入院しなければならないほど体が弱っていました。自殺未遂もしていたという話もあります(家族は「彼はそんなことをする人ではない」と否定していますが)。早く家族のもとに帰って休養してほしいものです。

日本の弁護士連合会をはじめとし(下記参照)、世界からErlinder弁護士の釈放を求める声明があり、それがルワンダ政府への圧力とつながったのでしょう。

Erlinder弁護士のルワンダの虐殺イデオロジーとの闘いはこれで終わったわけではありません。必要であれば、またルワンダに戻ってくると本人は言っています。ルワンダの真の平和のためにも、Erlinder弁護士に休養をとった後に、活躍を続けてもらいたいものです。

この事件で、ルワンダにはjusticeがないことが改めて証明されました。残念ながら、日本のメデイアは現在南アのW杯だけを注目し、アフリカの他国での重要な事件をほとんど伝えていません。ルワンダの「サクセスストーリー」だけを報道するのではなく、このような人権・司法問題も取り上げてもらいたいものです。

彼の釈放に関する記事は、時間がないので和訳をせず、そのまま載せますね。


Peter Erlinder Granted Unconditional Release, Will Return Home for Medical Treatment.
World News Journal
17 June 2010
By David Barouski

The Appeals Chamber of the Gasabo District High Court in Rwanda approved American Professor Peter Erlinder's appeal for bail on medical grounds today. Mr. Erlinder's brother, Scott Erlinder, said he suspects political pressure from around the world contributed to the ruling. Arrested on May 28th in Kigali, his official release is expected tomorrow as the paperwork goes through the official Rwandan judicial channels. He will now be able to return to the United States, reunite with his family and loved ones, and recieve much needed medical treatment. He was unable to appear in court for the ruling as a result of his current medical condition. Mr. Erlinder remains in the hospital in stable condition with high blood pressure problems. Following the decision, his lawyers went to King Fasial Hospital and delivered news of the ruling to him. That night (Kigali Time), Mr. Erlinder was released from the hospital. He will most likely arrive home in the United States on Tuesday (Central Standard Time) and is expected home in Minnesota on Wednesday. However, at a later date, Mr. Erlinder will be called upon to return to Rwanda to face trial as the charges have not been dropped.

Meanwhile, the fate of his client, Mrs. Victoire Ingabire Umuhoza, an opposition party leader who is charged with, "association with a terrorist group; propagating genocide ideology; negationism and ethnic divisionism," remains unknown and precarious. It is clear Mr. Erlinder will not be able to represent her in court anymore. The fate of another Rwandan political prisoner held at the same prison as Mr. Erlinder (1930), Deo Mushayidi, charged with six counts including links to the FDLR (designated as a terrorist group); Genocide negationism; spreading harmful propaganda to undermine state authority; and using forged documents, also remains unknown. Both individuals await the start of their respective trials.

All this occurs against the backdrop of numerous defections from the Rwandan military, by Rwandans in official positions, and Rwandan citizens, all fleeing into exile from alleged oppression. In response to the military defections, particularly the defection of former Rwandan Ambassador to India, Kayumba Nyamwasa (former Chief of Staff of the Rwandan Army, Commander of the 221st Brigade and Director of Military Intelligence), Rwandan President and Commander in Chief Paul Kagame has shuffled his cabinet and reassigned some military officers to new positions where they can be monitored more closely, and/or have fewer duties in the military as well as keep them busy with administrative and/or diplomatic work. Numerous officers were placed under house arrest for a time period, and a few still remain under house arrest. Numerous rank-and-file soldiers who have recently travelled to Uganda have been detained in "safe houses," where torture is allegedly occuring.

Additionally, since the beginning of the year, numerous international NGOs and individuals have accused the Rwandan government of grave oppression of Rwanda's independent press, political opposition parties and their respective members. The Rwandan government has defended its position on these issues in the press. Several grenade attacks by unknown assailants have occurred in Kigali as well. Rwandan officials have accused several parties of having responsibility, including Kayumba Nyamwasa, ex-Intelligence Chief Colonel Patrick Karegeya (in exile in S. Africa with Mr. Nyamwasa), Mr. Mushayidi, FDLR operatives, and allies of Laurent Nkunda. Since May, Rwandan police have arrested numerous political and military allies of Laurent Nkunda and imprisoned them. This major political and institutional instability occurs in advance of the August presidential elections which will be monitored by the Commonwealth. The European Union will fund the elections but will not send monitors.

会長声明集 Subject:2010-6-16
ルワンダ国際刑事法廷の弁護士に対する逮捕を懸念し、即時の釈放を求める会長声明

2010年5月28日、Peter Erlinder弁護士(米国)が、ルワンダの首都キガリにおいて、同国の警察によって逮捕された。この逮捕の容疑は、同国の「集団殺戮思想の処罰に関する法律」の下での集団殺害否認罪及び集団殺害矮小化罪であると伝えられている。この逮捕に対しては、すでに国際法曹団体や弁護士会が、逮捕を非難し、同弁護士の即時釈放を求める声明を発表している。

Erlinder弁護士は、米国のローカレッジの教授をつとめる傍ら、ルワンダ国際刑事法廷(ICTR)で活動し、ICTR独立弁護士協会の会長である。同弁護士は、ルワンダの大統領選においてPaul Kagame現大統領の対立候補である政治家(Ms. Victoire Ingabire Umuhoza)の事件を引き受けるためにキガリに滞在している際に逮捕されたと伝えられている。この政治家もまた、4月に同種の容疑で逮捕されていたという。

1990年に第8回国連犯罪防止刑事司法会議が採択した「法律家の役割に関する基本原則」は、「法律家は、裁判所、法廷その他の法的・行政上の機関において、書面や口頭の主張または専門的外観において善意でなされた関連する発言について、民事及び刑事上の免責を享受するものとされる」と述べて、法律家の職務を保障している。また、同基本原則は、法律家の職務行為が依頼人の思想と同一視されてはならないことや、適正な弁護活動に対して各種の制裁が加えられないように各国政府が保障すべきことを求めている。それゆえ、Erlinder弁護士に対する逮捕が、同弁護士のICTRやルワンダ国内での弁護士としての活動を理由とするものであれば、そのような逮捕は、上記の基本原則に明白に違反するのみならず、弁護士による人権擁護活動を不可能なものとするきわめて深刻な事態である。

弁護士がその職務遂行を理由に、公権力によって不利益を課されたり、あるいは何人によっても危害を加えられたりすることがあってはならないということは、法の支配を維持するための前提条件である。

日本弁護士連合会は、以上の理由で、ルワンダ政府当局によるErlinder弁護士に対する逮捕を深く懸念するとともに、同国政府に対する即時の釈放を求める。あわせて、米国をはじめとする関係国政府、ICTRを主催する国連が、同弁護士の釈放のための行動を取られるように求める。

 

2010年(平成22年)6月16日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児

映画の「ホテル・ルワンダ」の主人公のPaul Rusesabagina氏が「ルワンダは噴火するかも?」とCNNのインタビューで言っています。

http://edition.cnn.com/2010/WORLD/africa/06/10/paul.rusesabagina.interview/index.html

確かに今年になってルワンダは焦っているように見えます。それは後日時間がある時に書きますが、最近のピーター・アリンダー米弁護士の逮捕に関しても米国の対応が怪しい。まあこの地域のgeopolicisから言って理解できるのですが。。

昨年4月にイランで、米ジャーナリストのロクサナ・サベリ氏(当時31)が米スパイ活動をしていた罪で禁固8年の実刑判決が言い渡され、クリントン国務長官が即時釈放を要求したのを覚えていますか。

背景は違うとはいえ、5月下旬以降、アメリカ人がルワンダで逮捕されているのです。米弁護士団や大学教員が彼の釈放を繰り返し要求をしているのに対して、米国務省は形式上一回だけ釈放を要求しただけです。この事件で、クリントン国務長官自身が公的に発言をしていません。上記のロクサナさんとの対応が全然違うのです。

(これから横浜のアフリカフェスタに行くので、時間がない!ということで、ルワンダとアメリカの関係を知りたい人は著書『世界最悪の紛争「コンゴ」』を読んでください!)

残念ながら日本のメデイアは南アのW杯に注目してしまい、他のアフリカ諸国での報道をほとんどしていません。1994年の時もそうだったけ。世界のメデイアが南アの選挙に没頭している時に、ルワンダでは虐殺が始まり、南アにいたジャーナリストは選挙が終わって即ルワンダに向かいました。今回も南アのW杯の裏で、ルワンダで大事件が起きらないといいのですが。

ということでアフリカでの現状を知るためには、英語そしてフランス語圏のメデイアをしっかりフォローすることを薦めます。
アフリカで人口密度が一番高いルワンダからコンゴ東部に、人口が移住しているという話が昨年9月頃から現地であります。

最初はルワンダにいるコンゴ難民の帰還だと思われていたらしいのですが、どうもルワンダ人「らしい」のです。「らしい」と書いたのは、ルワンダ系住民の国籍問題が長年あり、誰がルワンダ人かコンゴ人かよくわかっていないから。

この数ヶ月間に少なくとも6万人のルワンダ人が移住し、資源の豊富な場所を支配しているとのこと。そう、この天然資源の存在が紛争の要因となっているのです。

詳しくは

http://www.boston.com/news/world/africa/articles/2010/06/07/emerging_congo_mini_state_raises_fears_of_conflict/?rss_id=Boston.com+%2F+Boston+Globe+--+World+News
5月下旬以降、Erlinders弁護士がルワンダで逮捕されており、世界中が注目しています。彼の連れ合いさんはジャーナリストの薄井雅子氏で、Erlinder氏は日本との関係も深いとか。体調もかなり崩しているようで、彼が早く釈放されることを願っています。

詳細に関しては下記を見てください。

http://www.minnpost.com/stories/2010/06/04/18686/erlinders_arrest_puts_focus_on_fierce_fight_over_record_of_rwandan_genocide
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[10/08 バーバリー 激安]
[10/08 バーバリー]
[06/12 Nomura]
[05/13 backlink service]
[02/14 Duedymmettamn]
最新記事
(07/03)
(07/02)
(06/30)
(06/23)
(06/16)
(06/10)
(06/03)
(05/22)
(05/22)
(05/18)
(05/11)
(04/28)
(04/27)
(04/14)
(04/10)
(04/07)
(04/06)
(04/04)
(03/27)
(03/24)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者ブログ [PR]