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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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今週から3週間アドバイサーとして、JICAのアフリカ仏語圏平和構築の研修に張り付いています。研修生の国籍はブルンジ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ジブチで7人参加しています。「歴史、行政、国民」の3つのコンセプトで日本の戦後復興の教訓をもとに、母国の平和構築に生かすというのが本研修の目的です。
 
今日午後、弁護士で、伊藤塾の塾長である伊藤真氏を講師として招聘し、「平和憲法と戦後民主主義」というテーマで、法則と規則の違い、法による統治、憲法の基本原理、憲法と法律の違い、平和主義、憲法9条が抱える問題などを話していただきました。
 
伊藤氏は20代の時、「憲法は弱者のためのもの」という憲法の意味が、わからなかったとのことです。なぜかというと、それは自分が強者で多数派にいたからで、弁護士として弱い立場の人と直接触れて、その意味が初めて理解できました。弱い立場の人のことを他人事のように考えるのではなく、彼らと会って、共感することが重要であると強調されていました。
確かに私も学生時代にジャマイカ人の彼と付き合って人種差別された話を聞いていなかったら、また難民の保護活動に関わっていなかったら、憲法の重要さが理解できなかったかもしれません。やはり経験って大事なんですね。
 
伊藤氏の講義を聞くまで、研修生は「日本は中国、アメリカ、ロシア、北朝鮮という軍事大国に囲まれ、いつ攻撃されてもおかしくない。ではなぜ軍隊を持たないのか。アメリカに頼るだけでいいのか。憲法9条を改正しなくていいのか」と9条にかなり疑問を持っていました。しかし伊藤氏の下記のコメントに、研修生の考えは変わったようです。
 
「日本が戦争放棄した理由の一つに、戦争で問題は解決しないことを知り、経済の力をつけて信頼関係を構築して、攻撃されない国を作ることに決めたから。現在多くの日本人が『何かが起きればアメリカが我々を守ってくれるだろう』と考えているが、『どうすれば戦争をなくすことができるだろうか』を考える必要があり。抑止力は武力だけではなく、外交、経済力、文化もある。軍事力を減らすことが重要だ。
中国は軍事力を増しているため、日本にとって脅威だという人が多い。それを言うのなら、アメリカの軍事力の方がもっと強く、日本にとってアメリカが脅威であるべき。第2次大戦後、アメリカは20ヵ国侵略してきたが、日本はアメリカのことを脅威と思っていない。多くの日本人はアメリカと良好な信頼関係を保っていると思っているが、それは幸せな誤解である。国民がどう感じるかが大事で、日本と中国間は市民レベルで良好な関係を保つことが重要である。日本が中国に対して軍事力を持つと、緊張感が生まれるだけ」 
 
現在「1か国、2人の大統領」がいる混乱状態のコートジボワールの参加者は、伊藤氏の講義に感銘を受けたらしく、憲法の定義(国家権力を制限して、国民の権利・自由(人権)を守るもの)に「なかなかいい定義だ」と褒めました。そして「日本を称賛したい。戦争を放棄するなんて、何て賢明な選択であったことか。我々の国は過去10年間戦争し続けている」と言ったのです。きっと戦争を馬鹿馬鹿しく思ったのでしょう。
 
これに対して伊藤氏は「このような憲法を持ち続けたのは、ある意味で奇跡である。こんな国がこの世の中に存在することしていることを知る必要がある。日本は西洋諸国のように軍事大国になった方がいいという議論があるが、この憲法9条を捨てるなんて、もったいない。日本は本当に外圧に弱い」同意です!やられたらリベンジするでは、悪循環が繰り返し、被害者が発生するだけです。これに関しては、いやというほどコンゴで直面しました。非暴力で、国民に優しいこの憲法を、我々はもっと誇りに持たないといけません!
 
別の研修生は「日米安保条約があるとはいえ、日本に米軍基地があることで、かえってテロが起きやすくなるのでは?テロの脅威を強化するのでは?」と質問しました。
確かにその通りです!9/11以降、アメリカ軍は日本の市民に対して武器を向けるようになったとか。こっちが構えると、相手はますます防衛のために武力を増し、それがリスクを招く要因となります。
 
この講義で研修生はかなり軍事力に関して考えさせられたようで、ぜひ平和憲法の思想を母国に持ち帰って、生かしてほしいですね。もちろん我々日本人も、日本国憲法を【再】検証し、日本は将来何をすべきかを積極的に議論する必要があります。
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プロフィール
HN:
米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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