コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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今日はルワンダ人のダイアスポラの投票日であり、明日はルワンダ大統領選挙日です。
先週は大学の仕事等などでしっかりルワンダの報道を見ていなく、昨日まとめて見たのですが、カガメ大統領といい、ルワンダ人の亡命者の恐ろしい言葉に凍りつきました。
2007年11月に南アに亡命したパトリック・カレゲヤ前軍事諜報機関長[1994-2004年;「しつけの欠如」で2004-5年18ヶ月間逮捕され、2006年7月13日に大佐の肩書が剥奪される)は、ウガンダのThe Observer紙やBBCのインタビューで、「(カガメ大統領のような)独裁者は自ら降りることはない。自由を確保するためにルワンダ人自身が立ちあがって闘わないと。カガメ大統領の限界点はもうすぐ来るだろう」「カガメ大統領は敵を殺すことを信じている。過去に政治的に亡くなった人は大勢いる」と答えているのです。
諜報機関長であった彼は、カガメ大統領が関わってきた行動や彼の弱みも十分知っているはずです。カガメ大統領の限界点はもうすぐ来るということは、何かを企んでいるのでしょうか。
そして先週、カガメ大統領は選挙キャンペーンの時に、「我々の政権を不安定化したい人は鎮圧する」「現政権を批判する者は首をつれ」「ハエを殺すのに金づちを使う(ルワンダ人ジャーナリストはこれを「野党を殺す」と解釈)と言っています。おそらくカレゲヤ氏へのメッセージなのですが、体が震えるぐらい怖い!
このプログで何回も取り上げたように、過去にルワンダ内外で謎の殺人事件や亡命があり、また今回国家のリーダーがこのような暴力的な言葉を公の場で使っていることは大問題だと思うのですが、国際社会は何とも思わないのでしょうか。外国のメデイアはかなり毎日のように批判していますが、日本のはまだまだ。アフリカ連合も国連も各国政府も相変わらず口を閉じたままです(イギリス国会では多少ルワンダへの批判はあったのですが)。
カガメ大統領は民主主義の問題について聞かれると、口癖のように下記のように答えます。
「個々の国がそれぞれあった民主主義を見つけるべきだ。他国が「これが民主主義だ」とルワンダに押し付けることはない。我々は西洋諸国から何も学ぶものはない」
94年の虐殺の際に何の介入もしなかった西洋諸国の政府や国連は、これに対して何も反論できなくなるのです。これだけルワンダ人の命が亡くなり、彼らが恐怖心に包まれているというのに!あきれるやら、情けないやら。私は紛争予防を勉強し、それには早期警告(early warning) の重要さを訴えているのですが、これだけ悪化しているルワンダの現状ははっきりとした警告であります。それに何の反応を示さないのは、正直言って、人間は愚かな動物だとしか言えません。(だから私はいつも学生に「理論と実情は違う」と言っている)
それにしても上記のカレゲヤ氏といい、彼の同僚でこの6月に暗殺未遂にあったニャムワサ氏といい、南アでどのような亡命生活を送っているのでしょうか。どう安全を確保しているのか、生計をどのように立ているのか、テイーンエイージャーであろう子供たちは学校に行っているのだろうか、と他人事ながら心配です。さらに、ニュムワサ氏は戦争犯としてスペインから逮捕の令状をだされているため、余計に状況は複雑です。南アはこの二人を匿っていることで、南アとルワンダ間の関係はぎくしゃくしており、これから注目すべきです。
明日の大統領選挙はどうなるのか?まあ、このような状況なので、カガメ大統領の圧勝は目に見えますが、その後が気になります。ルワンダのムシキワボ外務大臣は「選挙前だから熱くなっているだけ。選挙後は安定します」とクールに言っているのですが、残念ながら私はそのような希望は持てません。
追伸:
南アの話が出たので、ここで少し私の南ア体験について書きたいと思います。
私は南アに留学している時にコンゴの研究をしていたので、コンゴの亡命者何人か会ってインタビューをしたことがあるのですが、アフリカ人にとって(特に中央部アフリカ)南アはいい亡命先かもと思いました。2008年にアフリカ難民や亡命者への差別事件がありましたが、上記のカレゲヤ氏が言うように、「ウガンダ(などの東アフリカ)は近すぎるけど、南アはちょうどいい近さ」であるし、情報も入ってきます。
南アに留学する前には、UNHCRの同僚から「なんでまた南アで?」「日本、アメリカやヨーロッパで研究すればいいのに」「そんなところで修士をとっても昇進できないよ」とボロボロに言われたもんです。でもアフリカの政治や紛争を研究するならば現場に近いところ、そしてコンゴ紛争を研究するならば、それに良くも悪くも影響を与えた南アで研究するのが最適だと思っていたので、そのようなコメントを無視しました。その時は、南アはアフリカ難民の中心部ということを知っていたのですが、それが自分の研究に役に立つとは思っていませんでした。
コンゴに3年勤務した後に南アに留学したのですが、難民や亡命者からコンゴの違った側面が聞くことができて大変勉強になりました。コンゴ内では政府批判はできませんが、国外では自由にできます。そして、アフリカのように歴史が西洋諸国から意図的に消されているところでは、オープンに話ができる人から話を聞くしかない場合もあります。理論でなく、アフリカの生々しい政治を学びたい方は、(もちろん大学や教授にもよるが)ぜひ南アへの留学を考えてくださいね!
先週は大学の仕事等などでしっかりルワンダの報道を見ていなく、昨日まとめて見たのですが、カガメ大統領といい、ルワンダ人の亡命者の恐ろしい言葉に凍りつきました。
2007年11月に南アに亡命したパトリック・カレゲヤ前軍事諜報機関長[1994-2004年;「しつけの欠如」で2004-5年18ヶ月間逮捕され、2006年7月13日に大佐の肩書が剥奪される)は、ウガンダのThe Observer紙やBBCのインタビューで、「(カガメ大統領のような)独裁者は自ら降りることはない。自由を確保するためにルワンダ人自身が立ちあがって闘わないと。カガメ大統領の限界点はもうすぐ来るだろう」「カガメ大統領は敵を殺すことを信じている。過去に政治的に亡くなった人は大勢いる」と答えているのです。
諜報機関長であった彼は、カガメ大統領が関わってきた行動や彼の弱みも十分知っているはずです。カガメ大統領の限界点はもうすぐ来るということは、何かを企んでいるのでしょうか。
そして先週、カガメ大統領は選挙キャンペーンの時に、「我々の政権を不安定化したい人は鎮圧する」「現政権を批判する者は首をつれ」「ハエを殺すのに金づちを使う(ルワンダ人ジャーナリストはこれを「野党を殺す」と解釈)と言っています。おそらくカレゲヤ氏へのメッセージなのですが、体が震えるぐらい怖い!
このプログで何回も取り上げたように、過去にルワンダ内外で謎の殺人事件や亡命があり、また今回国家のリーダーがこのような暴力的な言葉を公の場で使っていることは大問題だと思うのですが、国際社会は何とも思わないのでしょうか。外国のメデイアはかなり毎日のように批判していますが、日本のはまだまだ。アフリカ連合も国連も各国政府も相変わらず口を閉じたままです(イギリス国会では多少ルワンダへの批判はあったのですが)。
カガメ大統領は民主主義の問題について聞かれると、口癖のように下記のように答えます。
「個々の国がそれぞれあった民主主義を見つけるべきだ。他国が「これが民主主義だ」とルワンダに押し付けることはない。我々は西洋諸国から何も学ぶものはない」
94年の虐殺の際に何の介入もしなかった西洋諸国の政府や国連は、これに対して何も反論できなくなるのです。これだけルワンダ人の命が亡くなり、彼らが恐怖心に包まれているというのに!あきれるやら、情けないやら。私は紛争予防を勉強し、それには早期警告(early warning) の重要さを訴えているのですが、これだけ悪化しているルワンダの現状ははっきりとした警告であります。それに何の反応を示さないのは、正直言って、人間は愚かな動物だとしか言えません。(だから私はいつも学生に「理論と実情は違う」と言っている)
それにしても上記のカレゲヤ氏といい、彼の同僚でこの6月に暗殺未遂にあったニャムワサ氏といい、南アでどのような亡命生活を送っているのでしょうか。どう安全を確保しているのか、生計をどのように立ているのか、テイーンエイージャーであろう子供たちは学校に行っているのだろうか、と他人事ながら心配です。さらに、ニュムワサ氏は戦争犯としてスペインから逮捕の令状をだされているため、余計に状況は複雑です。南アはこの二人を匿っていることで、南アとルワンダ間の関係はぎくしゃくしており、これから注目すべきです。
明日の大統領選挙はどうなるのか?まあ、このような状況なので、カガメ大統領の圧勝は目に見えますが、その後が気になります。ルワンダのムシキワボ外務大臣は「選挙前だから熱くなっているだけ。選挙後は安定します」とクールに言っているのですが、残念ながら私はそのような希望は持てません。
追伸:
南アの話が出たので、ここで少し私の南ア体験について書きたいと思います。
私は南アに留学している時にコンゴの研究をしていたので、コンゴの亡命者何人か会ってインタビューをしたことがあるのですが、アフリカ人にとって(特に中央部アフリカ)南アはいい亡命先かもと思いました。2008年にアフリカ難民や亡命者への差別事件がありましたが、上記のカレゲヤ氏が言うように、「ウガンダ(などの東アフリカ)は近すぎるけど、南アはちょうどいい近さ」であるし、情報も入ってきます。
南アに留学する前には、UNHCRの同僚から「なんでまた南アで?」「日本、アメリカやヨーロッパで研究すればいいのに」「そんなところで修士をとっても昇進できないよ」とボロボロに言われたもんです。でもアフリカの政治や紛争を研究するならば現場に近いところ、そしてコンゴ紛争を研究するならば、それに良くも悪くも影響を与えた南アで研究するのが最適だと思っていたので、そのようなコメントを無視しました。その時は、南アはアフリカ難民の中心部ということを知っていたのですが、それが自分の研究に役に立つとは思っていませんでした。
コンゴに3年勤務した後に南アに留学したのですが、難民や亡命者からコンゴの違った側面が聞くことができて大変勉強になりました。コンゴ内では政府批判はできませんが、国外では自由にできます。そして、アフリカのように歴史が西洋諸国から意図的に消されているところでは、オープンに話ができる人から話を聞くしかない場合もあります。理論でなく、アフリカの生々しい政治を学びたい方は、(もちろん大学や教授にもよるが)ぜひ南アへの留学を考えてくださいね!
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プロフィール
HN:
米川正子
HP:
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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