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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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昨夜のTBSドラマ「運命の人」(最終回)に感動・興奮し、涙涙なしでは観ることができませんでした。コンゴ民主共和国(コンゴ)東部等の現場や現地の犠牲者を思い出してしまい、それが新たに私にコンゴとルワンダの(紛争)権力と闘う勇気とモチベーションを与えてくれました。
 
ドラマ最終回は舞台が沖縄で、学びが多くありました。まず最大の学び(再確認)は、現地の人の痛みを理解することの重要性です。日本政府を相手に、長年東京で沖縄問題について闘ってきた弓成(元)記者が、権威に負けてしまい、心身ともにぼろぼろになり、沖縄に向かいました。そこで生活する中、初めて沖縄県民の傷の深さと直面し、「自分は沖縄県民のことを知らずに、(東京で)記事を書き続けてきた」と反省したのです。
 
私は10年間以上現場で働き、紛争や政治の犠牲者である難民や国内避難民の支援や保護に携わってきましたが、その経験があったからこそ、現在啓蒙や研究活動に力を入れることができると思っています。だから弓成記者が言ったセリフはよく理解できるのです。現場を訪れずに(あるいは訪問しても数分だけ現地の人と会話を交わし、それで自己満足する)、現地の状況に関して執筆できる人がいますが、私に想像力が欠けているのかあるいは見るまで関心が高まらないのか、現場の雰囲気やにおい、人々の表情を知らないまま、そして現地の人の話を直接聞かないまま、啓蒙・研究活動をすることは無理でしょう。当然のごとく、長年の現場経験があるから現状を把握しているとは言えませんし(現場と言っても、人によっては、自宅―事務所―ゴルフ場だけ回っている人もおり、現地の生活を知らない)、現場に行きたくてもいろんな事情で行けない人もいるので、現場行きが必修だと言いませんが、機会があれば行ってもらいたいものです。また私はUNHCR 職員という「外部者」として関わってきたので、現地の者(内部者)の深い痛みは理解していないでしょうし、一生理解できないかもしれません。それでも理解しようと努力はしたと自負しています。
 
私の専門分野である平和構築に関して、「その第一歩は、他人の痛みを知ることから始まる」とある韓国人歴史学者が言っていましたが、私もそれに強く同感します。現在大学で関わっているグローバル人材育成も、世間で言われている、コミュニケーション能力・リーダーシップ・問題解決力だけでなく、まさしく「他者(特に社会的に、また政治的に弱い立場の人の痛み)を理解する」能力が必要です。沖縄問題だけでなく、原発・放射能問題、紛争、貧困、環境問題や、日本政府や国際社会で働く頭でっかちのエリート層を見ていると、つくづくそう感じます。他者の痛みを理解するためには、座学だけでなく、ボランテイアや社会経験等が必要となり、その機会を増やそうと現在努めています。
 
最後にドラマで出てきた米軍兵士によるレイプの被害者は、「世界のレイプの中心地」と呼ばれているコンゴ東部の性的暴力の被害者のことを思い出させてしまい、同様に、傲慢な態度の米軍と人道支援機関の姿も重ねて見てしまいました。コンゴ東部は人道支援機関が数多くあるのですが、地方政府の役人がいないところで人道支援機関だけで集まって現地の人道問題について議論し、重要事項を決定していました。その光景はまるで「植民地」や「帝国」のようで、自分たちの国であるかのようなふるまいでした(詳細は著書『世界最悪の紛争「コンゴ」』の第9章を参照)。これは開発の分野でも同様でしょう。
 
TBSの皆さん、このような大大大ヒット作を作成し、本当にありがとうございました。これをきっかけに、弓成記者のような勇敢で正義にあふれる人間が増えること、そして日本のメデイアが国民のために情報公開することを願っています。
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プロフィール
HN:
米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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