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コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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429日人権の調査で郡山に行き,現地の弁護士など女性何人かに会いました。他の県と違って,福島県は支援などのニーズが高いにもかかわらず,放射能が高いため,メディアやNGO等が県内に入ることはほとんどありませんでした。想像していたとおり,家庭暴力(DV)で悩んでいるケースは多くあり,ここでは2例紹介します。
 
   DVが原因で離婚したばかりの女性が,同じ避難所に元夫がいるのではないかとハラハラしているとのこと。避難所内に女性の部屋をつくって欲しいと避難所の運営委員(行政)に要請すると,「ここの市民にならないと保護ができない」と言われ,元夫を避けるために車の中で寝泊まりしている。
   別居中のある夫婦の子ども2人は父親と住んでいたのだが,その子供らが津波で亡くなった。それにもかかわらず,夫は妻に「お前が殺した」と言った。
 
と同様な悩みを抱えている他の女性らも,やはり行政に「(一人だけ)特別扱い」できないとか,今被害を受けている人ならまだしも,「もしかしたら被害になるかも」と想定して助けることができないと冷たく突き放されたとのこと!自殺や虐待等の問題が日本社会に一般的にあるにもかかわらず,「対処」でなく,「予防」で解決しようという発想がないのかしら?
またDVの犠牲者が警察に訴えても,「この忙しいのに!家庭内のことは夫婦で解決しろ」と怒られたとのことです。もちろん大震災後,警察の仕事が増え彼らが心身ともにストレスを抱えているのはわかりますが,日常時以上に現在の一般市民のイライラ度は増し(この原因は原発に関する正しい情報を公開していない日本政府やメディアにもあるのだが),それがDVというところに現れていることを知らないのでしょうか?本当に呆れると言うか,怒りが高まります。
 
これらはほんの一例で,報告されていないケースも多くあるでしょう。私は3年前まで,「女性や少女にとって世界最悪の場所」”rape capital of the world”(世界におけるレイプの中心地)と呼ばれるコンゴ東部で勤務していたのですが,性暴力はコンゴだけでなく世界共通の問題であり,しかも昔から行われています。日本政府が認めていない慰安婦問題もそうです。我々は性暴力の原因や改善策についてもっと真剣に考えない限り,将来もずっと続くことでしょう。
 
私が思うには,男性は女性以上に「弱者」であるため,ケアを要しています。世界の被災地を見渡すと女性を支援する団体はありますが,男性対象のものはほとんど皆無です。権力者である男性に特別な支援は不要だと思う人もいるでしょうが,本当にそうでしょうか。
下記は著書「アフリカから学ぶ」(2010)の中で,私が書いた章「人道支援や平和構築の知恵~難民・避難民の視点で考える」(165-166ページ)の一段落です。これに意見がある人は批判も含めて,私に送ってくだされば幸いです。
 
(避)難民男性の弱さと暴力
一般的に、(避)難民女性と子供は社会的弱者といわれる。女性は軍隊や反政府勢力の兵士におそわれて性的暴力にあったり、家庭暴力に悩まされる。子供は避難で移動中に親と離れ離れになったり孤児となる。また子供は大人に従順であるため、徴兵や児童労働の対象にされやすい。こういった弱者の女性と子供が自立できるように、人道支援団体が支援プロジェクトをおこす。女性と子供に対する呼びかけがあまりに強いために、男性が忘れてしまいがちだが、女性と同様に、あるいは女性より精神的に弱いのが(避)難民男性であろう。

 それは女性と男性の生活ぶりを観察していると、わかることだ。避難で移動中も(避)難民キャンプ内でも、女性は子供や老人の世話、食事の支度、薪集め、水くみ、洗濯で朝から晩まで忙しい。女性は現実に追われながらも、たのもしい存在だ。その点、男性らは昼間から木の下に集まり、地元の酒を共にしながら、国のノスタルジアにふけたり、母国の政情について議論をする。彼らは母国では家の一本柱として、子供たちや妻から尊敬されていた。もちろん、その身分は難民になっても同じだが、金も家もない難民となったことで、自分に誇るものがなくなる。それに加えて、もし避難中に家族の一員が軍人に暴行を受けたなら、世帯主として、かつ男性として、家族を守る責任が果たせなかったと自分を責め、ますます自信をなくす時もある。家(キャンプだと小屋)での居場所がなくなるわけだ。
一般的に男は強くなくてはならないと育てられているため、弱音が吐けず、ますますストレスがたまり、家庭内暴力を起こすはめになる。それがキャンプ内の暴力や治安問題へと導くこともある。女性や子供を支援するとともに、男性にも精神的カウンセラーや、自信を取り戻すための支援が必要なのである。
 
 
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プロフィール
HN:
米川正子
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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