コンゴとアフリカの過去を振りかえ、それらの現状と今後を考えた上で、次の行動へのきっかけになることを願っています。
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現在2013年実施予定のTICAD V(アフリカ開発会議)の準備が始まっているようです。私は過去のTICADが実施された時、ずっと国外にいて特にフォローをしていなかったので(TICAD IV後JICAで勤務をしていた時のみ、少々フォローしていたが)、その会議内容や事業に関しては特にコメントはできませんが、ここでhumble suggestion(謙虚な提言)をしたいと思います。それは故服部正也氏の遺稿「援助する国 される国:アフリカが成長するために」(中央公論新社、2001年)に書かれている教訓を読み、それを実行することです。
服部氏は元ルワンダ中央銀行総裁や元世界銀行副総裁で、本を読む限りアフリカの問題を真剣に考え、また飾り気がなく草の根的であり、個人的に親近感がわきました。
この遺稿には下記のようなことが書かれています(目次から一部抜粋)
l 国際公務員の資質が問題
l 国際機関の仕事の粗雑さ、不真面目さ、無責任
l (アフリカ人を知るためには)アフリカ人の立場になって考えること、先進国から来た人の思い込み、アフリカ人への偏見
l (アフリカ発展のための経済学)統計の落とし穴、あてにならない統計
l (発展の鍵―「良い政治」)良い政治の基本は国民の信頼、
l (日本の援助を考える)日本がよりより援助をするためには、アフリカ飢餓援助、自立心損なう過度の慈善、自立心育成が問題解決の道、日本の復興、発展の教訓をアフリカに
国際機関に勤めていた私にとって(現在も休職中ですが)、またアフリカに関わっている人にとって、大変耳の痛いことが書かれています!上記の国際機関の仕事の粗雑さやアフリカ人への偏見だけでなく、「援助に関係する人は、warm heart but cool head (心は暖かく、だが頭は冷静)でなければならないが、どうもwarm heart and hot headの人が多い」とも。自分もかつて(今も?)そうだったと反省。。。この本ともっと早く出会っていたらよかったのにと悔やんでいます。
また「こちらは援助しているから感謝されているはずだという思い込みも、アフリカ人との生産的対話を妨げるものである。。。。感謝は善意と金で買えるものではなく、先方が困っている時に適切に支援をし、成果を上げて初めて得られるものなのである」と。
これはまさに通りで、私もよく講演などで伝えています。例を挙げると、軍人が支配している地域に、難民などの市民に援助物資を配給しても、軍人が略奪するだけで逆に軍事化を促進することになります。物資を送った側は、大抵「いいことをした」と自己満足するのですが、受ける側は迷惑がれることもあるのです。また我々の日常生活で友情や愛を金では買えないことはわかっていることですが、それが援助の世界になると、通用すると勘違いしている人がいるようです。
最後に援助に関して、「度を超えた慈善は悪(必要の限度を超えて行えばかえって害がある)」であり、「戦後の日本での食糧援助は最小限にとどめられたし、その日本における運営も日本人の手によって行われたので、日本の実情に即することができた。さらに重要なことは、この食糧は無料で配給されなかったこと、そしてこれに合わせて、食糧の増産政策が価格機構を通じて行われた」と書いています。
よく日本の戦後復興の成功の理由に、「アメリカからの食糧援助のおかげもある、だから我々も他国に援助しないと」という結論に達するのですが、単に援助をすればいいという事実より、援助の内容や方法について伝えないといけないと思います。「タダほど怖いものはない」は、長期的な(人道)支援に応用するのではないでしょうか。
それにしても、こんな立派な方が10年以上前に早々と他界してしまい、本当に本当に残念です。私たち後輩にできることは、大先輩から教訓を学んで、それを実行することです!
その一環として、2月16-19日に実施される国際キャリア合宿セミナーでは「援助と人権保障」について深く考えて、関係者に提言したいと思います。まだ参加者募集しています。http://www.kokusai.utsunomiya-u.ac.jp/career-program/activity/2010special.html#003
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プロフィール
HN:
米川正子
HP:
性別:
女性
職業:
大学教員
趣味:
旅行、ジョギング、テコンドー、映画鑑賞、読書
自己紹介:
コンゴ民主共和国(コンゴ)やルワンダといったアフリカ大湖地域を中心に、アフリカでの人道支援や紛争・平和構築を専門としています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
過去にリベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダ、コンゴなどで国連ボランテイアや国連難民高等弁務官事務所職員(UNHCR)として活動。南アの大学院でコンゴ紛争について研究し、2007年―2008年には、コンゴ東部でUNHCRの所長として勤務したこともあり、その経験を活かして現在アドバカシ―に力を入れています。
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